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第六十話

少し更新が遅くなりました。もう少し関係を進展させるべく、考えながらな為、筆が遅くなり。。。

そういえば、飛鳥もそろそろデートさせないと可愛そうだなと思うこの頃。

そうして花火が終わりを向かえ、周囲がばらばらと帰ろうとする中、浩也はまいを抱えながら、理緒とおぼしきカップルの方へと歩きだす。不意をつかれた陽子と有里奈は、慌てて浩也を追いかけて、声をかける。


「ちょっ、浩也君、どうしたの?そっちに何かあったの?」


「ああ、ちょっとな、まあ行けばわかる」


そうして浩也が歩を進めると、程なくして理緒が浩也に気がつく。


「へっ、浩也!?祭りに来てたの?って、その子誰?あれ、陽子に有里奈さんも?ちょっと浩也、どういう事?どうして私も誘ってくれないの」


「だーっ、色々質問しすぎだ。まずこの子は陽子の姪っ子、ほら、今度のキャンプに陽子のお姉さんとくるって言ってただろ。それに今日は海の家のバイトが最終日で、打ち上げ兼ねて遊びに来てんだ」


「ああ、その子が陽子の、こんばんは、私は陽子の友達で、井上理緒っていうの」


さっきまで浩也の首にガッチリしがみつていたまいが、理緒を少し見て、返事をする。


「いのーえりおちゃん?」


「ああちょっと名前が長かったね、りおでいいよ」


「りおちゃん?」


「そう、りおちゃんです。おなまえは?」


「きたみまいです。3さいです」


「おおっ、お名前ちゃんと言えるんだ、えらいねー」


そう言って理緒が優しく微笑んだのを見て、まいも警戒心を緩めて、笑顔になる。すると今度は有里奈が、どうしても聞きたいと言った表情で、理緒に聞いてくる。


「ちょっ、ちょっと、理緒ちゃん?その隣の男子は、彼氏?そうなの、どうなの?」


もしこれが理緒の彼氏なら、有里奈はグッと彼女に近づくことになる。陽子もそこは同意見でじっと理緒の返答を見守る。


「ふぇ、彼氏?誰が?ああ、コレ?」


「チッ、人をコレ扱いするな、このクソ姉貴」


「「姉貴ーっ」」


動揺する2人を尻目に、やっぱりそうかと浩也が理緒の弟に声をかける」


「やっぱそうかー、(さとし)お前、背伸びたなーっ」


「ちっす、高城先輩、お疲れっす」


そう言って聡は体育会系のノリで浩也に挨拶をする。聡の身長は170cmを超えたくらいだろうか、理緒の姉弟だけあって、見た目もすっきりしたイケメンだ。


「おー、久しぶり。こうしてまともに話すの、1年振りくらいか?」


「藤田先輩は高校に入ってから、何度か話してますが、高城先輩は、全然、寄ってくれないので、ほぼ2年振りくらいっす」


聡のその返しに浩也は苦笑いをする。実際、高校に入って何度か、朋樹に誘われはしたが、全部断っていた。サッカーを続けていない浩也が、先輩風吹かすのもどうかと思っていたのだ。


「悪いな、朋樹から理由も聞いてるだろう?って、お前らどうした?」


ふと目を横に向けると、有里奈と陽子が微妙な顔をしている。なんだか心を乱した自分達がバカみたいなのだ。するとニシシッと笑いながら、理緒が言う。


「残念だけど、コレは弟だから。ちなみに浩也は部活の後輩だから知ってて当然だし、へんに疑うこともないから。それより勝手に出し抜かないでよね、私だって、浩也と花火見たかったのに」


「まあでも今日の主役はまいちゃんだからな、って、あれ、もしかして寝ちゃったか?」


そう言えばさっきからやけに静かだ。ちなみに浩也からは表情が見づらいので、陽子が近寄って臨みこむと、案の定、その瞼は閉じていた。


「ありゃりゃ、寝ちゃってる。浩也くん、重いでしょう?抱っこかわろうか?」


「いや、へんに起こしたら可哀想だ。このまま家まで運ぶよ。そろそろ人もはけてきたし、帰ろう。理緒達はまだいるのか?」


「ううん、私達も帰る。途中までは、一緒でしょ」


「そうだな。有里奈、帰るぞ」


「うん、寝ちゃってるまいちゃんも可愛いね」


そう言って隣に並びかけ、まいの表情を覗き込む有里奈。そのさりげない行動に、理緒がジト目を送る。


「自然、自然過ぎるよ。陽子もそれでいいの?」


「はは、でも浩也君はその辺無頓着だからなぁ。まあ、理緒、アンタも人の事言えないけどね」


そう言って、有里奈とは反対側をキッチリキープする理緒に苦笑いをする。


「おお、リアルハーレム、初めて見た。高城先輩っぱねえっす」


「チッ、おい聡、ちゃんと聞こえてるぞ、誰がハーレムだ、誰が!理緒と有里奈、お前らは後ろを歩け、狭い道なのに、横並び3人は危ない。陽子、隣に来てくれ、まいちゃんが起きた時に知ってる顔が無いと不安になるだろう」


そう言って浩也は聡に睨みを効かせた後、理緒達を移動させる。理緒と有里奈は渋々後ろに下がりつつ、浩也をジト目で睨む。


「浩也君、なんか後ろで2人睨んでいるけど、いいの?」


「まあいいだろう、今日の主役はまいちゃんだしな。お姫様の安全が第一。それに理緒あたり、ただでは転ばない性格だからな」


そして後ろで聞き耳をたてていた理緒がニヤリと笑う。


「流石は浩也、良くわかってる、なら私は、夏休み期間中のデートを所望するわ。いいでしょ?それくらいなら」


「ああ、そう言えば、理緒とは前に約束してたしな。場所はうちでいいか?」


それを聞いて、浩也はニヤリとしながら、理緒に振り返る。


「ふぇ、お、おうち?えっ、良いけど?約束?っておうち?」


理緒はおうちデートと聞いて、明らかに動揺する。しかもその動揺は、隣の有里奈まで波及し、浩也と理緒を交互に眺めて、慌てている。


「おうちデートって、ヒロ、な、何をするつもりなの?如何わしいのは、お、お姉さん、ゆ、許しませんよっ」


「有里奈、なんでお前、お姉さんキャラなんだ?まあ良い、高校生の男女、一つ屋根の下でヤル事と言ったら、決まっているだろう?」


浩也は、有里奈に軽いツッコミを入れた後、涼しい顔で思いっ切り含みを持たせた言い回しをする。妄想を広げる理緒と有里奈は、顔を赤らめ、更に動揺する。


「ひ、浩也っ!?え、いや、良いけど、そのそういう事は、できれば、彼女になってからっていうか、そのもう、彼女って事?」


「ちょっ、ヒロ?なら順番的に私が先って言うか、じゃなかった。ダ、ダメよ。そ、そういうのは、もっと大人になってからっていうか」


すると浩也の隣にいる陽子が、軽く溜息をつく。


「浩也君、ちょっとからかい過ぎ。ちゃんと説明しなさいよ」


「はは、陽子は流石に動揺して無いな。俺が何を考えているかわかるみたいだ。ちなみにその心は?」


浩也は感心したように、陽子を見て答え合わせを求める。陽子は少しだけ考える素振りを見せるが、答えは決まっているのか、すぐにそれを口にする。


「んー、多分だけど、勉強会なんじゃない?学校終わる前に、理緒、宿題を教えてとか言ってそうだし」


「おおうっ、大正解だ。流石は陽子、良くわかってる!」


すると後ろの2人が、がっくしと項垂れる。


「そ、そう言えば宿題を教えてって約束してた・・・」


「う、うん、だよね、私もきっとそうだと思ってたよ。ヒロだもんね、そんないかがわしい事なんて、考えてないよねっ」


すると浩也は後ろの2人を見て、はっきりと言う。


「まあそう言う事だ。ちなみ有里奈も知っているだろうが、うちの母親は専業主婦だから、家には基本、いるからな。しかも世話好きで、客がきたら色々世話をする。だから、お前らが考えているような余地はないぞ」


2人は顔を見合わせて、しらじらしく笑いあうと、それを見ていた陽子が、思わず笑いだす。


「ふふふ、普段の2人なら浩也君のいたずらに気づかない筈ないのに、焦り過ぎですよ。そんなのだと、私にもチャンスがあるかも」


「よっ陽子っ」「陽子ちゃんっ」


その後の帰り道、3人の女子は姦しく騒ぎながら、浩也の周りで楽しそうにする。そんな人達を最後尾でぼんやり眺めていた聡は、浩也へのっぱねえモテっぷりに感動するとともに、姉の女子っぽさを見て、姉のそういう姿って、気持ち悪いなぁなどと思っていた。


そうして理緒達と別れて、陽子とまいを家まで送った後、いつも通り、有里奈と一緒に家路へと向かう。まだちらほら祭り帰りの客もいて、なんとなく町がまだ起きている感じがする。


「なあ有里奈、これは今、必要か?」


浩也は繋がれた手を持ち上げ、有里奈に問う。浩也にしてみれば、今日は町もまだ賑やかで、暗がりが苦手な有里奈でも、そう問題はないと思っていた。


「良いじゃん、少しくらい彼女気分を味わったって。ヒロとこうして2人っきりで歩ける機会なんてそう多くないんだし。それに、幼馴染でしょ?これくらい、普通、普通」


「まあ繋ぐぐらいは、別にいいんだが、まだ答えは先だぞ。最近、考えるようにはしてるが、まだ正直、ピンとこない。好きとか、付き合うとかな」


「わかってるわよ。ヒロがちゃんと考えている事くらい。だから、今こうして思い出を作ってるの。いやだけど、私じゃないかもしれないし」


有里奈はそう言って、少しだけ拗ねた表情を見せる。浩也は客観的にこの幼馴染が可愛いとは思っている。勿論、外見だけでなくその性格もだ。普通であればこうして手を繋いでいるだけでも、ドキドキしたり、顔を赤らめたりするような行為のはずなのだが、暖かい気持ちにはなるが、ドキドキとかはなぜか縁遠かった。


「うーん、どうやったら有里奈に対して、ドキドキしたりするんだろうな?俺は有里奈のこと好きだと思うし、大事にも思うけど、ドキドキとかラブラブ?的な感じが全くしない」


「うー、それって私に魅力がないってこと?」


「それも違うなー、魅力的だと思っているよ。まあ外見も内面もな。前にも言ったろ、結婚してもいいくらいには魅力的だと思っている」


ただそう言う浩也からは、告白特有の甘い香りは一切しない。ただ感じたまま、事実を述べているに過ぎないのだ。なので、有里奈は思わず苦笑しつつ、悩める最愛の男子に質問する。


「それって、例えば陽子ちゃんや理緒ちゃんでもそう思うんじゃない?」


浩也はそう聞かれて考える。理緒と結婚?正直これはピンとこない。陽子とは?何となくそっちはありえそうな気もする。でも付き合って楽しそうで考えると理緒に関してはイメージが湧き、陽子はありえなくもない気がする。じゃあ有里奈はというと、実際今と何が変るのか、さっぱりわからない。


「結婚という部分では有里奈が一番イメージが湧くな。陽子もまあまあ、理緒はさっぱり。付き合ってデートとなると理緒はイメージ湧く、陽子はまあまあ、有里奈は今と何が変るのか、さっぱり想像つかん」


「んー、私とは2人で遊びに行った事何回もあるから、新鮮味がないのかな。確かにこれまでと何が変るって言われても答えられないかも。理緒ちゃんは確かに遊びに行ったら楽しそうだしね。陽子ちゃんはバランス型なのかしら?」


そう言って浩也の意見に自分なりの考えをのせる。


「うーん、そんな感じかな。まあ実際、付き合ったら考えも変るのかもしれないが」


そこで有里奈が思いついたとばかりに、浩也に言う。


「ヒロ、それなら私とデートしましょ、ちゃんと待ち合わせから普通のデートらしく、2人っきりで!そこでヒロをドキドキさせてあげるんだからっ」


その時の有里奈の表情は、珍しく強気で強い意思が感じられ、浩也は思わずドキッとした。










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