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機械仕掛けの聖剣使い  作者: epina
Episode03 Sinner Zardas

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Vol.08

 それから暫く。


「王手じゃ」

「くっ……参りました」


 第1回魔王戦は、ザーダスの勝利に終わったようだ。

 だが、決して魔王の楽勝というわけではなく、フェイティスも、あの手この手で攻めていた。

 俺は将棋は詳しくないが、相当な智略戦が繰り広げられていたことは、ふたりの間で交差したオーラのようなもので感じ取れた。


「……お見逸れいたしました、ラディ様。このルールで敗北したのは、子供の頃に父に負けて以来です」

「謙遜はよせ。余もここ何十年か退屈をしていたが、久々に心踊る勝負であったわ」


 何やらふたりとも、お互いを好敵手と認めたようで、最後には握手を交わしていた。

 フェイティスのあんなさわやかな顔、床勝負でも見たことない。


「……ラディちゃんは、結構古風な喋り方をされるのですね」

「う、うむ……見た目より歳を食っているせいでな」


 リオミのツッコミに、思わず唸るザーダス。

 案外、予想外の事態には弱いのかもしれない。


「…………」


 ん、シーリアが何やら訝るような視線をザーダスに送っている。

 ま、まさかバレたのか!?


「幼い容姿に、老人のような喋り方……」

「シ、シーリア……あのな」

「……いいなッ!!」

「…………は?」


 シーリアが何やら鼻息を荒くしている。


「アキヒコ。あれが巷でいうロリババアというやつではないのか?」

「なんでお前がそんな単語知ってるだよ!」

「実物は、なかなか拝めなかったのでなあ。エルフの老婆も容姿は大人だったし……いつか見られるかもと希望を抱いていたが、よもやディーラの姉がそうだとは……」


 まさか……教団はヲタク文化までアースフィアに輸出済みなのか!?


「ラディよ……私のことはお姉ちゃんと呼んでくれても、構わんのだぞ?」

「シーリア。ラディ様に無礼は許さないわよ」

「ね、姉さん!?」

「この方は貴女ごときが妹扱いしていい方ではありません。訂正なさい!」

「良いのだ、フェイティス……」

「ラディ様?」

「いわば余はこの中では新参、見た目も最も年若い……ともなれば、郷に従わねばなるまいて。なあ、シーリア……お姉ちゃん?☆」

「…………はぅ」


 シーリアが死んだ!?

 ザーダスが愉快そうに笑っている。


「クックック……ここも思いの外、愉しめそうだ」

「ラディ様、よろしいのですか。あのような……」

「構わん。余興は多ければ多いほど良い」


 ……あー、見た目に騙されそうになるけど間違いない。

 彼女は間違いなく魔王だったんだ。

 幼女バ○ン様。いろいろ新しい。


「む、何を見ている勇者よ。そなたも余を愉しませんか」

「お前、本当に立場わかってるのかよ」

「……お兄ちゃん、そんなふうに言っちゃイ・ヤ☆」

「がっはッ!?」


 急に声色を変えて上目遣いだと……。

 ヤムたんで鍛えられたとはいえ、ロリコンに目覚めた俺には刺激が強い……!


「ククク……愉快だ。これでアースフィアを歩き回れれば尚良かったが、それは慮外の望みというものだな。しばしこの城の中で、無聊を慰めるとしようか」

「ここは船だよ、お姉ちゃん……」


 ディーラちゃんのツッコミもどこ吹く風。

 ショウギを終えてから、すっかり自分の調子を取り戻した様子のザーダスは、薄く笑みを浮かべていた。


 ふーむ……確かにアースフィアに彼女を下ろすのはまずいと思うが……。

 いや、しばらくは完全に信用に値するかどうかを見極めよう。

 今のところ、ザーダスのマインドリサーチ結果はルナベースに送らせてもらってるが特に怪しいところはないらしく、俺に報告はない。


「じゃあ、せっかくだから久々のマザーシップツアーでもしようか。聖鍵派の本部になってから、ここも結構様変わりしたしね」


 そういうわけで、ザーダス御一行様を連れて、俺は案内を始めた。

 ……いや、そういや案内用ボットも作らせたんだった。そいつに任せよう。


 案内はいつもどおりのルートだったが、聖鍵派のスタッフが出入りしているので、結構スレ違いの挨拶をする機会があった。

 生産の実行などはある程度オートで可能だが、結局その割り振りなどには人の手がいる。

 領土拡張プログラムや浄火プログラムなど、一定の作戦に従って自動でやってくれるようにもできるが、柔軟性には欠ける。

 聖鍵騎士団の治安維持活動なんかが、その最たるものだろう。人同士の細かい駆け引きや裁量は欠かせない。


 俺の判断をいちいち待っていたら、間に合わない緊急事態もある。

 もちろん後で余すことなく報告書を書いてもらい、チェックも入るので、施設の不正利用などは不可能だ。

 フォーマン率いる聖鍵騎士団にはかなり大きな裁量を与えていて、ドロイドトルーパーの補充や支援物資などに関しては、彼ら専用の施設を用意させている。そこでできることは自由にやっていいということだ。


「さて、ここに来たか……」

「む、勇者。何かあるのか?」


 当然、ここはお菓子生産プラント。

 きのこたけのこの間である。


「お姉ちゃんは絶対、たけのこだよ!」

「それはどうでしょう? 人の好みはわかりませんよ」

「そうだそうだ」


 お前ら子供かよ。


「そういえば、フェイティスはどっちなんだ?」

「私はご主人様と同じ意見です」


 つまり彼女も中立か。


「現在、ヤムたんも含めれば2対2の互角。ディーラちゃんはフォスの子供たちにたけのこを広めているけど、きのこを食べさせていない以上はノーカンだ」

「ええーッ!?」


 不服そうなディーラちゃんを黙殺し、俺はザーダスに話を振る。


「今からラディちゃんには、どっちのお菓子のほうがいいか、食べて決めてもらう」

「……ふむ。どちらが美味いかを判断すれば良いのだな?」


 全員から注がれる眼差しを受け、どうやらザーダスは事が遊びではないことに気づいたようだ。

 そう、これは戦争だ。


 ザーダスはじっくりと吟味しながら、きのことたけのこを食べ比べた。

 全員が見守る中、彼女はやがてゆっくりと頷いた。


「実に甲乙つけがたいが……」


 彼女はディーラちゃんの方を見て、にっこりと微笑んだ。


「お姉ちゃん……!」

「すまんな、ディーラ。余は、きのこが良い」


 それは誰よりも大切なはずだったヒトの、裏切りの言葉だった。

 絶望の奈落に突き落とされたディーラちゃんは、この世の終わりを嘆くかのような叫びをあげた。

 彼女はこれから、どうすれば生きる希望を取り戻せるのだろうか。

 救いはないんですか。


「ディーラ……許せ。余はこと真剣勝負において、偽りを述べることはできぬ」


 わんわん泣いてるディーラちゃんに向けて、それがせめてもの慰めとばかりに、ザーダスは彼女の肩を叩いた。


「……なあ、フェイティス」

「はい、なんでしょう?」

「俺は2つのお菓子を良かれと思って量産したけど……それは間違っていたのかな」」

「ご主人様に、罪はありません……」


 その日のフェイティスは、何故かとても優しかった。



 来るかどうか迷ったが、結局案内ボットに従って市街区にやってきた。

 ここでは聖鍵派スタッフの人間や、その家族が暮らしている。

 テレポーターはフォスに繋がっているので、ここもフォスの一部と言ってもいい場所だ。


「アッキーだ!」

「その声、その呼び方は……!」


 いまや聖鍵派の天使と呼ばれ、大人気のヤムエル様だ!

 リオミもかくやというチャージ&パワーアタックでタックルしてくる。

 小柄だから可愛いものだ。


「その……アッキー様。お久しぶりです」

「リプラさんも、お元気そうで何よりです」


 結局リプラさんには、アッキーと呼んでもらうことにした。

 アキヒコ様と呼ばれると、リオミが微妙な顔をするのである。


「その後はどうですか。何か困ったことはありませんか」

「とんでもありません。ヤムも学校に通えるようになって、私も仕事をいただけて……アッキー様には感謝してもしきれません」


 そういえば、リプラさんも聖鍵派のスタッフとして働くようになったんだっけ。

 身なりもはるかに良くなって、少し前までスラムで寝転がっていた女性とは思えない。


「いえいえ。今日はどうして?」

「こっちまで買い物に来ているんです。ヤムが行きたがりまして」


 ヤムたんは、久々にみんなと再会してハイテンションになっていた。

 みんなに撫で回され、ディーラちゃんに「たけのこの同志」として泣きつかれ、よしよししていた。

 どっちが子供なんだか。


「フランがアッキー様に会いたがっていましたよ。時間があるとき、フォスにも来てくださいね」

「わかりました」


 ……本当はフランが双子の姉妹だと、知る由もないリプラさん。

 どうやら、仲のいい友人だと感じているらしい。


「アッキー、一緒に行こうよ!」

「こら、困らせちゃうでしょ」


 どうしたものか。別にツアーを切り上げて、一緒にショッピングを楽しむのもいいかもいしれない。


「どうする?」

「余は構わんぞ。なかなか可愛らしく、余の好みの童子だ」

「むっ……」


 ザーダスの目が獲物を見定めるように細められている。

 いかんな、出会わせてはいけなかったのかもしれない。


「ごめんね、ヤムたん。また今度」

「えー……」

「絶対今度あそびにいくよ。約束する」

「……うん。じゃあ、やくそくね!」


 指切りしてからヤムたんたちと別れた。


「何故じゃ。余は良いと言ったのに」

「お兄ちゃんは許しませんよ」

「意味がわからんわ……」


 ザーダスのご機嫌を損ねつつ、俺達はブリッジへ向かった。


「ほう……これがアースフィアの真の姿というわけか」


 さして驚くでもなく、ザーダスは悦に入る。


「こうしてすべてを見下ろすのは、さぞ気分がよかろう。余も再び野心を擽られそうになるわ」

「……お前、本当に大丈夫なんだろうな」

「軽い冗談だ。そう怒るな……興を解せぬようでは、男の格が痴れるぞ」


 逆にやりこめられてしまった。

 流石にフェイティスを唸らせ、魔王として君臨していただけあって、その片鱗を伺わせる。

 フランとはまったく別種の、畏怖を感じさせる風格を持っていた。


 ツアーが終わると夕食になる。

 事実上、ザーダス歓迎パーティのような催しとなった。

 酒の入ったディーラちゃんが管を巻いたり、シーリアがザーダスに萌えたりしていたが、概ね盛況に終わった。

 リオミとフェイティスには寝室に先に帰ってもらった後、俺はザーダスを呼び出した。


「……ロリコンだとは聞いていたが、よもや余の寝所へ夜這いに来るとは思わなんだぞ。その豪胆さ、驚嘆に値するが……余とて知り合ったばかりの男子に、そうそう処女をくれてやるつもりはないぞ?」

「お前、処女だったのか。いやいやそうじゃなくて……」

「なんだ違うのか。つまらん」

「お前な……ああ、もう! 調子狂うなあ」

「すまんな。これは余の悪癖でな、寛容に許せ。して、何用だ?」

「いくつか聞きたいことがある。お前、魔王だった頃の記憶はあるんだな?」

「ディーラから聞いてはおらんか? 時折目が覚めれば、記憶はところどころだが残っていると」

「やっぱりそうか……うーん」

「焦らすでない。余は待たせるのは好きだが、逆はそうではない」

「なんつー根性してんだ。……まあいい」


 俺は睨むように、ザーダスの赤い瞳を覗きこんだ。


「ディオコルトについて、教えろ」

「……ヤツか。愉快な話にはならんぞ?」

「そんなことは百も承知だ」

「ふむ……因縁があるようだな。よかろう。だが、ここでは場所が悪い。どこか人目につかぬところはないか?」


 ザーダスがそう言うので、俺は永劫砂漠の強制収容所の一室に跳んだ。

 ある目的のために特別に作らせた部屋だ。


「確かに人目にはつかんだろうが……女子を連れてゆくなら、もう少し場所を選ぶべきではないか?」

「もうマザーシップは中枢以外、人の出入りがあるんでね。ここなら絶対に誰も来ない」

「密談用の部屋があると、何かと便利だぞ」


 ザーダスの言うことは最もなので、今度作らせることにしよう。


「さて、ディオコルトだったな。そなたのことだ、既にある程度のことは知っているだろうし、その前提で話すが構わんな?」


 俺は無言で頷く。


「ヤツは八鬼侯第八位だったが、余の命令で何かをしたことはほとんどない。それこそ、好き勝手に女子を口説いては捨て、口説いては捨て、時には利用して愉しんでいた」

「……下衆野郎が」

「その意見には賛同する。余も、成果なくただ遊興に浸るのみの男であれば、早々に切り捨てたであろう。だが、ヤツの遊びが結果として余の目的に沿うことがあったのも事実だ」

「……聞いていいか。お前の目的ってのを」

「ふむ。既に気づいているのではないか? 余の目的は……この世界を、守ることだ」


 ……やはり、か。


「いったい、何からだ」

「……ダークス、と言って通じるか?」


 ダークス。人々が瘴気と呼ぶモノ。

 アンダーソンも言っていた。

 ダークスの脅威を排除することが、自分の任務であると。

 ダークス係数……。


「お前、どこまで知っているんだ?」

「誰よりも通じているという自負はあるが、実際そなたほどの男ならば、余が知らぬ真実を知っていたとしても驚きはせん」

「…………」


 ――マインドリサーチ、モードチェンジ。

 ――ダイレクトリーディングモード。対象、ザーダス。


 俺はルナベース経由のリサーチをやめ、聖鍵での直通に切り替えた。


「余はダークスからアースフィアを守るため、魔王となった」


 嘘はなし。


「そして、人々を苦しめた」

「余がやっておらねば、人も魔物も滅んでおったさ……」


 嘘ではない、少なくとも本音を言っている。


「お前は完全に支配されていたわけではなかったのか?」

「魔王。そう呼ばれる程度には、邪悪であったよ。目的の為ならば、一切手段を選ぶ必要を感じなかった」

「罪を背負ってでも、全部を守ろうとしたのか……」

「それが、余の使命だったと思っておる。そなたが来たことで、どうやら役割が終わったようだがな」


 この感情は……自嘲か。


「……いったい、何なんだ。どうして俺が喚ばれたんだ」

「それは知らん。余もそなたのことを敵と見なしていたゆえ、ゴズガルドを送り込んだのだ。見せてもらったぞ? あのときの立ち回りは」

「そいつはどうも」


 どうやら、あの駆け引きはそれなりに彼女を愉しませていたらしい。


「それより、今はディオコルトの話であろう? ヤツは余以上に瘴気……いや、ダークスに通じていた。ヤツが何者かは知らん。おそらく魔物ではない。元は人間だ」

「瘴気に侵された人間は死ぬはずだけど……それをなんとかする方法を見出して、ダークスを利用し、自分の欲求を満たしていたということか……」

「ヤツほどおぞましい存在もおるまいて。して勇者よ、余が退いた後……一体ヤツは何をしたのだ?」


 カドニアでの一件を、ザーダスに話した。

 すると……。


「あやつ! あれほどやるなと言ったことを、やったのか! 余がいなくなったことで、遂にタガが外れおったか……!!」


 ザーダスは烈火のごとく怒りだした。


「……やっぱり、『闇の転移術法』はお前が止めていたのか……」

「あのようなもの、必要ない! 魔物と人が適度に距離を図りつつ、決して破滅しない道を進めれば、それでよかったのだ。オーカードの創りだしたアレは、それを真っ向から覆す!!」


 そう。

 あの指輪はやはり、ディオコルトの手によって創られたものではなかった。

 ザーダス八鬼侯第六位、魔術参謀オーカード。ヤツの手によって開発された悪夢のアーティファクトだったのだ。

 かねてよりオーカードの呪いによって悩まされていたロードニアは、指輪の魔術解析を成功させ、これがオーカードの魔術によって創りだされたことを突き止めたのである。


「やっぱり、ディオコルトにあの指輪を生み出す力はないんだな」

「うむ。オーカードが初期の試作品を創り出し、得意げに見せびらかしに来おった。余が大いなる怒りでもってヤツを窘めてから、アレを使おうなどとは露ほども考えておらんかったよ」


 鼻水垂らしてビビってるザボエ○枠が、容易に想像できた。


「すべて処分せよと命じたのに。ディオコルトめ……いつの間に持ちだしたのだ」

「まあ、もうその指輪は俺が回収した。ヤツがバラ撒いた分はおそらく全部な」

「……そなたにも気を揉ませたようだな。部下の非道を詫びねばなるまい。指輪はいくつあった?」

「12個、2個で1組だから6組」

「うむ、すべてだな」


 嘘、なし。大丈夫そうだ。


「まあ、残りがないかどうかは、ヤツに直接聞いてみるさ……」


 ヤツにはマインドリサーチが通じない。

 いや、通じることは通じるが……八鬼侯で最も醜い心というのは伊達ではなく、俺が耐えられる悪意を超えているため、ルナベースに止められてしまうのだ。

 だから、ヤツが真面目に答えれば……という話になる。


「他にヤツについて知っていることは?」

「無類の女好きであるということぐらいか。ディーラには指一本触れさせんかったぞ」


 当然嘘なし。ディーラちゃんの証言とも一致する。


「結局、ヤツ自身の目的というのはわからんが……やはり愉悦を追い求めていると見えたな」

「やっぱりそうか……」


 どこまでも愉快犯であって、大局的な目的があるというわけではないのだ、ヤツは。

 だが、おそらく今は違う……ヤツの目的は既に、ある特定のモノに集中しているはずなのだ。


「すまんな……それほど参考にはならなかったかもしれん」

「いや、充分だ。ありがとう、ザーダス」

「クク……まさか勇者に礼を言われる日が来るとはな……」

「ディーラちゃんの手前ああ言ったけど……俺は、お前のことを許してるわけじゃない。あくまで、ディーラちゃんの大切な家族だから……お前がこれ以上罪を犯さないよう監視してるんだ。勘違いするなよ」

「ククク……」


 なんだその、野菜王子を見る下級戦士のような目は……!


「勇者よ。そなたにならば……余はこの肢体を征服されることも、やぶさかではないな」

「んなっ……!」

「クク、冗談だ。いちいち、かわいいヤツよ」

「ぐぅ……もういい! 残りは今度聞く!」


 ……コイツ、本気だった……!

 マインドリサーチ切っときゃよかった。

 くっそ……俺の顔、間違いなく真っ赤だよ。


 逆にこっちが心を読まれているような気分になる。

 まったくもう。油断ならない、元魔王。

 字余り。

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