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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第二幕 灼熱大陸編
123/126

新章101 空の飛び方




NO.117空の飛び方


「飛行船って……空飛ぶ船ってことだろ? そもそも作れるのか? 空想の話じゃなくて?」


 リズとセリカの方へ振り返ると、2人して顎に手を当てて唸っていた。俺はこういうの疎いから、2人が頼りだ。


「あるといえばある。3年前の戦争以来、魔法だけじゃなくて科学技術もっつって、魔道科学がかなり発展したからな」


「入隊試験の時にモニターが使われてたと思うけど、あれも魔道科学なんだよ」


 そういえばシルヴァが言ってたっけか。じゃあもしかしたら、作れるのか? その飛行船ってやつも。


「実際、北王が去年だかに国挙げて作ってたしな。早けりゃ今年にも完成すんだろ」


「え? じゃあまだ……」


「絶賛製造中だ」


 無理だろこれ。いや、本当なら多少無理してでも叶えてやりたかったよ? ルティス達が加入して初めてみんなで一緒に何かするって話だ。いい思い出作ってやりたいじゃんか。


 けど、国がかりで1年以上未完成のものを、9人で5日だろ? しかも力仕事できるのなんか俺とリズだけだし。こんなの10年あっても足りないって。


「えっと、ルティス? これを作るって、模型とかじゃなくて?」


「いえ、まんまこれです」


 だよねぇ……いや、分かってはいたけども。


「あのな、ルティス。流石にこれは無理じゃ――」

「えー、やらないの? 楽しそうじゃない! みんなでものづくり!」


「……私も、やってみたい」


 マジか。食いついちゃったか。確かに、現実的に無理そうとはいえ、これ以外案はないわけだし……

 うぐっ。ルティスの視線が痛い。やめろ、そんな捨てられた猫みたいな目で見るな。


「まぁ、やれるだけやってみようぜ。ギルマスも言ってただろ。気分転換も兼ねてだって。別に、期間内に完成させることだけが全てじゃねぇよ」


 なんか妙に納得させられてしまった。言われてみればそうだ。さっき自分でも考えてたじゃねぇか。いい思い出作ってあげたいって。


「そうだね。みんなで作れば、結果がどうなってもきっと楽しいし!」


「はぁ、セリカの言うとおりだな。ルティス、無理とか言って悪かった。作ろう。飛行船!」


 全員の同意を聞いて、ルティスの顔が先程と同じように明るく晴れる。この笑顔を見れただけでも、やる価値はあるかもな。


「そうと決まれば、まずは設計図だ! 誰か描けるやつ……なんて、流石にいるわけないわな」


「だろうな。つっても、詳しそうな知り合いもいねぇし。どうすっか」


 というか、知り合い全員かき集めても有識者なんている気がしない。鬼ヶ島にいる大工のおっちゃんなら、もしかするかもだけど、そんなもの、行って帰ってくるだけで5日たってしまう。


 他のみんなも心当たりはなさそうだ。うーん、そうなると自分たちで1から調べないとダメだな。

 調べ物……調べ物?


「そうだ! あそこなら!」


♦︎♦︎♦︎


「で、ボクの。『嫉妬』の勇者たるこのボクの叡智を! 求めてやってきたわけだね?」


「いや、飛行船に関係する文献の場所を教えてくれたら別にそれで」


 そう言って、あたりにそびえ立つ本棚を見回すと、偉そうにふんぞり返ってる麗奈さんが、盛大にため息をつく。


「相変わらずドライだねー君は。もう少し年長者に対する敬意ってものを……うぐっ、年長者」


「ダメージ受けるなら、無理して年上ぶらなきゃいいのに」


 てか、こんなキャラだったか? この人。暇すぎておかしくなったじゃねぇの? ……いや、元からこんなものか。


「無礼だぞ大和真宗、貴様! 完全無欠にして崇高なる麗奈様に向かってそのような態度!」


「どっから湧いたんだお前は!」


 さっきまで机の下なんて誰も居なかっただろ! 居なかったよな? うん、少なくとも俺が座るために椅子を引いた時は何もなかったはずだ。


「ガルドがどこから出てきたかなんて、考えるだけ無駄だよ」


「手慣れてんな」


 いや、違う。これは諦めの目だ。考えるだけ無駄だと悟って、全て受け入れる事にした顔をしてる。


「で、実際のところどうなんですか? 完全無欠にして崇高なる存在らしい麗奈さん」


「ちょ、本当にそれやめてね。羞恥で死んじゃうから」


 さっき自分で敬えって言ったくせに。

 ともかく、ここで調べても無理となれば設計において俺にできることはない。


「さてと、気を取り直しまして。真宗くん。キミが求めている設計図だけどね。ここにあります」


「どこに?」


「こ・こ♪」


 本など勿体なさそうな麗奈さんに聞き返すと、そう言って自分の頭を指差す。


「この図書館の内容は、全部頭に入ってるからね。設計図くらいなら描けるよ」


「マジですか!? すっげぇ!」


 机をバンっと叩いて前のめりに叫ぶと、満足そうな顔をした麗奈さんは何度もうなづいていた。


「ふふん! もちのろん。大マジさ。少し待っててね。今ちょちょいと描いちゃうから」


 そうして、ちょちょいではなかったけど、割と早い時間で設計図は完成した。なんか超あっさりだったな。正直ここが1番手間取ると思ってたのに。


「とりあえず枠組みだけ描いておいたから、ここに要望とか描き足してまた持っておいで。あとはその都度調整していこう」


 枠組みだけとは言ってたけど、ご丁寧に材料まで書いてくれてる。これなら、何を買い揃えればいいかも、ひと目でわかる。


 麗奈さんにお礼をして、もらった設計図を片手に部屋へと帰る。


 これからここに描かれているものが、俺たちの手で形作られていくことに、浮き足立ちながら。


「よっし! 第一関門クリアだ!!」


…………………………………………………………………

To be continued


どもども!珍しく久しぶりじゃないので、挨拶でなんて言ったらいいかわからない雅敏一世です!

さて、毎度お馴染み後書きですが、今回特に語ることもないんですよねぇ……そんなに話が進んだわけでもないですし。てなわけでちょっと小話。


設計図の件ですが、鬼ヶ島のおっちゃんは冗談じゃなく凄腕なので、鬼丸にたのんで連れてきてもらえばなんとかなったりします。ただ、真宗はじいちゃんの呪いが解けてるなんて完全に忘れ去っているので、机上の空論ですね。


てなわけで今回はこの辺りで失礼いたします。

また会いましょ〜♪

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