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機械仕掛けの聖剣使い  作者: epina
Episode03 Sinner Zardas

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Vol.34 Benedict side

 どこかの電子の海。

 0と1が流れる中、男と女は会話していた。

 互いのアバターが向かい合っているが、実際は何万光年も離れた場所にお互いの本体を置いている。


『陛下陛下ー、最近ずっとこのルートばっかりですね』

『仕方がない。全部を救おうと欲張れば、自然とハーレムルートになってしまうから』

『ぶ~。私的にはあんまり面白くないです』

『お前さんだって、聖鍵に一度入れば俺と会話できるんだから我慢しろよ。で、どう? 今回の俺は』

『いつもより若干、内罰的というか……抱え込んでますね』

『地球で暮らしてる間のことは、俺達じゃあ調整のしようがないからなぁ……』

『あんまり正義感強くても、最初のゴズガルド戦で無謀な戦いとかしちゃうから、これぐらいがいいと思いますよ~?』

『我ながらチュートリアルで死ぬなよなって思うよ』

『でも、シーリアさんが凄いスピードで駆けつけて、助けてくれることもあるじゃないですか。あのときぐらいですよね、魔王城に直接乗り込むルート』

『予言を無視するからには、相当なリスクもあるんだけどな。ザーダスもディーラちゃんも死んじゃうし』

『ディオコルトのせいで、リオミさんが第二の魔王になっちゃいますしね~』

『ガチで聖鍵乗っ取られて、散々だったなぁアレ。1回しかなかったのが幸いというか、なんというか』


 自分たちに関わることだというのに。

 彼らの言葉には、悲壮感がなかった。

 まるで、他人事のよう。

 情報電子生命体(アイオン)になってしまった彼らには、人間らしさがあまりない。


『そういえば、やっぱりシーリアさんとザーダスさんって、両方生き残るには、真実を話さないとか、記憶操作とかしかないんですかね』

『……今のところ、そこから先に進んだ俺はいないね』

『今回もやっぱり、そうなんでしょうかね~?』

『…………』


 男のアバターが沈黙する。

 やがて、実際の時間にして2秒。

 男が口を開いた。


『もし、そこが突破できることがあるなら……』

『あるなら?』

『ひょっとしたら、あの俺がエンディングになるかもわからんね』

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