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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第一幕 東共奪還作戦編
67/124

新章48 東共の容態




NO.64東共の容態


「おぉ! あれが、さっき言ってた神樹ってやつか」


 駅を抜け外に出てすぐ、先程王花がこぼした『神樹』という単語が気になり、後ろを振り返ってみるとそこにはバカでかい木があった。


 高すぎるせいで、上の方が雲に隠れていて、葉が茂っている底しか見えない。幹の太さも葉の大きさも、全てが桁違いのサイズ感で、『神樹』の名に恥じない風格があった。


 逆になんでこんなでかい木に気づかなかったんだ? 一度見てしまえば、嫌でも視界に入ってくるくらいでかいのに……


「てか、俺らこの下を突っ切ってきたのか?」


「そうだよ。普通なら神樹を迂回してこなきゃいけないんだけど、駅は神樹にトンネルを作って繋いでるから、最短ルートで来られるんだ♪」


「あれ? んじゃ、窓から見えた景色は?」 


「ありゃ、トンネル内の景色だ。広すぎて、中に生態系ができてんだよ」


「なにそれすごい」


 くっそ、だったらもっと良く見ておくべきだった……

 まぁいいか。帰りもどうせ列車を使うんだろうし、その時に見よう。


「ぐぅぅぅ」


「誰だよ。緊張感ねぇな」


 まぁ、こんな状況で腹鳴らすやつなんてひとりしかいないだろうけど。


「し、仕方ないでしょう!? 朝から何も食べてないんだから!」


 なんとなく察しながらも、周りを見渡してみると、イナが顔を真っ赤にしてお腹を抱えていた。

 やっぱりこいつか……って、そっか。こいつ置いてかれたせいで昼飯食べれてないのか。


「……私も、お腹……空いた」


「お前はさっき弁当2個食べてただろ」


「ま、まぁいいじゃないですか。ちょうど茶屋もありますし、小休憩にしましょう」


 とりあえず王花の提案で、近くにあった茶屋に入ることになった。

 こんなにのんびりしてていいのか?まぁ、いいか。どうせこのメンツでスムーズに事が運ぶなんて思ってなかったし。


♦︎♦︎♦︎


 はい。そんなこんなで茶屋にやってきたわけだけど、ここまでで一つ気づいたことがある。


「なんか、思ったより平和だな」


「そうだね……もっと殺伐としてると思ってたけど。案外、西公と変わんないね」


 セリカの言う通り、実際に来てみると『本当に占拠されてんの?』と思ってしまうほどに、東共の光景は平和そのものだった。


「まあ、制限されているのは貿易も含め、東共から外に出る行為だけらしいですからね。はい、イナ様あーん」


 なるほど……やけにすんなり東共に来れた理由はそれか。

 にしても、ヒルデガルドの目的が分んねぇな。なんの目的で東共を占拠してるんだ?


 金目的とかなら、こんな回りくどい方法を取る必要なんてないだろうし、国を乗っ取ることが目的なら、こんなに平和じゃないはずだ。


 …………うーん。わかんねぇ!これはヒルデガルドに会ったとき、本人に聞こう。


 考えることを一旦保留にした俺は、出されたお茶を飲みながら周りを見渡してみることにした。


「そういや、お前ら仲良いな」


 甘やかしてくれる王花に、イナがべったりなのはまだわかるが、王花の方もイナをえらくお気に入りだ。

 おいやめろそのドヤ顔。別に羨ましくねぇし。


 イナが王花に「あーん」してもらっている間、ルナの方の皿ではとんでもない速度で団子が消費されていく。あの小さい体のどこに入ってくんだ?


「よく噛んで食えよ」


 リズはリズで、そんなルナを温かい目で見ている。

 なんでこいつルナには甘いんだよ。

 でも……


「なんか、こう言うのいいな」


「は? なに言ってんだお前。頭おかしくなったか?」


「辛辣だなおい。別に、お前らが仲良さそうでよかったって思っただけだよ」


 草薙小隊(うちの隊)って、成り行きで結成されたからな。全員クセ強すぎて馴染めないかと思ってたけど、どうやら杞憂だったらしい。

 ま、()()いい奴らだからな。変人の集まりには変わりないけど。


「くだらねえこと言ってないで、こっからの動き考えんぞ」


「動き?」


「ヒルデガルドが何処に居るかもわかんねぇのに、どうするつもりだったんだよ」


「あっ」


 そういえばなにも聞かされてないんだったな。あまりにもスムーズにここまで来れたから、忘れてた……いや、スムーズではなかったか。


「とりあえず、聞き込みしながら中央政府に向かう。そうすりゃ、何かしら手がかりもあんだろ」


「ちゅうおうせいふ? なんだれそれ」


「お前、本当になんもしらねぇんだな」


「うるせぇ。悪かったな」


 仕方ねぇだろ。じいちゃんが、重要な事だけ何にも教えてくんなかったんだから。


「まぁ、西公でいう王城と同じ認識でいい」


「あぁ、お偉いさんが集まってるところってことか」


 一応の確認で聞き返すと、リズとセリカがコクコクと頷いて返してくれる。

 てか初対面の時もそうだったけど、リズって質問すれば絶対答えてくれるよな。口は悪いけど。


「そんじゃまぁ、イナも食べ終わったみたいだし、そろそろ行くか!」


 こうして、『東共奪還作戦』は一見なんの問題もなくスタートしたのだった。


………………………………………………………………

To be continued


あ、どもども。またしても10日ほど投稿しなかった者

雅敏一世です。

あのですね、これには大変深いわけがあるのですよ!

前にも少し触れたかもですが、この辺のお話はあんまり考えていなくて、ゼロから作っているのでどうしても作業効率が落ちてしまうのですよ。

ですので、あと数話の辛抱です。その先はじっくりコッテリ煮込んで考えておりますので、多分たーぶーん。投稿ペースが早くなるかと思います。

毎度思うんですが、喋りたがりの作者のあとがきまで読んでくださってる方はいるんでしょうか?

ここまで読んでくださってる優しい方。本当にありがとうございます♪

ではでは、また会いましょー♪

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