新章40 真宗の迷い
NO.56真宗の迷い
麗奈さんに別れを告げた俺は、ひとまず見通しのいい場所を求めて大通りを少し行った場所にある広場に来ていた。
さってっと、これからどうするかな。あいつらとの連絡手段もなければ、はぐれてから結構な時間が経ってるから、居場所の目星もつかない。それに、行き当たりばったりに探すにはこの大通りは広すぎるしな。
「あっ、真宗くんみっけ!」
唐突にかけられた聞き覚えのある声に驚き、後ろを振り返ってみると、セリカが満面の笑みで立っていた。
「セリカ!! よく俺の場所がわかったな!」
「へへん。私がこの程度の距離で、真宗くんの匂いを嗅ぎ失うわけがないよ!!」
「変な造語を作るな」
こいつマジで日に日に変態度が増してくな。
これって俺があんまり構ってやれてないのが悪いの?それとも、元々こいつが変態なだけ?
やばい、混乱してきた。もう考えるのはやめよう。
「ってか、リズたちは?」
「リズくんたちならもうすぐ来るはずだよ。この広場に向かうって言い残してきたから」
「そこまでするなら置いてくるなよ」
「まったくだ。この大通りに広場がなんかあると思ってんだよ」
聞き慣れた声に振り返ると、そこにはやはり見慣れた顔、リズが立っていた。少し下に視線を向けると、イナルナも息を切らせ、肩で息をしている。
「せ、セリカ足早すぎるのよ……」
「…………そもそも、スタイルの問題……セリカ、足長いから……」
「お前らべた褒めだな」
「えへへ!! 真宗くんも褒めてくれていいんだよ?」
嬉しそうにセリカがまとわりついてくるが、正直まだ距離感があんまり掴めてないんだよな。いや、美少女にくっつかれて嫌なわけないんだけどさ。
いきなりゼロ距離で来られると、どうしたらいいのか分からないときがある。
「真宗くんって、私に対しては遠慮がちだよね。ツッコミはキレキレだけど」
「そう……だな。正直に言うと、いまいちまだどう接したらいいかわかってないかも。お前、距離近いし。あと、ツッコミに関してはリズが来る前は俺以外全員ボケ担当だったからな。その時の癖だ」
「じゃあ、これからはお互い遠慮なしね!!」
ずいっと顔を近づけて、セリカが笑いかけてくる。
「私たちは婚約者同士なんだよ? だから遠慮する必要なんてない。嫌なことは嫌、楽しいことは楽しいって言い合えるようになりたいの!!」
そう言って、セリカは満面の笑みで抱きついてくる。
そっか、俺の考えすぎだったのか。いや、そうだよな俺は何を遠慮してたんだか……セリカは婚約者ってだけじゃなくて仲間なのに。
「セリカ…………じゃあ、人混みで抱きつくな」
セリカの肩を掴み、引き剥がしてペイッとする。
絶望したようなセリカに、耳元でコソッと囁く。
「そういうのは、2人の時に、な?」
「――!? それって……」
「よっし、せっかくここまできたんだし、ひと通り回ってから行くか」
「「おー」」
頬に手を当て、クネクネしている変態をよそに、迷子になったせいで中断されてしまっていた買い物を再開することにした。
「……俺はマジのマジで一体なにを見せられてたんだ?」
未だに頬を染め、気持ち悪い動きをしている変態の隣で、リズの感情が抜けたようなつぶやきだけが、完全に状況から置いていかれたリズの存在を、弱々しく主張していた。
♦︎♦︎♦︎
買い物を終え、ギルド本部に戻ってきたおれは、呼び出しに応じるため、もう何度歩いたかも分からない見慣れた廊下を歩き、同じく見慣れたドアをノックする。
「入っていーよ」
軽快な口調で出される許可に、ドアを開けて顔を覗かせる。
「突然どうしたんすか。ギルマス」
「やあやあ、突然呼び出してごめ……」
「おっ、マサ!! 3日ぶりくらいだナ!!」
「雷刃!?」
雷刃も、ギルマスに呼び出されたってことか?だとしたら、この間の任務の話か? だとしたら――
「ごほん……いやぁ、呼びつけちゃってごめんね?実は、君と雷刃に聞いてほしいことがあってさ。この間の任務で、君らがゾラークのリーダーを捕まえてくれたでしょ?そのおかげでわかったことがあってさ」
「わかったこと?」
「ゾラークの連中、裏でヒルデガルドの野郎と繋がってたらしいんだヨ」
俺が聞き返すと、クロスではなく、雷刃が答えてくれた。
セリフを奪われたクロスは、雷刃をジト目で睨むと、先程同様、咳払いをしてから詳しい説明をしてくれた。
「どーせ鬼丸くんのことだから、ヒルデガルドについての説明なんてろくにしないまま、倒して来いって言ったんでしょ? だから、説明してあげようと思ってさ……君らの、宿敵とも言える男のことを」
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To be continued
どもども、真宗一世です!
9000pv達成、本当にありがとうございます♪
今回は、内容に関しては触れない後書きとなっております。決して、内容が短すぎて書くことがないなどということはありません。
ではでは、また会いましょー♪




