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こちら、駒桜高校将棋部Outsiders  作者: 稲葉孝太郎
第21局 2014年度 四市対抗オールスター戦(2015年1月11日日曜)
224/686

212手目 リベンジ、爆弾リレー将棋!

※ここからは香子きょうこちゃん視点です。

 というわけで、私たちはリベンジ成功。

 打ち上げのご飯が美味しい、はずなんだけど――

「まさか、3−4でチーム負けとはなあ」

 菅原すがわら先輩は、メロンソーダをストローで吸いながら、呆れ顔。

 そう、駒桜こまざくら市は、本榧ほんがや市に負けてしまったのだ。

 結果を聞いて、私と松平まつだいらはびっくりした。

「ふえぇ……ごめんなさぁい……」

すみちゃん、完璧に三間対策されてたっス……」

 葛城かつらぎくんと大場おおばさんは、しょんぼり。箕辺みのべくんも、申し訳なさそうに、

「すみません、俺の責任です。本榧は、やたら偵察に来ていました。もっとオーダーを考えたほうが良かったです。準備不足でした」

 と謝った。菅原先輩は、ニット帽を引いて、

「謝るこたねぇよ。オーダーは水ものだ」

 と言ってから、またメロンソーダを飲んだ。

「ま、1年生には、いい薬になったろ。他のブロックも、まだまだ強いってことだ。慢心せずに、来年度からがんばれよ」

 お説教も終わって、私たちはふたたび会話に華を咲かせた。

 ここは、本榧市内のレストラン。去年の打ち上げ会場と、一緒のところ。私はハンバーグステーキにサラダで、すこし奮発してみた。吉備きびさんとの戦いで、消耗しちゃったからね。松平は、左隣でサイコロステーキを頬張っていた。さらにその左隣には、丸目まるめくんの姿があった。久しぶりということで、男子のおしゃべりに夢中。

 割り込みにくい雰囲気だったから、私は、右隣の神崎かんざきさんに話しかけた。

「神崎さんは、どうだった?」

「拙者は三連勝だ」

 うーむ、強い。

しずか殿も三勝したが、鎌鼬かまいたち市は、いかんせん人材が薄くてな。総合では三位だった」

「それ言ったら、艶田つやだのほうが人いないのですぅ。最下位なのですぅ」

 対面に座った桐野きりのさんが便乗してきた。

「駒桜には、後進が多くいる。来年度は、駒桜の一強かもしれぬな」

 さあ……来年の話は鬼が笑うらしいけど、どうかしら。

 食事が終わったところで、私はコーヒーを持ってきた。

 ドリンクバーだから、2杯くらい飲んでも、と思った瞬間、パンと手が鳴った。

「そろそろ、お遊びといこうか」

 丸目くんだった。私は、なにをするのか、と尋ねた。

「もちろん、爆弾リレー将棋だよ」

 爆弾リレー……ああ、個人戦の打ち上げでやったやつね。

 あのときは、私と松平が負けて、ドリンクバー代を支払わされてしまった。許すまじ。

「いいわよ。受けて立つわ」

「おっと、裏見うらみさんも参加とは、くわばらくわばら……ほかのメンバーは?」

 まず、つじーんとくららんが参加を表明した。それに、松平も。

 ここは、友だち繋がりね。

「爆弾リレー将棋とは、なんだ?」

 神崎さんに質問されたので、私が説明する。

 爆弾リレー将棋とは、奇数人でやるアドバンスド将棋だ。勝利条件はなくて、特別な敗北条件だけがある。敗北条件は、通常の反則以外に、以下の2つ。

 

 1、詰みの一手を指されたひと。

   ※正式な意味での「詰み」。頭金とか。途中過程は関係ない。

 2、最後に詰めろを掛けられたひと。

   ※「最後」というのは、自玉に詰めろがかかった状態で、それを解除せず、

   かつ、相手玉に王手をかけることもしなかったひと。


 ちょっと複雑だけど、一回やってみれば簡単。敗者は最大で2名出る。

 神崎さんも、すぐに理解してくれた。

「おもしろそうだ。拙者もやろう」

「え……それは、ちょっと……」

「なぜだ。拙者だけ除け者にするのか」

「そう言うわけじゃないけど……10秒将棋だから……」

 私が口ごもっていると、丸目くんが、

「10秒将棋だと、神崎さんは強過ぎるからね。最初から降参しておくよ」

 と、助け舟を出してくれた。神崎さんはニヤリと笑って、

「ふっ、ならば、仕方あるまい」

 と引っ込んだ。モノは言いよう。

「今、5人だね。奇数だけど……菅原先輩は、どうですか?」

 丸目くんは、菅原先輩を勧誘した。

「秒を読むやつがいねぇだろ? 俺がやることになるんじゃないか?」

「秒なら、俺が読みます」

 箕辺くんが、代わりにやってくれることになった。

「そっか……悪いな。じゃあ、俺も指すぜ」

 菅原先輩が参戦。あとひとりかな。

捨神すてがみくんは、どう?」

 丸目くんは、前回参加していた捨神くんも誘った。

「アハッ、すみません。飛瀬とびせさんと佐伯さえきくんの手品を見てます」

 くららんは、となりのサーヤに声をかけた。

涼子りょうこちゃんは、どう?」

「ん、いいわよ」

 これで決まり。

 メンバーは、私、松平、つじーん、くららん、サーヤ、丸目くん、菅原先輩。

 なんだか、ものすごく初期のメンバーね。

 じゃんけんで指す順番を決めた。

「私、つじーん、丸目くん、菅原先輩、サーヤ、松平、くららん、ね」

 それじゃ、行くわよ。箕辺くんに秒読みを頼んで、私は初手を指す。

「7六歩ッ!」

 8四歩、6八銀、3四歩。サーヤは腕組みをして、

「矢倉模様……菅原先輩には悪いですけど、6六歩」

 と矢倉に決めた。

 6二銀、5六歩、5四歩、4八銀、4二銀。


挿絵(By みてみん)


 先手と後手が、行ったり来たりする。これが、爆弾リレーの怖いところ。どちらかを優勢にすればいい、というわけじゃない。偶然に左右されやすいゲームだ。

 5八金右、3二金、7八金、4一玉。

 私は6九玉と、普通に入玉した。

 7四歩、6七金右。

 18手目を渡された菅原先輩は、しばし小考。

「矢倉は、よく分かんねぇな……5三銀右」


挿絵(By みてみん)


 おっと、崩してきた。

 定跡を知らないのか、それとも、わざと力戦に持って行ったのか。

 菅原先輩の実力なら、後者っぽい。

 サーヤ、小考。

「これは……矢倉中飛車?」

「6、7、8、9」

 サーヤは慌てて、5七銀右と指した。普通の手だ。

 松平も悩む。

「……5二金」


挿絵(By みてみん)


 矢倉中飛車を拒否。菅原先輩は、

「おいおい、マジで居飛車じゃなきゃダメなのか?」

 と愚痴った。本気というよりは、軽口のようだ。

 くららんが2六歩と指して、私の番。

 変則的になっちゃったけど、まだ矢倉には組める。4四歩と突いた。

 2五歩、4三銀、7七銀、6四歩。

「2四歩」

 松平の歩突きで、開戦。

 同歩、同飛、2三歩、2八飛、9四歩、1六歩、1四歩、9六歩。

 みんな、消極的。私は、積極的に行くわよ。

「8五歩」


挿絵(By みてみん)


 つじーんは、あごに手を当てて、天井を見上げた。

「先手は、角が働いてませんね……」

「6、7、8、9」

「7九角」

 なるほど、角を活かしに来ましたか。

 丸目くんは、私の予想通りに7三桂と跳ねた。

「手が全然見えねぇぞ。8八銀だ」

 なんだかんだで、菅原先輩は手が見えている。銀を引かないと6五歩で困る。

「攻めるしかないか……8六歩」

 サーヤは飛車先交換を選択。

 同歩、同飛。

 私の手番になった。8七歩が普通だけど……それは、面白くない。

「6八角」


挿絵(By みてみん)


 これで、どう?

 飛車を引いたら、8六歩と収める。

 つじーん→丸目くんの順だから、さすがに気づくでしょう。

「8一飛」

「8六歩」

 ほらね。問題は、ここで菅原先輩の手番ってこと。

「6、7、8」

「攻めりゃいいんだろ、攻めりゃ。4五歩」


挿絵(By みてみん)


 ん、これは間違っていない気がする。さすが四天王。

 7七桂、6一飛で、後手は右四間を明確にした。

 くららんは、困ったような表情。

「先手は、まだ角が働かないね……でも、7九玉かな」

 王様を囲いに行った。飛車先から離れる意味で、最善だと思う。

「6、7、8」

 おっと、私だった。

「6五歩」

 9秒ギリギリ。

 同歩、同桂、同桂、同飛、6六歩、6一飛。

 

挿絵(By みてみん)


 ここで私かぁ……むずかしい。

「6、7、8」

「えーい、最後に詰まなきゃいいのよッ! 3六歩ッ!」

 攻める。この手を聞いたつじーんは、腕組みをして小考。

「もたもたしていると、4六歩ですか……7五歩です」

 ん? そこから攻めるの?

 これには、手番を渡された丸目くんも、

「悩ましい手を指すね」

 と困惑気味。眉間に指をあてて考え込む。

「6、7、8、9」

「同歩」

 無難に取った。菅原先輩の手番。

「こうなったら、もう知らねぇぞ。6四銀だ」


挿絵(By みてみん)


 まさかの棒銀調。とはいえ、つじーんの狙いでもあるような……7五歩、同歩が単なる手渡しじゃないなら、この攻めしかないと思う。

 サーヤは目を閉じて、

「すぐに攻めるかどうか……」

 と悩んだ。すぐに攻めるなら、4六歩かしら。

「6、7、8、9」

「3七桂」

 サーヤは、一手溜めた。松平は、髪の毛をくしゃくしゃにする。

「6、7、8」

「分からん。3一玉だ」

「ごめん、僕も分からないや。8九玉」

 松平とくららん、連続で手渡し。そういうのやめてぇ。

「男子、もっと気合いを入れなさいッ! 8三桂ッ!」


挿絵(By みてみん)


 攻めればいいんでしょ、攻めれば。

 ムリヤリ打開する。

 つじーんは目を丸くした。

「そ、それって成立してるんですか?」

 知らん。10秒で分かるわけないでしょ。

「6、7、8、9」

「は、8七桂ッ!」

 うわぁ……受けた……丸目くん、どう対応する?

「んー、7筋から攻めなくても、いいんじゃないかな。3五歩」


挿絵(By みてみん)


 これは、ありそう。取れない。取ったら3六歩だ。

「だから、中飛車党の俺に、むずかしい手を回すなよ」

「6、7、8、9」

「だーッ! 1五歩ッ!」

 もう意味分かんない。だれか収拾つけてぇ。

 3六歩、4五桂、3七歩成、2九飛。

 4四歩と殺す手もあったと思うし、どれが最善なのか不明。

「後手が良くなったんじゃないですかね。4七とです」


挿絵(By みてみん)


 うーむ、そこがスカスカだったか。

 でも、つじーんが言うほど、先手はよくないような気がする。だって――

「1四歩」

 そう、これがあるから。指した丸目くんも、私と同じ判断なのか、自信ありげ。

「次の手は、さすがに俺でも分かるぞ。1二歩だ」

 以下、2四歩からの猛攻が始まった。

 同歩、3三歩、同桂。

 次に同桂成、同角で、足りないかなあ。やっぱり後手がいいかも。

 形勢判断が揺れ動く。

「6、7、8、9」

「2三歩」


挿絵(By みてみん)


 つじーんの放った一手に、周囲の空気が変わった。

「……やるね」

 丸目くんは、そうつぶやいた。

 たしかに、これは好手だ。2三同金に3三桂成とすれば、同角とできない。同角は3五桂の打ち直しで、金銀両取りになる。

「6、7、8」

「しょうがない。同金」

 以下、3三桂成、同金、2三歩、同金。

 先手は歩切れになった。2回目の2三歩が良かったかどうかは、微妙。

 とはいえ、リレー将棋だから、好き嫌いは言っていられない。

「3五桂」

 継続手は、これしかない。私の指し手とほぼ同時に、つじーんは3四銀。

 2三桂成、同銀で、サーヤの番。

 サーヤは、めちゃくちゃ真剣に読んでいた。

「うむむ、これは先手の攻めが切れそう……」

 さてさて、どうする? 攻め好きなサーヤの、お手並み拝見。

「6、7、8、9」

「見えたッ! 4八銀ッ!」


挿絵(By みてみん)


「!?」

 これは、私も含めて驚愕。

 銀捨てからの……角の活用だ。

「涼子ちゃん、やるね」

「でしょ」

 くららんに褒められて、サーヤ、ご満悦。

 一方、むずかしい手を渡された松平は、「んー」とうなった。

「6、7、8、9」

「3八と」

 え? すり込み? くららんも疑問に思ったのか、

けんちゃん、それ大丈夫なの?」

 と尋ねた。

「いや……よく分からんかった……」

「6、7、8」

「っと、2七飛ね」

 くららんが指して、私の番。

 ここで4八とは、ただの一手パス。

 リレー将棋だから、いいっちゃいいんだけど。

「6、7、8、9」

「3二桂」


挿絵(By みてみん)


 2筋を支えないと、後手はもたない気がする。

「銀を助けますかね。4七銀」

 こうなると、松平の3八とは、若干微妙……ともいえないか。単に3二桂は、と金を4七銀で取られて、右側が広くなってしまう。一長一短。

「いや、参ったな。6五歩」

 丸目くんは、と金を取られるまえに動いた。

 菅原先輩の番。

「6、7、8、9」

「7七角」

 これまた、振り飛車っぽい受け方。

「角が出るなら、こうでしょ。7五銀」

 今日のサーヤは、冴えてるわね。くららんパワー?

 以下、同桂、同桂、7六金、6六歩、7五金、6七歩成と進んだ。


挿絵(By みてみん)


 終盤に入った。

 サーヤは2二角成と成り込む。

 松平の同玉に、くららんは悩んだ。

「6四桂、かな」

 ん? 歩で受けないの?

「あれ? もしかして、6筋に歩が打てた?」

 こらこら、くららん、脳内将棋盤、しっかり。

 とはいえ、悪手というわけじゃない。金当たりだ。

「6、7、8、9」

「7八と」

 私が指す手は、これに決まっている。

 以下、同玉、8三桂、6五金。


挿絵(By みてみん)


 またサーヤの手番。どう攻めますか?

「6、7、8、9」

「8七歩」

 7六歩かと思ったら、そっちか。より過激。

「さすがにこれは……取るよな。同銀」

 松平は、同銀のほうを選択した。同玉なら、7五桂打だったかしら。

「んー、涼子ちゃんの狙いが見えない」

冬馬とうまと私の仲でしょ」

 どういう仲よ。恋人でも、棋風が違ったら分からない。

「6、7、8、9」

「7七歩」


挿絵(By みてみん)


 とりあえず王手。このルールなら王手をかけたほうが有利なのは分かる。

 かけ続けている限り、負けにはならないから。

「同……じゃない、8八玉」

 こっちのほうが、安全。同玉は、3三角がありそう。

「詰めろが掛かりそうで掛かりませんね……」

 つじーん、お手柔らかに。

「6、7、8、9」

「7五桂打です」

 桂馬を重ねた。8七桂成? ……いや、むしろ6九角とか?

「これはさすがに、詰めろじゃないよね」

 丸目くんは、ちょっと安心した表情。

 詰めろを掛けられると、敗北の第2条件に該当するから重要だ。

「6、7、8、9」

「3三歩」


挿絵(By みてみん)


 丸目くんの手も、詰めろではなさそう……いや、詰めろの可能性がある?

 3二歩成で桂馬を入手すれば、同玉だろうが同銀だろうが、桂馬で王手できる。

 菅原先輩は、いっそう真剣になった。

「同……いや、同玉も危ないか。4四桂だ」

 いやあ、同玉でも良かったような気がする。本譜は、3二金からバラせそう。

 サーヤもチャンスと見て、4五角と打った。んー、詰めろじゃなさそう。

「6九角」

 松平は、詰めろをかけた。簡単な詰みだから、くららんもさすがに気づく。

「えーと、解除か王手しないといけないんだよね……7五金」

 私はすかさず、同桂。

 

挿絵(By みてみん)

 

 また詰めろ。

「え、同桂なんですか?」

 つじーんは、驚いたような顔をした。

「8三に桂馬があるでしょ?」

「そうですが……いや、しかし……」

「6、7、8、9」

「2三角成」

 つじーんは、角を切った。

 受けないのね。まあ、受けても一手一手だから、王手をかけたほうがよさそう。

 丸目くんはノータイムの同玉で、菅原先輩のターン。

「ん……これ、詰んでないか……?」

 え、さすがに詰まないでしょ。3二銀は3三玉で続かなさそうだから。

「6、7、8、9」

「3五桂」


挿絵(By みてみん)


 ……………………

 ……………………

 …………………

 ………………

 あ……れ……詰んでるっぽい……?

 7五金の詰めろ解除が、桂取りになったことを忘れていた。

「上に逃げるのは簡単に詰むから……あ、でも、それでいいのか。3四玉」

 サーヤは、簡単に詰むほうを選択した。

「悪いな。これは短手数で詰ましたほうがいい。2三銀だ」

「3五玉」


挿絵(By みてみん)


 くららんが王様を逃げて、私の番――詰ますしか手がない。

「4六金」

 終了。

 つじーんはタメ息をついて、

「詰まされたのは、僕ですか……参りました」

 と投了した。

 よしよし、ぎりぎりだったわね。ひとつズレなくて良かった。

 私がほくそえんでいると、みんなの視線がこちらに向けられた。

「どうしたの? 詰んでるわよね?」

「裏見さん、最後に詰めろを掛けられたのは、だれかな?」

 丸目くんの質問に、私は黙考する。

 えーと、2三角成以下は詰みだから、その直前の手を指したひとでしょ。

 ……………………

 ……………………

 …………………

 ………………

 私だ。

「ちょ、ちょっと待って、2三角成以下が、絶対詰むとは限らないでしょ」

 私は、サーヤたちの逃げ間違いを主張した。菅原先輩は、咳払いをする。

「いや、確定で詰みだ。3五桂に2二玉は、2三金以下当然に詰むから、3三玉しかないよな。そのとき、3四歩じゃなくて3四銀だ。同玉は2三銀、3三玉、3二金。4二玉と引くのは、4三金、4一玉、3二銀、5一玉、5二金。最後に桂馬が利いて詰む。4二玉のところで3二玉は、3三銀打、4一玉、4二金、同金、同銀成、同玉、4三桂成からの頭金だ」

 そ、そんな……これはなにかの間違い……私は身悶えする。

「僕と裏見さんで、ドリンクバーのおごりを折半ですか」

 こ、このリレー将棋、ろくなことがない。だれか代わりに払ってぇ。

第1回爆弾リレー将棋

http://book1.adouzi.eu.org/n8275bv/234/


場所:本榧市内のファミレス

爆弾リレー将棋:

裏見香子、辻竜馬、丸目尚賢、菅原道真、鞘谷涼子、松平剣之介、蔵持冬馬

戦型:矢倉力戦(後手雁木)


▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀

▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △3二金

▲7八金 △4一玉 ▲6九玉 △7四歩 ▲6七金右 △5三銀右

▲5七銀右 △5二金 ▲2六歩 △4四歩 ▲2五歩 △4三銀

▲7七銀 △6四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩

▲2八飛 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲9六歩 △8五歩

▲7九角 △7三桂 ▲8八銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛

▲6八角 △8一飛 ▲8六歩 △4五歩 ▲7七桂 △6一飛

▲7九玉 △6五歩 ▲同 歩 △同 桂 ▲同 桂 △同 飛

▲6六歩 △6一飛 ▲3六歩 △7五歩 ▲同 歩 △6四銀

▲3七桂 △3一玉 ▲8九玉 △8三桂 ▲8七桂 △3五歩

▲1五歩 △3六歩 ▲4五桂 △3七歩成 ▲2九飛 △4七と

▲1四歩 △1二歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲3三歩 △同 桂

▲2三歩 △同 金 ▲3三桂成 △同 金 ▲2三歩 △同 金

▲3五桂 △3四銀 ▲2三桂成 △同 銀 ▲4八銀 △3八と

▲2七飛 △3二桂 ▲4七銀 △6五歩 ▲7七角 △7五銀

▲同 桂 △同 桂 ▲7六金 △6六歩 ▲7五金 △6七歩成

▲2二角成 △同 玉 ▲6四桂 △7八と ▲同 玉 △8三桂

▲6五金 △8七歩 ▲同 銀 △7七歩 ▲8八玉 △7五桂打

▲3三歩 △4四桂 ▲4五角 △6九角 ▲7五金 △同 桂

▲2三角成 △同 玉 ▲3五桂 △3四玉 ▲2三銀 △3五玉

▲4六金


まで127手で先手の勝ち(詰み:辻、最終詰めろ:裏見)

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