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機械仕掛けの聖剣使い  作者: epina
Episode05 Clone Rebellion

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Vol.29 King of Slaughter Side

 背徳都市ヴェニッカ。

 都市国家群を構成する都市国家のひとつである。

 かつてディオコルトの活動拠点であり、現在はピースフィアのやり方を「窮屈」だと感じる者共の巣窟。


 この街を囲う石壁の内側では未だにあらゆる淫欲を満たせ、どのような涜神行為も赦されるという。

 残っているのは、望んで堕ちた者たちだけだ。


「……結局、この街とはな」


 街の入り口から漂ってくる忌まわしい空気に、自然と舌打ちが出る。


 例の作戦を継続した結果、最終的に新・聖剣教団が逃げ込んだのはヴェニッカだと特定された。


 かつて、娼婦時代のフランはこの地で暮らしていた。

 何故最も戻りたくないであろう地に、あの女は……。


「ゴズガルド、推参!」

「ライネル、ただいま到着しました!」


 街を背に振り返ると、次々に聖鍵騎士団のメンバーが転移してくるのが見えた。

 その数、おおよそ30名。

 全員が歴戦の精鋭であり、聖鍵とチグリによってもたらされた最新技術と魔導装備に身を固めた、アースフィア最強の軍隊。

 能力ゲイズを使える程度のクローン相手ならば、今までにも充分に戦果をあげていた。


「全員注目」


 俺は彼らの前に立ち、突入作戦前の最終確認を行う。


「俺が聖鍵騎士団全員に一時AAランクを付与してあるから、お前たちならクローンどもの空間遮蔽を気にする必要はない。だが敵はディスインテグレーターで武装している上、リフレクタードローンを駆使してくる。自爆覚悟で量産鍵キーキャリバーを使ってくる可能性もある……決して油断するな。神を殺すつもりで全力を尽くせ。以上だ!」

「全隊抜鍵!」


 騎士隊長ヘレナの掛け声で、量産鍵キーキャリバーが粒子光を伴って全員の手に納まる。


「各騎士、指定されたポイントへ移動。作戦開始!」


 騎士たちが、AAランクのディメンジョン・セキュリティによって転移不可となった背徳都市ヴェニッカへと突入していく。

 あの速度を人間の目で捉えることはできまい。


「さて、と」


 俺は一呼吸整えてから、街へと身を躍らせる。

 元々、騎士団とは別行動の予定だ。

 異分子が交じることで彼らの連携を邪魔することもない。


 路地に足を踏み入れた。

 土レンガや石で積み立てられた雑な家々は、ひとつとして同じ形がない。

 ろくに整備もされていない石畳からは、黄土色の土が顔を覗かせている。

 腐敗、薬、嘔吐物……あらゆる悪臭がないまぜとなって、街中に充満しているのが嫌でもわかる。

 それでも、フォスが最悪だった時に比べてマシに思えるのは、死体も墓もないからか。


 だが、そんなもの……この街ではあるべき日常の一部でしかない。

 街に入ってからすぐに判明した非日常に比べれば、どうということもなかった。


「…………」


 人と出会わない。

 先程から、誰ともすれ違わないのだ。


 賄賂をせびる番兵も。

 うるさいポン引きも。

 客を探す娼婦も。

 やせ細った野犬も。

 ヤクの売人も。


 かつて前世で皆殺しにした住民どもが、顔のひとつも見せやしない。

 こういうのをゴーストタウンと呼ぶのだろう。

 まさに、無人の野を往くが如くだ。


 見るからに何かが起きているのを肌で感じながら、俺はできるだけ焦燥を表に出さないよう表情筋を固定した。


「……始まっているな」


 各所で闇の帳が降りるのを感じとりながら、街の中心へと無造作に歩き続ける。


 中央広場に到達。

 広場には淫靡な全裸女性のオブジェが不規則な配置でいくつも飾られている。

 やはり、いつも像に屯している鴉の群れだけが見当たらない。


 そして、ようやくというべきか。

 俺の視界もまた、夕闇に染まり……街を吹き抜ける生暖かい風がぴたりと止まる。


「……きっと来ると思ったよ、殺戮の王」


 像の一体の影から、黒衣の男が姿を晒す。


「……ブラッド、フラット」


 男の名を、噛みしめるように呟いた。

 この俺に土をつけた、ただひとりの男。

 だが味合わされた敗北の屈辱と裏腹に、不思議と殺意は湧いてこない。

 むしろ、奇妙な連帯感すら感じていた。


 俺は最初にすべきことを済ませることにした。


「降伏しろ。命だけは助ける」

「……驚いた。キミがそんなことを言うなんてね……問答無用で能力ゲイズを発動してくると思ったけど」


 そう言うブラッドフラットには、いつものような芝居がかった身振り手振りがない。

 素の三好明彦のような、軽薄なしゃべり方だった。


「街の人間はどこに行った」

「さあね」


 肩を竦めてとぼける黒衣の男は、チッチと指を揺らす。


「そんなことよりロリコン……じゃあ締まらないな。殺戮王をそれらしくコードネーム風に、キング・オブ・スローターとでも呼ばせてもらっていいかな?」

「長い名前は好きじゃない」

「なら……スローター。キミは何しに来た。いや、何ができる? 目に入るものすべてを殺してきた男が、殺し以外にいったい何を?」


 ブラッドフラットの核心をついた問いかけに、俺は二の句を告げなくなった。


 殺し以外、何ができるのか。

 この世界では、まだバルメーやクローンぐらいしか殺害していないとはいえ、前世において無数の命を殺めたこの俺に。


 ライアーショックによって、俺はほぼすべての記憶を取り戻した。

 取り戻すことができてしまった。

 殺戮王の前世のほとんどは人の死、それも俺の手による殺人が常に付き纏っていたからだ。


「アキヒコへの義理? 俺に対する仕返し? リプラさん、ヤムちゃんを助けられなかった罪滅ぼし? それとも、フランへの的はずれな八つ当たりか?」


 ……ああ、そうか。

 きっとこの男は、俺のすべてを知っている。

 俺がひた隠しにしていた能力のことでさえも、ピース・スティンガーを通してオリジンに伝わり、記憶同期によってブラッドフラットと共有されてしまったのだ。

 だからこの問い掛けは、自問自答に他ならない。


「お前の魂が背負った罪は、魔王ザーダス以上だ。前世の死者は、もうお前を慰めることも、赦すことすらできない。罪が消えることもない。消せるとしたら記憶だけだ。死による魂の漂白、それだけが罪の意識から逃れる唯一の方法だ」

「……生憎だが。俺は罪悪感など感じていない」

「まあ、そうだろうね」


 俺が直立不動のまま答えると、大して感慨もないとばかりにブラッドフラットは頷いた。


「じゃあ、尚更わからないな。俺もフランも殺すつもりがないなら、何をしたいんだ?」


 自身の起源は変わらない。

 三好明彦が最低の人間であることも、俺が殺戮者に成り果てたことも、この体を戦いに特化させたことも。

 俺の在り方を今更変えることなど不可能だ。


 だが、俺は機械オリジンじゃない。

 人間だ。

 なら、自分らしくないことをすることだってできる。


「……約束を果たす」


 そう。

 だから、ここにいる。


「みんなと約束した。アキヒコやリオミだけじゃない。リプラさ……」


 言いかけ、首を振る。


「リプラとヤムに。お前たちを連れて帰ると」


 俺は……殺戮王という名に最も相応しくない目的を達成するために、ヴェニッカに来たのだ。


「……は、はは。今更、だね」


 ブラッドフラットは心底面白くなさそうに笑うと、首を横に振る。


「本当に。今更だ……」

「お前も、もうやめろ。目的はもう、とっくに済んでいるはずだ」

「ん?」

「アースフィアに出てきた叛乱クローンが出てきた場合……そいつらを組織してかき集め、処理させる……それが目的だったんじゃないのか?」

「……なるほど。キミはそういう風に考えたのか」


 情けない話だが、三好明彦クローンたちには叛乱を続ける胆力も根気もない。

 とはいえ、いつ自棄を起こすかわからない。潜伏されれば大きな脅威となる。

 だが新・聖剣教団があったことで、どっちつかずのクローンたちはブラッドフラットに統制され……結果的に、クローンの暴走は抑制された。

 実際、叛乱クローンの割合としては新・聖剣教団に参加していたクローンが多かったぐらいだ。


 クローンの行動は量産鍵が使えないこともあって、ごく限定的な範囲に留まり、聖鍵騎士団による鎮圧活動も順調に進んだ。

 だからこそ、ブラッドフラットの目的は叛乱クローンの制御にあった……少なくとも俺は、そう考えていた。


「確かに、オリジンにはクローンの叛乱がアースフィアに及ぶ場合に備えて準備をしろとは言われていた」


 オリジンの指示……そういうことか。

 ならば、この叛乱もオリジンによって調整された遊戯に過ぎないという情報に信憑性が出る。


 だが……俺の推測はブラッドフラットの次の言葉で完全に裏切られた。


「だけど、残念ながら違う。央虚界のゲートを解放したのは、俺だ。俺が……この叛乱の首謀者だ」

「なんだと!?」


 俺は無表情のまま、思わず声を荒らげた。


 だけど……いや、そうか……。

 央虚界ゲート開放がライアーでもノブリスハイネスでもなく、この男の仕業だった……言われてみれば、そう考えた方が自然なのだ。

 装備、用意の良さ、能力を使いこなすための指導マニュアル……事前に計画していないければ難しかった。

 ゲート解放と同時に新・聖剣教団にクローンたちを誘っていたのなら、メンバーの多さも納得がいく。


 俺が思考を巡らせている間にも、ブラッドフラットは語り続ける。


「確かにクローンの解放は建前さ。復讐心に駆られる三好明彦たちにひとつの方向性を提示してやっただけ。アルテア星系の人類にやったことと同じさ……方法は示し、力を与えるが、アフターフォローはしない。現にお前たちに捕まったクローンは何も知らなかっただろう?」


 最もオリジンに忠実なはずのクローンがその実、オリジン不在になった後、反旗を翻したというわけか……。

 だが、ピース・スティンガーが有効だった間は、このような計画はできないはず。一体、どうやって準備を進めていたんだ?

 いや……ノブリスハイネスと同じように、《クイックタイム》を使えば……あるいは。


 とにかく、こいつがクローン叛乱そのものの首謀者だとすると……。


「お前の目的は……一体なんだ?」

「今にわかる。もっとも……」


 ブラッドフラットは口端を釣り上げた。

 黒衣を翻し、両手にディスインテグレーターを構える。


「キミが俺と戦って生きていられたら、だけどね!」


 やはり、やるしかない。

 とはいえ、俺にとっても望ましい流れだ。


 義体の戦闘モードを起動、顔面筋肉の固定も開放。

 同時に……無表情だった俺の顔に、笑みが刻まれる。

 戦いに身を委ねる愉悦に、義体の表情筋は正しく反応した。


「……やってみろ。やれるものならな!」


 確かに殺しはしない。

 だが……前回の借りは徹底的に返させてもらう。


 夕闇に包まれた背徳都市の中心で、主力構成要素でさえないクローン同士の、最後の戦いが始まった。




 ブラッドフラットが石畳の剥がれた地面を蹴り、俺に向かって跳ぶ。着地地点を狙うべく腰を落とし迎撃体制を整える俺に対し、ブラッドフラットはディスインテグレーターで牽制の1射。だが、俺はその場を動かず右手を翳した。かつてのように腕を犠牲にしようというのではない。


「……ッ!」


 ブラッドフラットが息を呑む。当たったものを問答無用で分解してしまう光束が、俺の右腕に当たると同時に飛散してしまったからだ。俺は右腕を前に突き出したまま、手の平から圧縮空気の砲弾を発射する。壮絶な轟音と反動で周囲のオブジェが横倒しになり、剥がれた石畳が舞い散った。無論、俺は微動だにしない。これを防いでくれれば着地狙いの攻撃を防がれることもない……そう思っていたのだが。なんとブラッドフラットは、何もない空中を蹴って軌道を変更、空気砲を回避した。


 ブラッドフラットはそのまま石造りの建物の上に着地。

 追撃は……あの距離では難しいか。

 俺は改めて構えを取りながら、口を開く。

  

「今の空蹴り……それも能力ゲイズか?」

「いや? 訓練すれば誰でもできる、ただの技巧だよ。それより……今の、どうやった?」


 ブラッドフラットの目は新しいおもちゃを発見したような、キラキラした好奇の光に満ちていた。

 子供か、こいつは。


「ディスインテグレーターは光学兵器。命中と同時にダメージステップを踏むことなく原子分解の効果を発揮する。なら、命中する前に光を散らせばいい」

「そうか! リフレクタードローンの鏡面粒子を装甲に塗布したのか! なるほど道理で、それでゴズの旦那も……」


 ディスインテグレーター自体は、あくまで光線銃だ。光は特殊処理された鏡面粒子ならば、偏光できる。そうでなくてはリフレクタードローンなどという兵器が成立するはずもない。

 ドローンのように鏡面粒子を空気中で操作できるわけではないので、散らすので精一杯ではあるが……光線を防御できるようになるのは大きい。

 ゴズガルドは両手両足の義体に、鏡面粒子を塗布していた。ディスインテグレーターとリフレクタードローンを見て、ライネルが咄嗟に思いついたのだそうだ……まったく、いい凸凹コンビだ。


「ディスインテグレーターは封じた。お前に勝ち目はない」

「どうかな? 鏡面粒子は命中時のプラズマ振動で消費される。同じ部位で受け続ければ危ないと思うね」


 士気を挫くつもりだったが、さすがに見破られるか……。


「量産鍵のコピー&ペーストで再塗布すればいいだけの話だ」

「そんなヒマ、俺が与えると思うのか?」

「ならば、先に攻め落とすだけだ……!」


 今度はこちらから仕掛ける。

 俺はローラーダッシュを起動し、お世辞にも良いとは言えない足場を踏破しながら、ジグザグの起動で石像を盾にしつつ接近する。ブラッドフラットもこちらが遮蔽物を利用することは想定していたらしく、建物の上を移動しながら両手のディスインテグレーターで時間差射撃を試みてきた。1射目で遮蔽物を分解し、2射目を当てようというわけだ。視界内の女の裸が次々と消滅し、俺の胸で回避しきれなかった光線が弾ける。だが、俺は構うことなくブラッドフラットが足場にしている建物に向けて進撃。


「すぅ―――覇ッ!!」


 建物の壁の目前で、まずは左震脚。ぬかるみの見える石畳の隙間を縫うように、大地に衝撃を伝え……コンマ数秒の差で腰の回転を加えながら右腕をまっすぐに突き出した。ルナ・オリハルコニウムの握り拳は握力10トンに設定。建物の基部にまで振動が完全に伝わるよう調整した正拳突きは、爆音とともにブラッドフラットの足場を消し飛ばした。崩れる足場に巻き込まれて落ちるようなタマではないブラッドフラットは直前に跳び、再び空中で軌道を調整、その勢いのまま俺の頭上に舞い降りる。


「ヒュゥ……バケモンめ!」


 ブラッドフラットは器用に体勢を整え、黒衣で風を切り裂きながら重力を乗せた蹴りを俺の後頭部に放ってきた。ローラーダッシュでは間に合わないと踏んだ俺は、左踵のターンパイルを大地に打ち込み、右足だけでローラーを起動。左足を支点にその場で半回転、キックの軌道から逃れる。蹴りと同時に地面に着地したブラッドフラットに今度こそ特大の一撃を見舞うべく、ローラーダッシュの回転を止めずに右腕を側面に伸ばしながらラリアットの体勢に入った……だが、この判断は仇となった。奴もさるもの……着地と同時に体の天地を逆転し、頭を地面に押し付けるようにしてカポエラのようなスパイラルキックで俺の腹部を蹴り飛ばしたのだ。


「おゴ……ッ!!」


 なまじ左踵のターンパイルを地面に刺していたせいで衝撃を逃がしきれず、俺は苦悶に打ち震えた。ブラッドフラットはラリアットを回避するために、蹴りの衝撃を使ってそのまま横へ跳ぶ。

 奴の姿勢も不自然だったため、幸いダメージはそこまででもない。これが硬い地面だったら危なかっただろう。道路整備をサボっていたヴェニッカ政府の怠慢に感謝だ。

 ターンパイルを戻して回転を止める。その間に追撃がなかったところを見る限り、蹴りの反動で逃げたブラッドフラットも体勢を整えるのに時間を要したようだ。


「……いいねぇ。こういう戦いは、なかなか俺たちじゃあ経験できないからな……」

「ぬかせ」


 シニカルな笑いを浮かべながら、頬についた泥の汚れを指で拭うブラッドフラット。

 俺は義体に機能不全がないことをチェックすると、再び腰を落とした。

 再度、ブラッドフラットの立ち姿をサイバーアイで確認する。


 義体化はせず、フィジカルブースト系の能力でこちらの動きに追随してくる点は、前回のクローンたちと同じ。

 武装はディスインテグレーターの二丁拳銃と、ルナ・オリハルコニウム製の安全靴。

 接近戦では俺の義体にも大きなダメージを与えられる蹴り、中距離では精密な狙いの原子分解光線、遠距離ではおそらくリフレクタードローンを用いたオールレンジ攻撃がくるだろう。


「やっぱり能力ゲイズを使ったほうがいいんじゃないかい?」

「いいや。殺さずに、死にたいと願うほどの恐怖を味あわせて痛めつけると決めている……」

「それも約束? そりゃどうも……お優しいことで」


 もちろん、能力の使用を戒められているということもある。

 だが、前回戦ったときのようにインタラプト系能力者が随伴していないのに、コイツは堂々と姿を晒した。

 視界内に入れば即刻発動可能な《オーソーン・キルダイヤル》の力を知っているのに、だ。


 三好明彦おれたちは、わかりきった危険に身を晒すほど勇敢でも無謀でもない。

 あの落ち着きよう……自分は絶対大丈夫だという確信があるのだ。

 

「だけど、手加減して俺に勝てると思われるのは心外だぜ!」


 ブラッドフラットがあらぬ方向にディスインテグレーターを構える。


 来るか。

 この男は屋根の上を移動しているときに、リフレクタードローンをばら撒いていた。

 ドローンは空気の流れによって漂い、ターゲットに向けて光線を反射してくるだろう。

 だが、リフレクタードローンの場所はインプットした。場所さえわかっていれば、見えているドローンとの射線に注意しておけばいいだけだ。

 戦いの前に散布されたドローンは少なくとも視界内には見当たない。先程も遮蔽物を分解していたから、おそらくないと思っていいだろう。こちらの油断を誘っている可能性もあるが。


「へへへ……」


 ブラッドフラットは笑った。

 勝ち誇っているのではない。

 まるで、こちらの意図が透けて見えると言わんばかりの笑みだった。


「行くぜ……第2ラウンドだ!」

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