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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
92/124

新章幕間–邪悪な密会–




NO.???邪悪な密会


 セリカが真宗をつれ、無事に脱出した後の中央政府会議室内――ちょうど先程まで主戦場となっていた場所にて、クロスは茫然と立ち尽くしていた。


 何のことはない、ただ疲れたからボーっとしているだけ。

 にもかかわらず、これほどまでに目を奪われるのは、クロス元来の美貌に加わった返り血が、あどけなさを残す立ち姿を扇情的に染め上げているからだろう。

 普段とは違い、虚ろな目をしているのも理由なのかもしれない。


 もっとも、クロス本人は「あー。眠」くらいしか考えていないのだが。


 普段飄々としているクロスが疲れを感じるほどに、『血の雨(ブラッディ・レイン)』の魔力消費は大きい。実際、クロスの魔力総量は相当多いのだが、それでも発動した場合全体の8割ほど持っていかれる。真の意味での‟必殺技”なのだ。


「ひっどいなぁ。『金星』まで問答無用でぶっ殺しちゃうなんて。うちも結構人手不足なんだよ?」


 そんなクロスの下に、ドアの外から苦情が投げかけれる。

 もっとも、やけにハスキーなその声からはさほど気にした様子は感じ取れず、とりあえず言ってみただけ。といった調子だ。


「そっちの事情なんて知るわけないじゃんか。それに、先な約束破ったのはそっちだろ?()()()


 ため息交じりに名前を口にすると、ドアが勢い良く開き――否。粉砕される。


 すると、奥から眩いまでの長い金髪をたなびかせた女性が姿を現す。その美貌は、クロスとは気色が違うものの、どこか同質の人間離れした雰囲気をまとっている。


 メギドと呼ばれた女性は、クロスの方へ向かって歩いていく。そして、クロスのすぐそばまで来ると、近くに転がっていた椅子を起こし、背もたれのほうを正面にして座り込む。


「さぁ? 何のことかわっかんなーい! だって、あたしは主様の言う通りにしただけだもん♪」


「わかんないじゃないよ。真宗くんに何かあったら、どう責任取ってくれるのさ」

 

 盛大にため息をつきながらメギドを見る。実際彼女の言う通り、本人に悪意はない。いや、何も考えていないのだから余計にたちが悪い。


 まだ自分で考えて動いているのならば、対処のしようがあるのだろう。しかし、この感情の抜け落ちた目をしている操り人形は、先ほど本人が白状した通り、命令に従って動いているに過ぎないのだ。


「ヒルデガルドの件に関しては、必要なプロセスだったからしょうがないにしても、なんで『金星』まで寄こしたんだよ」


「だーかーらー! あたしに聞かれても知らないってば! 主様に聞いてよね!」


「その主様がどこにいるか分からないから聞いてるんだけどな……」


 子どもの様な仕草で手をバタつかせるメギドに、クロスはこれ以上追及しない。

 腐れ縁であるクロスには、聞いたところで無駄なのだと分かりきってるからだ。


「にしても、君がわざわ出向いて来るなんて思わなっかたなぁ」


「噓つき。全部計画通りだったくせに。大体、あんたが来るんだったら、例え『海王星』が『逢魔』に勝ってたとしても、無駄だったじゃない」


 唇を尖らせて、椅子を前後に揺らし始めるメギドに、クロスも苦笑いする他ない。完全に図星だからだ。


 嫌な予感がして、すぐさま飛んできたクロスだが、到着までに片付いていなかった場合、そのままヒルデガルドを始末するつもりだった。


 実際には、既に事が済んだ頃に到着したため杞憂に終わったのだが。


「ていうか、本当に何しに来たの? 君。まぁ、僕としては探す手間が省けて助かったんだけどさ」


「んー? 別にぃ? ただ、念のため回収できるか確認してこいって言われただけだよ」


「ヒルデガルドを?」


「違う違う。そんなの持って帰っても何にもならないじゃん」


 酷い言い草だとは思いつつも、口には出さず押し黙るクロス。対して、気にした様子もなくメギドは続ける。


「あの双子。何でかは知らないけど、主様はご執心なんだよね」


「ふーん。僕としては、ちょっかい出すのもやめてほしいんだけど……まぁ、そこまでは干渉しないよ」


 そう言い残し、クロスは先ほどメギドが破壊した扉に向けて歩き始める。


「あれ? もう行くの?」


「うん。遅くなりすぎると、心配かけちゃうからね」


 台詞に反し、どうでもよさそうなメギドに、クロスもまた無関心なまま答え、真横を通り過ぎていく。


「あっ、そうだ」


 そのまま出ていくかと思われたが、扉の枠の真ん中で立ち止まり


「君のご主人様に伝えといてくれない? 次こんな舐めた真似したらぶっ殺す……って」


「あはは。そんなことになったら、どんな手を使ってでもあんたを殺すからね」


 伝言の最後に振り返ったクロスも、椅子に椅子に座ったまま動かないメギドも、両者共に笑顔は一切崩さない。

 ただその場には、表情と釣り合わない歪な狂気が無言のまま横たわっているのみだ。


「そ、肝に銘じておくよ」


 そして、心にも思っていないクロスのひと言で、両者仮面をかぶったままの邪悪な密会は幕を閉じたのだった。


………………………………………………………………

To be continued

どもども、再びやってきた雅敏一世でございますよ〜

今回のお話しは、作中にある通り新章72の少し後となっております。

…話すことないですね!(笑)それでは!

また会いましょ〜♪

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