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第十一話

前日に引き続き、

ジャンル別日間現実世界〔恋愛〕1位


ありがとうございます。ブックマークも2000件を超え、多くの人に興味いただき、感謝感謝であります!


そんなご一行がカラオケボックスで親睦を深めた後、次に何するかーと言う話になる。ちなみにカラオケボックスでは、最初はそれぞれ、自分の好きな歌を歌っていたが、男子メンバーの点数合戦が始まり、意外にも孝太が1位、浩也が2位、朋樹が最下位になるという結果に終わった。孝太は物まね交じりが功を奏したようで、女子からは大ウケを貰いご満悦だった。浩也は無難に好きなロックバンドのノリの良い曲を歌い、意外にも陽子がファンということでお褒めの言葉を貰った。朋樹はバラードを歌ったが、難易度の高い曲で、高音を出し切れずに、点数を下げたが、イケメンのバラードはやはり格好良く、なんとなく孝太と浩也は負けた感を味わうのだった。


「んー、カラオケ、座りっぱなしだったから、今度は体を動かしたいなー」


店を出たあと、浩也は伸びをしながらそんな事を言い出す。するとロングスカート姿の春香が自分のスカートを摘まんで浩也に言う。


「うーん、確かに体は動かしたいけど、そんなにハードな奴は出来ないよ?」


確かに今日の女子の格好で言えば、陽子はパンツルックで春香はロングスカート、めぐみはワンピースで膝下丈のものだ。ただ陽子も足元は踵の低いがパンプスなので、動きやすい格好とは言えないだろう。すると朋樹がいい事を思いついたとばかりに、提案してくる。


「ならボウリングはどうだ。これならそこまで激しい動きにはならないし、折角だから、男女ペアで勝負しようぜっ」


「ほほう、先ほどビリだったのが余程悔しかったと見える。どうする孝太、負け犬が吼えているが」


「ふん、いくらイケメンとは言え、ボールを扱わせて野球部に勝てる訳が無いだろう、受けたその勝負っ」


高校生男子が3人集まって、勝負事となれば熱くならないはずが無い。3人はお互いを挑発しあい、勝手に盛り上がっている。そんな三人を少し引き気味に見ていた陽子が、春香とめぐみに話しかける。


「春香どうする?男子はなんか盛り上がってるけど」


「うーん、ボウリングでも良いけど、私やった事無くて」


「私も良いよ。お兄ちゃんと行った事もあるから、はるはるには負けないよ」


すると盛り上がった男子3人から、パートナーの女子の指名が入る。


「めぐみちゃん、俺と組んでくれっ。浩也と朋樹に勝ちたいんだっ」と孝太が懇願する。


「陽子、勝ちに行くぞ。俺たちが最強だと言う事を思い知らせてやるんだっ」と浩也が指名する。


「春香、俺がフォローするから、一緒に頑張ろう」と朋樹が誘う。


女子3人はそれぞれ顔を見合わせ、陽子が女子陣を仕切って、話を纏める。


「うーん、じゃあボウリングにしようか。チーム分けはそれで決定でいい?」


「いいよー」「うん、私もそれでいいよ」と各々返答する。すると浩也がニヤリを笑い、全員に提案する。


「なら今回はビリは罰ゲームありにしようぜ。ぶっちゃけその方が盛り上がる」


「えー罰ゲーム?何をするの?」


「うーん、ビリが1位の1ゲーム分を奢るとかそんな感じのもので良くないか。まあ罰が目的じゃないからな」


思わず声を上げる春香に、浩也が悩みつつ返答する。するとボウリングに自信の無い春香が難色を示す。


「えー、私、本当にやった事無いから、全然自信が無いんだけど」


「春香、そこは俺がフォローするよ。俺、スコアで200超えたことあるし。何とかなるよ」


「うー、朋樹君期待しちゃうからね」


「任せておけっ」


不安がる春香をそう言って朋樹は元気付ける。そんな2人を見ていた浩也と孝太は戦いの前に何故だかイケメンに負けた感を再び味わうのだった。


ボーリングの勝負は2ゲーム目からと言う事になった。流石に男子はともかく女子陣はそれ程経験が無い為、まずはボウリングそのものに慣れる必要があり、練習を兼ねて1ゲーム目は費やされる事となる。


男子は快調に朋樹がストライクを連発させ、浩也は手堅くスペアを刻む。孝太は、やや波がありストライクと数本しか倒せない時とを繰り返し、全体的なスコアは朋樹が圧倒的な状況だった。


女子の方は、経験者であるめぐみは無難にスコアをまとめ、時折ストライクやスペアを出す。自信の無いと言っていた春香は力が無いのか、ボトンッとボールを転がすと、そのまま低速で転がり、何回かガーターを出したものの、それ以外は7、8本をコンスタントに倒すという思いのほか安定したスコアを叩きだした。そして浩也のパートナーである陽子に関しては、こちらは思いのほか駄目だった。春香より勢い良く球は転がるのだが、ピン近くになると球が端に転がり、2、3本倒すか、ガーターとなる。


「やー、なんでっ。真ん中行かないのーっ」


「陽子落ち着け。真ん中に目印があるだろ?あれの右より3つ目くらいを狙うんだ。そうすれば、お前の球筋だったらストライクになるから」


浩也は焦りまくる陽子に、丁寧に説明を繰り返す。ただ浩也が隣の席で肩を寄せて、説明するので陽子は気が気ではない。


「浩也・・・君、ちっ近い。判った、判ったから」


「お前、さっきもそう言ってど真ん中投げてただろ。右より3つ目だぞ?落ち着いて投げれば大丈夫だから」


そして次の陽子の番になり、陽子は投げる前、一度深く深呼吸する。


「右から3つ目、右から3つ目・・・」


陽子はその奥に並ぶピンは意識せず、手前の目印のみに集中し、球を投じる。球はスーッと3つ目の目印を通りすぎると、中央のピンの側面にヒット。そのピンが横倒しとなり、ガラガラッと音を立てて全てのピンが倒れる。


「キャーッ、浩也、ストライクッ、ストライクッ」


興奮した陽子ははしゃぎながら浩也の元に近寄ってくる。


「陽子ナイスッ」


浩也はそう言って近づいて来た陽子に手のひらを広げてハイタッチのを準備をする。陽子は先ほどまでのテレが無くなったかのように、ハイタッチを交わすと、ニコニコ顔で浩也にくっつくように隣の席に座る。するとめぐみが何食わない顔で陽子を茶化す。


「陽子ちゃん、おめでとー。なんかそうして2人で座ってると、彼氏、彼女みたいだねー」


「ひえっ、あ、いや、これは、その」


喜びすぎて、全く意識をしていなかった陽子は、その一言で隣に男子の浩也が、直ぐそばにいることに動揺をする。それを見てめぐみがニヤニヤとしながら、追い討ちをかける。


「あれーっ、陽子ちゃんどうしたの?顔真っ赤だよー」


浩也は陽子の顔を見て、しまった、やられたと苦い顔になる。これはめぐみの策略だ。天然かもしれないが、折角自信のつきかけた陽子のメンタルが、動揺により崩れ落ちている。一方のめぐみを見ると、浩也と目があったタイミングでパチッとウインクしてくる。やばい、このままだとめぐみにしてやられる、浩也は陽子に顔を寄せ、落ち着くように促す。


「陽子、めぐみの冷やかしは、お前を動揺させる作戦だ。頼むからいつもの冷静な陽子になってくれっ」


「いや、だから、浩也・・・君、その顔、近いっ」


そんな浩也の忠告も空しく、陽子の動揺はエスカレートする。その後も浩也は懸命に忠告するが、陽子のメンタルが落ち着く事は無かった。


結果は当然のごとく、浩也達の惨敗に終わる。1位は僅差ながら、朋樹・春香ペアが飾り、2位は孝太・めぐみペアとなる。1位2位が僅差になったのは、春香とめぐみの実力差によるものだろう。朋樹はその差を単身で埋め、孝太はその差を活かしきれなかった。ただゲームとしてはそのほうが盛り上がり、良いゲームだったと浩也は思う。


「浩也君、ごめん。足引っ張っちゃって」


動揺の所為で、ダントツの最下位となった陽子はしょげた顔をして、少し俯いている。ただ浩也はそれも含めて楽しいゲームだったと思っているので、笑顔で言葉を返す。


「まあ気にするな、所詮ゲームだしな。それに俺としては、かわいい陽子の姿が見れて、それはそれで新鮮だったし。楽しければそれで良しだろ」


「うー、かわいいって言わないでっ。でも私自身、男子と一緒でこんなに動揺するとは思わなかった。いつもなんて、男子なんてバカねくらいにしか思ってなかったのに。今日はずーっと浩也・・・君に調子狂わされっぱなしだわ」


ゲームが終わって落ち着いてきていた陽子の顔が再び少し赤らむ。


「ふふふっ、陽子ちゃんってほんと初心だよね。少しははるはるを見習った方が良いよ」


めぐみが浩也と陽子の会話に割って入ってきて、目の前を歩く朋樹と春香を見やる。すると2人は仲良さげに楽しそうに会話をしている。カラオケの時からずっと、何だかんだ2人でいる時間が多く、その間終始良い雰囲気だった。そこに孝太も会話に参加してくる。


「あの2人、付き合うのかな?」


「さあな、まあそうなっても不思議は無いけど。なんてったって、相手はあの朋樹だし、春香もかわいいからお似合いだろ」


浩也は孝太の言葉を受けて、目を細めてそう言う。ただ陽子は腑に落ちない顔をして、浩也に言う。


「うーん、まあお似合いだけど、朋樹君、春香に気があるの?私てっきり、理緒の事が好きなんだと思ってた」


「理緒?いや、全然知らんが。孝太、知ってたか?」


すると孝太も首を振り、浩也に同意する。


「朋樹と井上さん?浩也と井上さんのアホな会話の印象が強すぎて、んー、実際どうなんだろ?」


「フフフッ、浩也君と理緒、まだバカな会話をしているのね。ならそっちは気のせいか。中学の時、一時期噂になってたりもしたんだけどね。まあ噂の数で言えば、浩也と理緒の方が圧倒的に多かったから、そっちは直ぐに立ち消えちゃったしね」


「ああ、そっちは高校でも継続中っすね。俺に言わせれば、付き合ってても不思議はないって、思うくらいだし」


今度は理緒と浩也のカップリングで盛り上がる陽子と孝太。浩也は2人の会話を聞いて、やれやれといった表情で、いつも通り否定する。


「俺と理緒だろ?ないない、まあ良い奴だとは思うけどな。それに理緒って男に興味ないだろ。俺とバカやって満足してる感あるじゃん」


「ふーん、じゃあ、浩也はどんな子が好きなの?」


そこで浩也は考え込む。うーん、そもそもモテない自分が女子と付き合う姿が想像できない。一番近い存在といえば、有里奈だが、あれはもう身内枠だしな、などと思い悩んだ後、すっきりした表情でハッキリ言う。


「わからん。好きになった奴が好みなんだろ。型に嵌めて誰かを好きになるわけじゃないしな」


「まあ、そうなんだけど、結局考えるの面倒くさくなっただけでしょ」


陽子はそう言って、ジト目で浩也を睨む。そこで浩也は陽子を見ていたずらを思いつく。


「そんな事は無い、何なら陽子が好みだぞ。テレる姿がかわいいからな」


「なっ、やぁ、そっそう言うのは無し、バカ浩也っ」


浩也の突然のかわいい発言に、陽子はやはり直ぐに顔が真っ赤になる。ついに君づけも無くなった。


「ハハハッ、それそれ。それがかわいいんじゃないか。なあ、孝太、そう思うだろ。これでグッとこない男はいないよな」


「確かに。真面目で美人系の女子が、デレる姿、かわいいっす」


浩也は完全に悪ノリだが、孝太は案外真面目にありだと頷いている。そうなるともう恥ずかしさが振り切れた陽子は、2人の前から隠れるようにめぐみの後ろへと隠れる。


「きゃーっ、やめてー、お嫁に行けないーっ」


「陽子ちゃん、お嫁にいけないって、それじゃむしろ逆にお婿さん候補が増えちゃうよ」


めぐみはすっかり可愛らしくなった友人に半分呆れながらも優しい笑顔になるのであった。


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