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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第二幕 灼熱大陸編
102/124

新章80 神古竜“メギド”




NO.96神古竜“メギド”


「なんっ――え? お前、生きてるのか?」


「正確には生きてはいないな」


「えっ、どういうこと?」


 ペタペタと肩のあたりを触ってみたけど、実体はあるな。

けど、生きてはいないってどういうことだ?

 っていうのをそこで爆睡してる人に聞きたいんだけど、まだ起きねぇのかこの人は。


「ふわぁぁあ。よく寝たぁ」


「いや、マジでその通りすぎて言葉もねぇよ」


「うわぁ! なんで真宗くんここにいるのさ!?」


 何時間も寝こけておいて第一声がそれかよ。本当に一回埋めてやろうかな。


「麗奈さんが呼びつけたんでしょうが」


「あぁ〜! そうだったね! すっかり忘れちゃってたよ。ははは……」


 最初こそ、意気揚々としていたものの、気まずさからか段々と尻すぼみになっていき、どんどん目も逸れていく。

 が、うやむやにされて終わってたまるか。本当なら今日、セリカと買い物に行く予定だったのに。


 とりあえず、逸らした顔の方に移動して見つめ続けてやろう。謝られるまで絶対目を離してやらねぇ。


「――」

 

「…………ごめんなさいっ!!」


「はぁ、もういいですよ。それよりも、あれはどういうことですか?」


 テーブルに勢いよく手をついて、ヒルデガルドを指差すと、怪訝な顔で手の甲を叩かれる。


「あぁ、あれねぇ……うーん、なんて言ったらいいんだろ。まぁ、幽霊みたいなものだと思ってくれればいいさ」


 結局なんの説明もないのと変わらないじゃねぇか。最初からあんまり期待してなかったけどさ。


「――『金星』に殺された後、漂っていた自分の魂を、麗奈様が回収してくださったんだ」


 モゴモゴと言葉を濁して何も言おうとしない麗奈さんに痺れを切らしたのか、ヒルデガルドが額を押さえながら呟く。


「あっ! ガルド、それは言っちゃダメなやつだよ!」


「ですが――」

「ダメったらダメなの!」


「だそうだ。なんとかして忘れろ」


「流石に無茶振りが過ぎねぇか!?」


 いや、聞いたのは俺なんだけど、いくらなんでも扱い酷くない?

 まぁ、とりあえずヒルデガルドが生きてないことと、だいぶ特殊な状態だってのがわかっただけよしとする……ってか、そうしておかないと、いちいちツッコんでたらきりがない。


「あれ? 真宗くんその本――」

「あぁ、これか? その辺の本棚にあったやつなんだけど……もしかして持ってきたらダメなやつだった?」


 心配になって確認を取ると、麗奈さんはゆるゆると首を横に振る。

 

「元に戻して置いてくれたら別に大丈夫だよ。けど、わざわざ持ってきたってことは、何か気になることでもあったのかな?」


「偽者……?」


「どういう意味さ!」


 いや、いきなり有能オーラ出されたら、さっきまでとの落差で別人に見えるんだよ。

 そんなこと言ったら確実に怒られるから絶対口には出さないけど、さっきまでこの人よだれ垂らして寝てたんだぞ。


「ここに書いてあることって、全部事実なのか?」


「――? そうだけど……って、あぁ。そういうことね」


 途中まで言いかけて、さっき俺が気にしていた最後のページを見ると、納得したように頷く。


「99パーセント事実だと思っていいよ。目撃者がひとりもいないとその『真偽は不明』っていう表記になっちゃうんだ」


 髪先をいじりながら麗奈さんはため息混じりに「面倒くさいよねぇ」と呟く。


「じゃあ、この双子ってのは?」


「さっすがに誰かまではわからないかなぁ」


 やっぱりそうか。いな、よくよく考えれば当たり前なんだけどな。いくら麗奈さんが暇そうとはいえ、流石にそこまでは把握してないか。

 前になんでも知ってるって言ってたから、ちょっと期待してたんだけど。


「麗奈様。そろそろよろしいでしょうか?」


「あっ、ごめんごめん。そっちが本題だったね」


 痺れを切らし様子のヒルデガルドが、申し訳なさそうに麗奈さんへと問いかける。


「えっとね、真宗くん。わざわざ来てもらったのは、ガルドから話があるからなんだ」


「話?」


「うん。すごく大事な話なんだけど――」


 そこまで言いかけて、再び麗奈さんは言葉を濁し、ヒルデガルドの方へと意味深な流し目を送る。対するヒルデガルドも、視線を受けて目を伏せてため息をつく。


「真宗。今から話すことは貴様には関係のないかもしれない話だ。自分を操っていた張本人。詳しく知るのはかなりのリスクが伴う。貴様にその覚悟はあるか?」


 言い方こそ上から目線で棘があるけど、表情を見れば本心から俺を案じてくれているのだとわかる。

 王花を名乗っていた頃から薄々勘付いてはいたけど、こいつめっちゃ不器用だよな。優しいんだけどさ。


「なーに言ってんだよ。当たり前だろうが。だって、俺たち仲間だろ? 仇くらい撃たせてくれよ」


 けど、『不器用だけど優しい』なんて言ったらキレられるし、多分本人は気づかれるのも嫌だろうから、気づかないふりして笑いかける。


 ただ、最後の最後で顔に出ていたのか、一瞬微笑みかけたヒルデガルドの顔は、不満そうな無表情へと逆戻りしてしまう。


「何がおかしい?」


「いや別に?」


 ちなみに、麗奈さんもニヤニヤしてるから、おそらく意見は同じなんだろう。

 そして、この生暖かい空気に耐えかねたのか、ヒルデガルドが盛大に嘆息してから本題へと話を戻す。


「では話すぞ。貴様らの言う東共奪還作戦、ひいては第三次領土統合戦争。全ての元凶――神古竜“メギド”について」


………………………………………………………………

To be continued

どもども!毎度お馴染み雅敏一世でございます!

大変長らくお待たせいたしました!こちら最新話となります♪

さて、今回は特に語ることもないのでこの辺りで失礼!

また会いましょ〜♪

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