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10「総合ギルド天明旅団」

 ギルド――天明旅団てんめいりょだん

 学園を出た後、俺とクレナはその本部に足を運んだ。


「うわー、でっかいねー」


 アールネリア王国には数々のギルドが存在するが、中でも天明旅団は規模が大きく、知名度も高い。特に王都グランセルには本部が置かれており、そちらの設備は非常に充実しているという噂だ。宿泊施設もあるに違いない。


 天明旅団については、妹のミュアから何度か話を聞いている。ここはミュアが所属しているギルドだ。


 中に入ると、清潔感のある内装が俺たちを迎えた。

 ギルドの種類によっては、フロントが酒場のような雰囲気になっている場合もある。冒険者ギルドなどがいい例だ。一方、天明旅団は総合ギルドに該当する。文字通り冒険者のみならず、商人や鍛冶師など、あらゆる職掌の者が所属できるギルドだ。


「ケイル君。あれって、ミュアちゃんじゃない?」


 クレナが何処かを指さして言う。

 そこには――。


「……ミュア、だな」


 剣姫ミュアを表す絵画が、ギルドの壁に大きく掛けられていた。絵画の中のミュアは、まるで深窓の令嬢であるかのように上品な微笑を浮かべており、その手に握る一振りの刀が神々しく輝いていた。……世間のミュアに対するイメージは知っていたが、これはやり過ぎた。ミュアは、本当はもっと子供っぽい。


「ケイル君が、ミュアちゃんの兄だって知られたら、ちょっとヤバそうだね」


「ああ。……まあでも今回は、そうならない予定だ」


 クレナは「そうだね」と頷いた。


「いらっしゃいませ。新規登録ですか?」


 受付嬢が俺たちの顔を見るなり言った。どこで判断しているのかは不明だが、俺たちは一目で新参者だと気づかれたらしい。


「はい」


「畏まりました。……二人とも吸血鬼のようですね」


 受付嬢が、俺とクレナの瞳の色を確認して言った。

 今、俺の瞳は紅色になっている筈だ。


 ギルドに来る前に、俺はあらかじめクレナの手によって眷属にしてもらっていた。ギルドへの加入条件は、能力の制御が可能であることを証明することだ。俺は人間のままだと自分の能力が使えないため、眷属になり、吸血鬼の力を得なければならない。


 今回、俺は人間ではなく、吸血鬼のフリをしてギルドに登録することにした。

 だからミュアの兄であることが露見することもない。


「ギルドへの入団条件は、能力の制御が可能であると証明することです。吸血鬼用の入団試験の準備をいたしますので、少々お待ちください」


 そう言って受付嬢がカウンターの奥にある部屋へ向かう。

 暫く待っていると、隣のカウンターから怒鳴り声が聞こえてきた。


「だから、俺が剣姫の兄だって言ってんだろ!」


「ですからお客様。何か証拠を示していただかないと――」


「この髪の色を見ろ! 剣姫とそっくりの銀髪だろうが!」


 背中に大剣を背負った、がたいのいい男が、受付嬢に迫っていた。

 受付嬢は溜息を零し、疲れた様子で対応している。


「お待たせしました」


 俺たちの担当をする受付嬢が、奥の部屋から戻ってきた。


「あ、あの。あれは……?」


「ああ、偶にいるんですよ。剣姫様の兄を名乗って、うちに登録しようとする人が」


 どういうことだ?

 クレナと顔を見合わせ首を傾げていると、受付嬢が説明した。


「剣姫様に兄がいることはご存知ですよね?」


「は、はあ、まあ」


 いや、そんな。

 一般常識みたいに言われても。


「剣姫様は、お兄様のことをとても尊敬しているみたいでして。いつか、お兄様が天明旅団へ登録しに来た時のために、様々な支援の用意をしているんです」


「支援、ですか?」


「はい。具体的には、金貨三百枚と、各国を自由に出入りできるS級通行証、王家御用達の白兎馬はくとばを用いた馬車に、一泊金貨二十枚もする高級宿一年分の予約、後は名だたる商人や冒険者たちとの顔合わせの機会や、各国の貴族への紹介状など――」


「も、もういいです! 十分、わかりました!」


 おい。…………おいッ!

 ミュア! 幾らなんでもやり過ぎだ!

 状況は理解できた。つまりその支援の内容が、いつの間にか外部に漏れてしまったのだろう。だから、それを目当てにミュアの兄を偽る者が現われたのだ。


「ケイル君……私の報酬、いらなくない……?」


「……いや、そんなことはない」


 クレナの震えた声に対し、俺は顔を顰めて答える。


「このままだと……俺は一生、ミュアに養われるような気がする」


「……確かに」


 クレナが納得する。

 しかし正直なところ、今まさに俺たちは宿や馬車を求めていた。暫く身を隠すための宿と、いざという時に逃げるための乗り物。この二つを得るためには……俺がミュアの兄だと名乗り出るのも悪くないかもしれない。


「ちなみに、お兄様の容姿は黒髪とのことですから、あの男は偽物です」


「……成る程」


 受付嬢の言葉に納得する。


「あと、その瞳は全てを飲み込む夜空の如く慈愛に満ちた黒色で、薄らとした唇からは雄々しい色気が漂い、手足はスラリと長く、無駄のないモデルのような体つきで……すれ違えば誰もが振り向くほどの美形であるとか……」


 誰のことを言ってるんだ?

 少なくとも俺のことではない。どうやらミュアには俺とは別の兄がいるらしい。


 隣で、クレナが笑いを堪え切れず「ぶふぉっ!」と噴き出した。

 俺がミュアの兄だと名乗り出ることはできない。ここで名乗り出ても鼻で笑われるのが目に見えている。


 もっとも……よく考えれば、最初からミュアの支援を受け取るのは難しい。

 ミュアが用意してくれた支援の内容は、既に外部へ漏れているのだ。それを受け取ってしまうと、金貨や馬を狙った悪漢どもに十中八九、襲われる。ただでさえ帝国の軍に追われている俺たちが、これ以上、敵を増やすわけにはいかない。


「それでは、入団試験の説明をいたします」


 受付嬢が言う。

 彼女は両手に、水の入ったグラスを持っていた。


「吸血鬼の方々には、水とグラスを利用した試験を受けて頂いています。こちらに血を一滴入れ、一分間、水に溶けないよう維持してください」


「なるほど……面白そうっ!」


 クレナが弾むような声音で言った。

 これで吸血鬼の能力をある程度、測ることができるということか。……確かに少し面白い。


「それでは、始めてください」


 受付嬢の指示に従う。俺とクレナは、差し出されたナイフで指先を軽く切り、ほぼ同時にグラスへ一滴の血を垂らした。


 三十秒が経過した。

 まだ、俺の方は余裕がある。隣のクレナを一瞥すると、余裕の笑みを浮かべていた。クレナは王族で、しかも純血の吸血鬼だ。ギルドへの加入条件くらい、余裕で満たしているだろう。


(余裕、というか……負担を感じないな)


 グラスを見ながら考える。水の中の血は、全く溶けることなく、球状のままグラスの中央に浮いていた。一応、その形状を維持するように頭で念じてはいるが、どれだけ時間が経っても負担を感じることはなかった。


「一分が経過しました。……おめでとうございます、二人とも合格です」


 クレナが「ふぅ」と安堵に胸を撫で下ろした。

 互いに顔を見合わせて笑みを浮かべる。俺も内心、ギルドに登録できたのは嬉しかった。今までは無能力ゆえに登録すらできなかったが、これからは自由に活動できる。もうミュアにばかり負担をかける必要もない。


「お二人さえよろしければ、このまま続けることも可能ですが、どうしますか?」


「続ける?」


 受付嬢の言葉に、俺は訊き返した。


「試験はこれで終了ですが、入団希望者の中には自分の限界を知りたいと言って、最後まで続ける方も結構いるんですよ。この試験は吸血鬼の方々にとって、自分の実力を証明するものにもなりますし。長い人だと、稀ですが、五分近く維持できる方もいましたね」


「ご、五分!? それは流石に、厳しいかも……」


 クレナが驚愕して言う。

 少し考えて、俺は答えた。


「すみません。この後、予定がありますので」


「わかりました。ではこちらのグラスはお下げいたします」


 受付嬢がグラスを持って、奥の部屋に向かう。

 それと入れ替わるかのように、大きな男がやってきた。


「ん? お、新入りか?」


「そう、ですが」


 カウンターの向こうからやってきたということは、この男もギルドの関係者だろう。

 しかし、筋骨隆々の目立つ体格をしているため、机仕事をしているようには見えない。


「ガリア=ブロニクス。ギルド天明旅団のマスターをやっている者だ」


 マスター。つまり、王国随一の規模を誇るギルド天明旅団の、最高責任者だ。

 そんな大物に声を掛けられるなんて全く思っていなかった俺たちは、つい硬直した。

 鼻白む俺たちを、ガリアさんは顎髭を撫でながら観察する。


「見た感じ、どちらも"格"が高い吸血鬼だな。有望な新人が入ったようで嬉しいぜ」


 その一言に、クレナが目を丸くした。


「人間なのに"格"がわかるんですか?」


「これでもマスターだ。そこらの人間とは経験が違うんだよ。亜人の王にも何度か会ったことあるしな」


 ガリアさんはガハハ、と豪快に笑いながら言った。


「で、お前ら、名は?」


 その問いを受けて、俺は少し緊張した。

 名前。――ここで本名を告げるわけにはいかない。ミュアの兄だと名乗るつもりはないし、それに俺が吸血鬼ではなく人間であると発覚するのもマズイ。

 だから――。


「ノウンです」


 俺が言う。


「アンです」


 続けて、クレナも言った。

 俺と同じようにクレナも偽名だ。彼女は今、帝国の軍に追われている。馬鹿正直に本名を告げる必要はない。


「ノウンに、アンか。……二人揃って正体不明アンノウンとか言うんじゃねぇだろうな」


「言いませんよ。この名前は偶然です」


 二人揃って正体不明アンノウンである。

 ガリアさんの勘は正しかった。


「まあいい。んじゃ、この用紙に記入しな」


 カウンターに出された二枚の用紙に、俺とクレナはそれぞれ記入を始めた。


 昔、ミュアに聞いた通りだ。

 天明旅団は偽名での登録を黙認する。……かつて、公爵家の長男が身分を偽って登録しにきたことが切っ掛けらしい。後日、身分の詐称が明らかになったものの、その人物は既にギルドに欠かせない逸材になってたらしく、やむを得ず身分詐称を黙認したそうだ。以来、天明旅団は偽名を黙認している。


「あの、このギルドには宿泊施設があるんですよね?」


 用紙への記入を終えた俺は、早速、本題を切り出した。


「あるにはあるが、利用できるのはEランク以上の団員に限る。登録したばかりのお前たちはまだFランクだから、利用できないぞ」


 ガリアさんの回答に、隣でペンを走らせていたクレナが手を止め、顔を上げた。

 登録したばかりでは宿を利用できないらしい。……しまった。それは知らなかった。


「な、なら今日中にランクを上げることは可能でしょうか。どうしても今晩、泊まりたいのですが」


「……うちはポイント制だ。団員は、依頼を達成することで、その難易度に合わせたポイントを獲得し、これが一定の値に達するとランクが上昇する。今日中にEランクに上がりたいなら、とにかく高ポイントの依頼を請けるしかねぇな」


「高ポイントの依頼、ですか?」


「ああ。当然、依頼自体の難易度も高くなる。と言ってもお前たちはFランクだから、そこまで難しい依頼は請けられねぇけどな」


 ランクは依頼の受注条件にも関係する。

 高難易度の依頼は、高ランクの団員でないと受注できないことが多い。


「Eランクへの更新条件は、100ポイント以上の獲得だ。本当はポイントをとった後、試験と面接をする必要もあるんだが……お前たちの"格"なら、遅かれ早かれDランク以上にはなるだろう。今日中に100ポイントを獲得できたら、俺の権限で試験と面接を免除してやる」


「あ、ありがとうございます!」


 深々と礼をする。

 その後、ガリアさんは二枚の用紙をカウンター奥にある部屋に持っていった。暫くすると、最初に試験を担当した受付嬢が、二枚のカードを持ってくる。ギルドカードと呼ばれる、ギルドの団員であることを証明する道具だ。


 カードの中心には、「F」と記されていた。

 ここに今のランクが記されるようだ。

 晴れて天明旅団の団員になった俺たちは、早速、依頼を探した。


「100ポイント以上獲得できる依頼は……あ、これとかどうかな!?」


 掲示板に張り出された羊皮紙を、クレナが指さす。

 そこに記されていた依頼の内容は――。


「ゴブリンの巣の破壊か。……俺、ゴブリンを討伐したことすらないんだけどな」


「大丈夫! 私は何度かあるし! あ、でも巣の破壊となると、ちょっと火力が足りないかも……」


 ゴブリンは緑色の皮膚をした、人間の子供のような魔物である。一体一体は弱く、初心者でも簡単に倒すことができるが、巣を破壊するとなると群れとの戦闘になるだろう。俺やクレナに、群れを一掃するだけの力はない。


「そこの二人。お前らも、この依頼を受けるつもりか?」


 横合いから声がかかる。

 そこには大柄の男と、背の低い少年が立っていた。大柄の男が、俺たちの見ていた依頼を指さして訊いてくる。


「俺たちも丁度、火力不足で悩んでいたところだ。良かったら一緒にこの依頼を請けないか?」


 男の提案に、クレナが俺の方を見た。


「ノウン君、どうする?」


「……好都合だ。提案を受け入れよう」


 そう告げると、目の前の二人がそれぞれ自己紹介をする。


「俺はドロス。ランクはEだ」


「僕はピクシスです。同じく、ランクはEです」


 どちらも俺たちより経験のある団員だ。

 俺とクレナも名とランクを告げる。名は勿論、偽名を伝えた。

 するとピクシスが、口を開く。


「そちらは二人とも吸血鬼みたいですね。……二人は『血舞踏ブラッディ・アーツ』を使えますか?」


「おい、ピクシス。『血舞踏ブラッディ・アーツ』ってなんだ?」


 ドロスが訊く。


「吸血鬼は種族特性を利用した、独特な戦闘術を身につけることがあります。それが『血舞踏』です」


 ピクシスが説明する。

 俺はクレナの方を一瞥した。クレナが首を縦に振る。彼女も使えるようだ。


「大丈夫だ、どちらも使える」


「わかりました。なら恐らく、二人がゴブリンとの戦闘に負けることはありませんね。しかし……『血舞踏』は、集団戦には向いてないと聞いたことがあります。この四人なら、時間をかければ依頼を達成できるかもしれませんが……日を跨ぐかもしれませんね」


「それは……困るな」


 ピクシスの予想を聞いて、俺は小さく呟いた。

 帝国に狙われている今の状態で野営は厳しい。夜は王都など人の目が多い場所にいたかった。


「ドロスはともかく、妖精の僕に直接的な戦闘力はありません。せめて後一人、いれば助かるんですが……」


 ピクシスが言う。

 妖精の種族特性は、自然の状態を的確に把握することだ。温度、湿度、気圧、風速などを読み取ることで、天候の予想や、動植物の在処などを推測できる。しかしこの力は、サバイバルには向いているが、戦闘には向いていない。


「困ってる?」


 その時。一人の少女が、俺たちに声をかけてきた。

 長い金髪に、黒いリボン。虎の耳を生やした、長身痩躯の少女だった。


「アイナ?」


「久しぶり」


 以前、学園のサバイバル演習で遭遇した獣人の少女だ。

 かつて俺を、獣人の眷属にした張本人でもある。


「おい、アイナって……最近、Aランクになったという例の獣人か?」


 ドロスが恐る恐る言う。


「多分それ」


 アイナは淡々と頷く。

 その様子に、俺は首を傾げた。


「有名なのか?」


「……たった一年でAランクまで上り詰めたという、天明旅団きっての有望株だ。なんでも、かつての剣姫を彷彿とさせる活躍ぶりだとか」


 ドロスが説明した。

 アイナの方を見ると、彼女は相変わらずの無機的な表情を浮かべていた。サバイバル演習の時にも感じてはいたが、やはり彼女は相当な実力者らしい。


「困ってるようなら、私が手伝ってもいいけれど」


 アイナの提案に、俺は目を見開いた。


「いいのか? 正直、かなり助かるが」


「持ちつ持たれつ」


 アイナが言う。

 借りはまた今度、返してくれたらいいということだろうか。


「アイナさんが協力してくれるなら心強いですね。では、この五人で受注しましょう」


 ピクシスの言葉に、一同は頷いた。

 ドロスが掲示板から依頼用紙を剥がし、カウンターの方へ向かう。


「依頼の受注を頼む。メンバーはこの五人だ」


「畏まりました」


 受付嬢が、依頼用紙に大きな判子を押した。






 ◇






「お、あの二人が出発したか。依頼は何を請けたんだ?」


 ギルドを出ていくケイルたちの後ろ姿に気づき、ガリアは隣で作業する受付嬢に声をかけた。


「ゴブリンの巣の破壊です」


「Fランクがやるには、ちょいと難易度高めの依頼だな。まあしかし、今日中に100ポイント稼ぐとなると妥当か。……ところでお前、ノウンとアンの入団試験を担当しただろ? グラスと水は片付けたか?」


「あ! すみません、忘れてました! すぐに片付けます!」


 受付嬢が慌ててカウンター奥の部屋に入った。

 天明旅団は規模が大きいわりには本部で働く人員が少なく、そのため忙しさに比例して些細なミスが増える。特に最近は、剣姫の兄を詐称する輩がよく現われるため、余計な業務も増えつつあった。


 カウンターにまた、新たな客が現われる。

 ガリアは、グラスを片付けに行った受付嬢を呼び戻そうと、自らも部屋へと入った。


 部屋の中で、受付嬢は呆然と立ち尽くしていた。


「おい、どうした」


「マ、マスター」


 振り返った受付嬢は、驚愕のあまり、顔を蒼白く染めていた。


「……き、吸血鬼の試験の、最高記録って、どのくらいでしたっけ?」


「最高記録? ……ちょっと待ってろ」


 ガリアは壁際の棚から一冊のファイルを取り出した。このファイルの中には、吸血鬼の入団試験に関する書類が保管されている。パラパラと書類を指で捲ったガリアは、やがて目当ての情報を見つけた。


「最高記録は、現吸血鬼王の弟……ギルフォード=T=オーディルニーズ様の、七分四十二秒だな。流石に王様の弟だけあって、他の吸血鬼とは一線を画している。……この記録を抜けるのは、ギルフォード様の兄、つまり吸血鬼の王くらいだろうよ」


「そ、それが、その……」


 受付嬢が震える指先で、ある方向をさした。

 そこには、先程の入団試験で利用したグラスが置かれていた。


「ノウンさんが使っていたグラス……もう、十分以上、経っているのに…………」


 ケイルが利用したグラスの中を見て、ガリアは絶句した。

 水の中央には、赤い血が溶けることなく残っていた。




 現吸血鬼王は試験を受けたことがないので、記録は不明です。


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[一言] なるほど、ノウンは吸血鬼王だったのか…!(違う
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