656手目 ヒントでポンと、バラエティ将棋クイズ2
【第2問 13手詰(munetokiさん)】
※通常の詰将棋。
※駒箱と後手の持ち駒から盤面を推測できないように、非公開。
※最終手は2通り。
13手かあ。長い。
そのせいか、最終手は2通り、という追加のヒントがあった。
ヒントになれば、だけど。
次の詰将棋が始まる前に、飛瀬さんからルール説明。
《次のクイズパートは、ボード記入式です……クイズが出たあと、30秒以内に、ボードに答えを書いてもらいます……正解チームには3ポイント……その中から、一番早くボードを立てたチームに、詰将棋パートの権利が与えられます……》
詰将棋パートのルールはいっしょ、と。
よしよし、これで少しは勝負になる。
《今回は相談できるように、チームのあいだに仕切りをします……》
ブースの左右に、すりガラスようなものができた。
出題は、葉山さんにバトンタッチ。
《それでは、第1問》
ジャジャン
《女流棋戦で最初に創設されたのは、女流名人戦。では、3番目に創設されたのは?》
うわあ、3番目か。
2番目は、王将戦くさいのよね。あれも伝統がある。
っと、こんなこと考えてる場合じゃない。
私は、
「倉敷か王位じゃない?」
と言った。
松平も、
「どっちかだろうな」
と返した。
ポーンさんは、わかりません、とのこと。
私は、
「倉敷っていう名前は、プロ棋戦にないから、あとだと思う」
と推理した。
松平も同意してくれた。
《3、2、1、解答ドン!》
レッツゴー3人娘がゆく 女流王位戦
剣ちゃんず 女流王位戦
81Boys レディースオープン
スーパー歩夢くん 女流王位戦
マジシャンズチェックメイト 倉敷藤花
千駄ヶ谷棋面組 女流王位戦
桜川48 倉敷藤花
チーム駒北 レディースオープントーナメント
レディースオープン? ……あッ、終了した棋戦も含むのか。
でも、さすがに王位のほうが古いでしょ。
《解答陣、3択に分かれました。答えは~》
レディースオープントーナメント
ガーン、いきなり外れた。
けっこう自信あったのに。
《81Boysとチーム駒北が正解ですッ! 両チームに3ポイント!》
《早押しじゃなくても、強いですね……》
《それでは、詰将棋パート。先にボードを立てたのは、81Boysです。どうぞ》
マイクを通して、大場さんの声が聞こえた。
「1一、2一、3一っス」
おっと、いきなり3つも登場。
《全部ヒット。これは幸先がいいか? 第2問、1974年、女流棋士制度が初めて作られ、6名の女流棋士が誕生しました。そのうちふたりを、フルネームで答えなさい。ただし、旧姓があるときは、旧姓で》
むっず。
松平は、
「蛸島、関根が初期なのは知ってる。けど、関根は夫がプロの関根だから、旧姓はたぶん違う」
と言った。
私は、
「あと……名前にカタカナ入ってるひと、いなかった?」
と指摘した。
「あー、山下カズ子」
そうだ、山下さんだ。
けど、旧姓で答えないといけないし──山下は旧姓?
《3、2、1、解答ドン》
レッツゴー3人娘がゆく 関根紀代子、蛸島彰子
剣ちゃんず 山下カズ子、蛸島(名前未記入)
81Boys 山下カズ子、多田佳子
スーパー歩夢くん わかりません
マジシャンズチェックメイト (白紙)
千駄ヶ谷棋面組 蛸島アキ子、山下カズ子
桜川48 関根喜代子、蛸島章子
チーム駒北 蛸島彰子、多田佳子
《正解チームは……残念ながら、ありません》
うーん、全滅。
飛瀬さんは、
《山下さん、蛸島さんは旧姓ですが、関根さんは吉田、寺下さんは高崎、多田さんは浅田です……旧姓を併記しない将棋文化に、そもそも問題があるかも……》
と解説した。
蛸島さんの下の名前を覚えていれば、正解だったのか。残念。
一方、松平は、
「たしかに、改姓はほとんど女性がしてるもんな。ここはひとつ、俺が裏見剣之介になるしかなごふぅ」
反省なのか冗談なのか、わからないのはNG。
《詰将棋パートはナシです。第3問、現在、女流棋士になるための条件は、複数あります。研修会から上がる場合、満たさなければならない条件を、ひとつ挙げなさい》
難易度が急に下がったような。
私は、
「年齢制限があるんじゃない?」
と言った。
松平は、
「たしかに、だけど、何歳だったか」
と悩んだ。
すると、ポーンさんが、
「奨励会と同じなのでは?」
と言った。
ん、それっぽい。
っていうか、他に手掛かりがない。それで進める。
松平は、
「奨励会なら26だぞ」
と言った。
私は、26以下か、未満か、と尋ねた。
「えーと、26までいられるから、26以下」
「ほんと? その言い方だと、26歳になった翌日に、辞めないといけないけど?」
「あ、そっか……奨励会より、早くなるな……」
5、4、3、2、1
《解答ドン》
レッツゴー3人娘がゆく 26歳の誕生日を迎えた期まで
剣ちゃんず 27歳未満
81Boys C1以上
スーパー歩夢くん 27歳未満
マジシャンズチェックメイト 26歳以下
千駄ヶ谷棋面組 Aリーグ優勝
桜川48 C1以上のクラス
チーム駒北 C1以上
《バラバラになりましたが、答えは、C1以上在籍、研修会入会後の対局が48局以上、かつ、27歳未満です》
セーフ。
飛瀬さんは、
《奨励会との比較で、複雑に考え過ぎたチームがいますね……奨励会は、26歳の誕生日を含むリーグを最後とする、です……》
とコメントした。
《一番早かったのは、チーム駒北です。どうぞ》
大場さんは、
「1二、2二、3二っス」
と指定した。
ひとつヒット。
詰将棋の解答はパスして、次の問題へ。
《第4問、これまでの女流棋士のうち、最年少で女流プロ入りをしたのは、だれ? フルネームで、旧姓があるときは旧姓で、答えなさい》
最年少か。
あるあるな問題だけど、けっこう難しいかも。
松平は、
「林葉じゃないか?」
と言った。
「中井さんじゃない?」
「……そうか、中井も早かった気がするな」
意外と遅かったのが、清水さんだったとも思う。
ポーンさんは、
「Frauサトミではないのですか?」
と訊いた。
うーん、里見さんが最年少云々で騒がれた記憶、ないのよね。
《3、2、1、解答ドン》
レッツゴー3人娘がゆく 中井広恵
剣ちゃんず 林葉直子
81Boys 藤田綾
スーパー歩夢くん 藤田あや
マジシャンズチェックメイト 里見香奈
千駄ヶ谷棋面組 藤田綾
桜川48 藤田綾
チーム駒北 藤田綾
……あ、ダメっぽい。
《正解は、藤田綾さん、1998年に、11歳6ヶ月です》
《小学生女流プロで、騒がれましたね……》
騒がれましたね、と言われても、私はまだ1歳なんですが。
《スーパー歩夢くんは、漢字で書けてないので、不正解です。早かったのは、チーム駒北。どうぞ》
「1三、2三、3三っス」
なにもなし。
「詰将棋の解答は、パスするっス」
《では、第5問、今年8月に、女流最多連勝記録を樹立した、里見香奈さん。この連勝を止めたのは、だれ? フルネームで、旧姓があるときは旧姓で、答えなさい》
うおおお、簡単なようで、わからん。
私は、
「ごめん、最近の将棋情報、追ってないんだけど」
と言った。
松平は、
「俺もだ。ポーンは、どうだ?」
と振った。
「8月はドイツに帰っておりまして……」
受験生2名と留学生1名のチーム、時事クイズに向いてなさすぎる。
《3、2、1、解答ドン》
レッツゴー3人娘がゆく 伊藤沙恵
剣ちゃんず 加藤桃子
81Boys 伊藤沙恵
スーパー歩夢くん 伊藤さえ
マジシャンズチェックメイト 伊藤沙恵
千駄ヶ谷棋面組 伊藤沙恵
桜川48 伊藤沙恵
チーム駒北 伊藤沙恵
うわーん、みんな正解してるっぽい。
《正解は、伊藤沙恵! スーパー歩夢くんと剣ちゃんず以外、正解です。一番早かったのは、81Boys。マスをどうぞ》
……………………
……………………
…………………
………………ん?
《マスをどうぞ》
また沈黙。
マイクが壊れてるのでは?
と思いきや、いきなり捨神くんの、
「マスと解答の順番って、固定?」
という声が入った。
《と言いますと?》
「詰将棋を先に解いて、間違ったらマスを指定、はダメ?」
《あー、飛瀬さん、どうなんでしょうか?》
《オッケーです……》
そのあと、数秒、間が空いた。
「1三飛、1二銀、2三桂、同金、1二飛成、同玉、1三銀、同桂、2四桂、同金、2二飛、1一玉、2一飛成」
ピンポンピンポーン
えぇッ!?
《おおっと、いきなり正解だぁ! 81Boys、連続正解ッ!》
私が困惑していると、松平は、
「しまった、詰将棋は露出してたんだ」
と言った。
私は、どういうことかと訊いた。
「さっきの捨神の手順で、見えてない駒は使ってなかった」
……え、じゃあ、6マス開けた時点で、解答可能になってたってこと?
《正解図をどうぞ》
マジかぁ。
13手だから、6マスに収まってると思わなかった。
葉山さんは、
《81Boys、累計127ポイント、これは独壇場になってきたか、それとも、他のチームが巻き返すのか。それでは、次、行ってみよう》
私が落胆するなか、3問目のクイズが始まった。
飛瀬さんの解説。
《早押しクイズに戻ります……ただし、問題の形式が変わります……これからスクリーンに、プロの公式戦で出た、有名な局面が浮かび上がります……それがだれとだれの対局だったか、その時点のフルネームで答えてください……どのタイトル戦だったかまでは、答えなくていいです……よろしいですか……?》
あまりよろしくないですが、しょうがない。
葉山さんにマイク交代。
《さーらーにー、今回から、お邪魔キャラが登場します。ほいじゃまか、入場ッ!》
スタジアムの入場口から、3つの人影が登場した。
桐野さん、神崎さん、吉備さん。
桐野さんはヒマワリ、神崎さんは忍者、吉備さんはペンギンのコスプレ。
先頭の桐野さんは、葉っぱの手を大きく振った。
「ほいじゃまかァ~、お花と愉快な仲間たちですぅ」
「フフフ、待たせたな」
「これは、レム睡眠時における大脳皮質の覚醒状態……夢ですね。って、去年も同じことを言った気がします」
クイズでお邪魔キャラ? いったいなにが始まるんです?
葉山さんは、追加ルールの説明に入った。
《ここからは、ほいじゃまかにも、ゲームに参加してもらいます。ほいじゃまかがクイズに正解した場合、盤上に現れている駒を、もういちど隠します。また、第10問からは、ほいじゃまかにも詰将棋の解答権が発生し、ほいじゃまかが正解した場合、そこでゲームセット、50ポイントはだれももらえません》
【クイズパート】
1、将棋クイズが出される。早押し。
2、正解したチームに5ポイント。
3、不正解だった場合、そのチームはそのクイズの解答権を失い、再度早押し。
【詰将棋パート】
〔ほいじゃまか以外が正解した場合〕
4、正解したチームは、将棋盤から3マス選択。パス可。
5、選択されたマスに駒が隠れている場合、その駒が表示される。
6、正解したチームにのみ、詰将棋の解答権。1分以内。パス可。
7、詰将棋も解けたときは、チームに50ポイント。ゲーム終了。
8、解けなかったとき、またはパスしたときは、1へもどる。
〔ほいじゃまかが正解した場合〕
9、ほいじゃまかは、将棋盤から2マス選択する。パス不可。
10、選択されたマスに駒が現れている場合、駒が消えて見えなくなる。
11、第10問から、ほいじゃまかにも詰将棋の解答権が発生。1分以内。パス可。
12、ほいじゃまかが詰将棋に正解した場合、ゲーム終了。50ポイントは没収。
12、ほいじゃまかに解答権がない場合、あるいは詰将棋が解けなかった場合、1へもどる。
【第3問 3手詰(シナトラさん)】
※フェアリールールではない。
※駒箱と後手の持ち駒から盤面を推測できないように、非公開。
※収束は4通り。
《ちなみにメモ禁止ですッ!》
だんだんと複雑になってきた。
とはいえ、コンセプトは単純。
部分的な目隠し将棋だ。
《では、第1問、だれが指しているでしょーか》
※実際のスクリーンでは、5五の地点から、時計回りに渦巻き状に表示されています。
ポーン
歩夢くん。
「羽生善治、加藤一二三」
ピンポンピンポーン
《1998年度、第38回NHK杯の準々決勝でした。5二銀で気づきましたかね。では、マスをどうぞ》
「1一、2一、3一」
王道の、右上隅攻撃。
けど、これは外れ。
《では、第2問、だれが指しているでしょーか》
ポーン
五見くん。
「中原誠、米長邦雄」
ピンポンピンポーン
《1979年度、第37期名人戦、第4局でした。5七銀のタダ捨てが、有名な一局です。マスをどうぞ》
「1二、2二、3二」
これも外れ。
なにも表示されなかった。
《なかなか出てきませんねえ。それでは、第3問、だれが指しているでしょーか》
第2問 13手詰
https://tsumeshogi.com/problems/mg-9tiyjzz
第3問 3手詰
https://tsumeshogi.com/problems/qjhqe3__eb




