表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/899

第二十一章 篠ノ目学園高校(月曜日) 2.放課後

「それで、二人とも間に合ったの?」

「あぁ、何とかな。……けど、加賀のやつが急に回収なんて言い出すから焦ったわ」

「本当だよ~、加賀センセ、意地が悪いったら」

「……いや、授業前にちゃんと終わらせていれば済む話だからね」

(しゅう)君の言うとおりね」

「はいはい、優等生は違うよな」

「その優等生の協力を今後も得たいんなら口を慎めよ? (たくみ)?」

「サー! イエッサー!」


 一日の授業が終わって、僕たち四人は校庭の隅で雑談をしていた。そう毎日()(てん)に寄っていたら懐に厳しいしね。あ……でも……


「そう言えば、誰かさんたちのせいでお昼を食べる時間がなかったんだよな~。お(なか)()いたな~♪」

「「う……」」

「あ~♪ 家まで()たないかもな~♪」

「うう……(しゅう)君、この時とばかりに」

「諦めよう……今回は俺たちの負けだ……」



・・・・・・・・



 や~♪ 人の勘定で食べるパフェって美味しいんだね~。勝利の味ってやつ?


「……俺、奢らされてばかりじゃねぇか?」

「それだけ失言が多いんでしょ」

(たくみ)、失言スキルとか持ってんの?」

「持ってたらお前にやるわ……って、SRO(スロウ)にはあるのか?」

「やめろよ! 拾ったらどうすんだよ!」

(「……運営に提案してみようかな」)

「……(あかね)ちゃん、何か言った?」

「ううん♪ 何も♪」


 結局、僕たちは今日も「(マク)()」に来ている。うちの生徒は誰も「(とばり)(とびら)」なんて名前で呼ばないんだよね。マスターももう諦めてるし。大体、何でこういう名前にしたんだろう? いつか聞いてみたいよね。


「それで、(しゅう)はもう転職したのか?」

「は? 転職?」

「……してないのか? お前、レベルいくつだよ?」

「種族レベルなら6だけど?」

「……もうかよ。いや、そうじゃなくって、5になった時点でインフォがあったろ?」

「インフォ?」

「……あのね、(しゅう)君、SRO(スロウ)では種族レベルが5になった時点で転職が可能になるの。勿論転職せずにそのまま冒険者を続けてもいいんだけど、転職するとより専門的なスキルが手に入るのよ。だから大抵のプレイヤーは待ちかねたように転職するわね」

「……そんなインフォ、来なかったと思うけど……」

「じゃあ、『スキルコレクター』の仕様なのかもしれないわね」

「あ~……確かにレアスキルだけじゃ転職は厳しいか」

「けど、(しゅう)君、従魔術師(テイマー)召喚術師(サモナー)錬金術師(アルケミスト)薬師(ファーマシスト)、四つもアーツ持ってるよね?」

「……互いに干渉し合うとか?」

「それも考えられるけど……やっぱり『スキルコレクター』が怪しいわね」


 ……僕って一生冒険者(フリーター)決定なの?


「……いや、冒険者をフリーターって……」

「定職に()けないって意味では合ってるかもね……」

「うう……専門スキルが取れないなんて……」

「いや……そりゃ判んねぇぞ」

(たくみ)君?」

(しゅう)の『スキルコレクター』なら専門スキルも得やすくなったりしねぇか? だとすると、定職に()かないって事は、逆に言えば四つの専門スキルを取れるかもしれないって事だぜ?」

「……あり得るわね」

「お~、スーパー(しゅう)君だ~」

(あかね)ちゃん、それ何さ……まぁ、前向きに捉えるのは良い事だよね……」

「そうそう♪」

「楽しむためのSRO(スロウ)なんだから、楽しまなくちゃ損だぜ♪」



 (たくみ)の言うとおりだね。折角だからこの境遇を楽しまなくちゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 一日毎にリアルの話入るの面倒だな こういうのは時々だから良いのに
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ