新章50 アジト潜入
NO.66アジト潜入
なんだかんだ居心地が良く、長居してしまった茶屋を後にした俺たちは、件の茶屋でも話していた通り、中央政府の前に来ていた。
わけなんだが、この建物めちゃくちゃでかいな。西公にあるお城と比べても遜色ない。
囲っている壁ですら7、8メートルはあり、豪壮な飾り付けがある門も、俺達全員が横並びで入って尚、余裕がある。
道中、ヒルデガルドの配下と思しきチンピラに絡まれたりしたが、王花が上手いことやり過ごしてくれたお陰で、特に問題なくここまで辿り着けた。
「なんか、すげぇあっさり来れたな」
正直、拍子抜けするくらい順調に事が運びすぎてて、後が怖いくらいだ。
「ああ。マジのマジで、このメンツでよくこんなスムーズに来れたな」
同感。まあ、すでに一度、イナが列車に遅れたせいで、順調とは言いいがたいんだけど、そこは気にしたら負けだろう。
にしても、気になることがひとつ――
「なんだ? この気持ち悪い雰囲気」
なんとも形容しずらいんだが、一言で言うなら、空気がねじ曲がってる感じ? 中がどうなってるのか、見当もつかないけど、入ったらただでは済まない。それだけはわかる。
というか今気づいたけど、外に見張りが1人もいないな。
見張りなんて配置する必要ないってことか?
「あー、たぶん誰かのスキルの影響だね。建物の中、マナがぐちゃぐちゃに乱されてるもん」
セリカも何かを感じ取ったらしく、そびえ立つ壁を見つめながらしかめっ面だ。
「お前ら、2度と戻ってこれないかも知れねぇって、覚悟はしとけよ」
「いやいや、そんな大袈裟な――」
「あ?」
ひいぃっ! いいやつだってのはわかっていても、リズにキレられると、まだやっぱり怖い!!
「お前、まだそんな寝ぼけたこと言ってんなら帰れ」
「待て待て! 何でそんな話になるんだよ!」
いきなり『帰れ』なんて言ってきたリズに、食ってかかると、盛大ににため息をつかれた。
「あのなぁ、お前はここまで全部上手くいってきたから、わかってねぇんだろうけど、任務ってのは死と隣り合わせなんだよ」
「そ、それは……」
たしかに、危機感足りなすぎたかも知れない。トヘトヘとの戦いで死に直面はずなのに、その後のゴタゴタで忘れてた。
「別に、おまえが気なくわねぇから追い返そうって訳じゃねぇ。ただ……」
「ただ?」
「ほら、あれだ。顔見知りに死なれると、気分悪いだろ」
半分答えは分かっていながらも聞き返すと、言葉を選んでいるような歯切れの悪い返答があった。
耳が少しなってるところを見るに、照れてるらしい。
「ぷっ、素直に仲間って言えよ〜」
「るせぇ。んな小っ恥ずかしいセリフ、死んでも言うか」
「ちぇっ!」
言わせてやりたいが、これ以上ウザ絡みすると本気で怒られそうなので黙っておく。
にしても、珍しく1番うるさい奴が静かだな。
「イナ、お前震えてるけど大丈夫か? 怖いなら無理せず、残ってもいいんだぞ?」
「ふ、震えてなんて……いや、震えてはいるわね。けどむしゃぶるいってやつよ! ぜ、ぜぜ全然怖くなんてないわよ」
ガチ震いじゃねぇか。けど、1人で置いていくってのも酷か。かと言って、戦略的に誰かを残す余裕なんてあるわけない。
うん。やっぱ無理だな。どうしてもっていうなら、待機でもいいと思ったけど、着いてきてもらうしかないみたいだ。
「真宗。もう一度聞くぞ。覚悟は、決まったな?」
「あぁ、心配かけて悪かったな」
リズには感謝しないとな。お陰で、気が緩んでることに気づけた。
「別に構やしねぇよ。お前ら、さっきはああ言ったが、全員――」
「全員生きて帰るぞ。だろ?」
「チッ。セリフ取るんじゃねぇよ」
締めようとしたリズのセリフに、あえて被せるように言ってやると、すごい形相で睨まれ、舌打ちまでされた。
「じゃあ、改めて『東共奪還作戦』……レッツゴー!!」
豪壮な扉を勢いよく押し開け、少ししんみりとしてしまった空気を振り払うように、無理やり明るく告げた俺の一言で、『東共奪還作戦』の火蓋が切って落とされた。
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To be continued
祝!新章50話到達!
どもども、雅敏一世でございます!前回お伝えした通り、かなり遅くなってしまいました……申し訳ない。
さて、次回からはついに戦闘シーン盛り盛りの胸熱展開になって参りますので、乞うご期待ください!
ではでは、作者はこの辺りで失礼。
また会いましょ〜♪




