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第六十一話

またまたできたてほやほや。いよいよキャンプ編突入。新キャラとの絡みが大変です。

結局有里奈とは夏休み中に一度、ちゃんとしたデートをしようと言う約束をさせられ、その日は別れる。浩也にしてみれば、わざわざ待ち合わせから形式ばらなくても、どうせ通り道なんだからそこで待ち合わせすればいいじゃないかと思うが、気分が違うらしい。とは言え、別に有里奈と出かけることに文句はないので、大人しく有里奈の言うとおりにする事にする。ちなみに、どこで何をするかも有里奈プロデュースらしく、浩也は今回は待ちの姿勢である。


そしてその日の夜、家に着いた頃合で、浩也の携帯にLINEが入る。相手は理緒からだった。


『浩也、勉強会いつやる?』


理緒からのLINEは、先ほどの会話の続きで、早速の確認だった。


『ちなみに宿題の消化率は?』


『理数系以外は一通り終わらせた。理数系は浩也に教わりながらやろうと思って、取っといてある』


『なら一通り、それが終わってからな。わからないところは飛ばしてくれれば、一緒に勉強する時にそこだけやれば、効率がいい。それに少しは自力でやらんと、理解できんぞ』


『えー、1問目からわかんない』


『却下だ。教科書見ながらでも何とかこなせ。勉強会はそれからだ』


『浩也の鬼!悪魔!いけず!』


『なんとでも言え。キャンプ後に勉強会するから、それまでに進めるように!』


『了解、そのかわりちゃんとやってたらご褒美ね、もう約束したから、じゃねっ』


そういって理緒からのLINEが途絶える。浩也は思わず舌打ちするが、折り返し送ったLINEは既読すらつかず、これは確実に携帯を見ていなかった。


「どいつもこいつも勝手に人の予定を埋めやがって。まあしょうがねーか」


浩也はそう一人ごちる。結局は自業自得なのだ。だからと言って、誰かと焦って付き合うわけにもいかない。だから浩也は、深く溜息をつくのであった。


その後の一週間、浩也は宿題に精を出しつつ、基本的にはダラダラと過ごす。途中、朋樹や孝太と男子会を開き、ゲームに遊びにと男子だけの気兼ねない付き合いに興じたくらいで、特段誰と会うわけでもなく、穏やかな夏休みを過ごす。ちなみにLINEは男女問わず、色々入ってきており、陽子からは、まいとプールに行った画像が送ってこられ、有里奈からは、遊びに行く先の候補が送られ、理緒からは宿題のヒントを求めるLINEがはいった。ちなみに飛鳥からもLINEが入り、どうやら入手元は由貴姉らしいが、今度遊びに連れて行って欲しいとの要望だったので、それも快諾し、今度バイトに行った時に予定をあわせる旨の約束をしていた。気がつけば、夏休み終盤は、キャンプに始まり、それぞれとのデートと店のバイトで全ての日取りが埋め尽くされていた。


そして怒涛の夏休み終盤戦。浩也はキャンプメンバーと待ち合わせをするべく、西条駅の改札に来ていた。


「おう、浩也、思ったより早かったな」


「まだ朋樹だけか?他にももう来ているかと思ったよ」


「ああ、男子は安藤と林はもう来てて、さっきそこのコンビ二に行った。女子は春香と橘がもう来てて、さっきお手洗いにいった」


浩也はそう聞いた後、周囲を見回す。後は陽子とまいちゃん親子、理緒に美波、修二が来れば、全員集合となる。まあ理緒たちはどうでもいいが、まいちゃんはこちらが誘っただけに、面倒を見なければと浩也は使命感にかられているので、特に注意を払う。すると上り階段から小走りでやってくる少女を発見。


「ひーろー!」


少女は両手を広げ、真っ直ぐに浩也の方に向かってくる。浩也は転んだら大変とばかりに、少女の方によって行くとしゃがんでその手を広げる。


「きゃーっ、ひーろー、すごーい」


真っ直ぐ飛び込んできたまいをそのまま抱きかかえ、一気に肩車をしてあげる。肩に乗ったまいは大はしゃぎだ。


すると遅ればせながら、陽子とその姉と思しき人物が、浩也の元へとやってくる。


「もー、まい、走っちゃダメって言ったでしょう、浩也君もごめんね」


そう言って、まいをたしなめた後、陽子は浩也に謝罪してくる。するとそんな陽子にその姉と思しき女性がニコニコしながらも、ツッコミを入れてくる。


「陽子ちゃん、そういう時はごめんねじゃなくて、ありがとうよ。えーと、浩也君だよね、初めまして、陽子の姉でまいの母親の北見京子です。ありがとう、まいの面倒見てくれて」


「いえ、その特別なことはしてないので、気にしないで下さい。あっ、自分は高城浩也です。今回は、よろしくお願いします。」


浩也はまいを肩車しているので、簡単な会釈だけでも挨拶をする。すると肩の上のまいが、それに習って、同じように挨拶をする。


「きたみまいです。3さいです。よろしくおねがいします」


すると浩也は肩車から抱っこに切り替えて、まいの顔を見ながら、笑顔を見せる。


「はい、おねがいされました。今回はいっぱい遊ぼうな、まいちゃん」


「うん!」


「あらあら、すっかり懐いちゃって。新しいお父さん気分かしら、陽子ちゃん、私も旦那さんゲットに頑張ってもいい?」


「ダメに決まってるでしょっ、ひ、浩也君も手だしちゃダメだからねっ」


浩也は、流石に冗談だろうと思い、京子の顔を見るが、変わらずニコニコ顔のポーカーフェイスに、思わず引きつった笑いを見せる。


「大丈夫よ。陽子ちゃんの好きな人取ったりしないから。浩也君もそこは安心していいわ。まあ陽子ちゃんにその気が無いのであれば、積極的に行くけどね」


「おねーちゃんっ!?」


陽子は慌てて焦った表情を見せる。そして浩也はそんな2人のやり取りを見て、なんとなく、京子に由貴と同じものを感じる。


『ああ、これは厄介な人だ』


浩也は手玉に取られる陽子を見ながら、極力関わり合わないようにしようと、心に誓うのだった。


そして程なくして、理緒や美波、修二達も到着し、一行はキャンプ場へと向かう。行き先は下り電車の終点ということもあり、電車の中はガラガラで、全員がある程度固まって座ることができた。ちなみに浩也の膝の上にはまいが座っており、4人掛けのBOX席で、隣に陽子、正面に理緒がいて、理緒の隣には、美波が座っていた。


「そうそう、浩也君、あの榎本先輩が、幼馴染だって本当?」


美波が開口一番口にしたのが、そんな質問。ちなみに理緒も陽子も知っている事で、なんならまいも知っている事実なので、浩也は淡々と答える。


「ああ、有里奈の事なら本当だぞ。ちなみに理緒や陽子、まいちゃんまで知っている。まあ、元々知ってたのは、朋樹くらいだけどな」


「ゆーなちゃん?」


「そうそう、ゆーなちゃんな」


有里奈の名前に反応したまいに浩也は優しく頭を撫でてあげる。すると美波が毒気を抜かれ、目線を理緒へ移す。


「本当よ、あの超絶美女が浩也の幼馴染、本当やんなっちゃう」


「いや、アンタも大概な美少女よ。陽子も可愛いし、浩也君の周りって、ちょっと異常じゃない?」


そう言って美波は呆れた声を返す。美波自身、実家の食堂では、看板娘で、客からはチヤホヤされもするが、この中に入ると見劣りして、気がひける。しかしそんな美波の表情を理緒は鼻で笑い、美波の最大の武器を上下に揺らす。


「何言ってるの?こんな最強の装備を身に付けておいて。ある意味凶器よ、これ。ねえ、浩也」


浩也は理緒の誘いにのったら負けだとばかりに、そのタユンタユンと揺れる胸から目を逸らす。因みに反対側の4人席に座る男性陣、安藤佳樹と林孝彦、近藤修二の3人は思わずその光景に釘付けになる。


「なっ、ちょっと理緒止めてよっ、ってアンタら何見てんのよ」


美波は慌てて理緒の手を弾くと、慌てて胸を隠し、隣のBOXの男性陣に睨みをきかす。すると3人もまた慌てて反対側に顔を逸らし、何もなかったように振舞う。ただその脳裏にはたわわに実る豊満な果実が、上下にゆれる様が焼きつかれ、思わず顔がにやける。


「うーん、ない。キモいわ、あんた達。浩也をちょっとは見習いなさいよ、明らかに罠とわかって、思いっきり顔を逸らしたわよ」


そう言って、理緒は3人をバッサリと切り捨てる。浩也はそんな理緒をジト目で見て突っ込みを入れる。


「やはり罠か、理緒、お前恐ろしい奴だな。あんなトラップ、付き合い長くなきゃ、確実に引っかかるぞ」


「あら、浩也も見たかったって事?いやらしい」


「そこはあえて断言しよう。あの3人に限らず、視界に入ったら、釘付けになる代物だ。見たい、見たくないで言えば、見たいに決まっている。健全な高校生男子だからな。とは言え、実際に見るか見ないかは、理性の問題でもある」


浩也にそう断言された美波は胸を隠しつつも、怒ったらいいのか、テレたらいいのか判らず、なんだか微妙な表情になる。するとそんな美波に陽子が助け舟を出す。


「浩也君は美波が魅力的だから見たいけど、本人が嫌がるなら見ないと言ってるだけよ。そう言うところは表裏ないから。まあ一番悪いのは理緒だから、やり返すなら理緒をお勧めするわ。ああ、男子、見たらきっと殺されるわよ。一応忠告しておくけど」


するとその陽子の言葉に得心がいったのか、美波が理緒のほうを向いて両手の平をワキワキとし始める。


「ひっ、み、美波、は、話合いが必要よ。浩也、助けて」


「あー俺は男子だから見ない事にする。ほらまいちゃん、あっちのお山に雪がかかってるぞーっ」


浩也はそう言って窓の外から見える、日本一高い山を指してまいに話しかける。


「うわー、すごーい」


そんな浩也を尻目に、理緒は美波のワキワキした手の平に翻弄されるのだった。


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― 新着の感想 ―
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