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ヘタレ魔王の英雄烈伝!  作者: 雅敏一世
新章第二幕 灼熱大陸編
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新章79 再会の魔王




NO.95再会の魔王


 ギルマスに呼び出された翌日、一休みしてなんとか歩ける程度に回復した俺は、以前ガラの悪い輩に追いかけ回され、逃げ込んだ思い出の路地裏に来ていた。


 東共での出来事が濃すぎたせいか、まだ1週間程度しか経っていないのに、ここすら懐かしく感じる。


「えっと、どうやって開けるんだっけ? これ」


 確か、右2回、左2回、押し込んで右に回す――


「あれ? ……おっととと、開いた開いた」


 ドアノブが若干錆びついてるせいで、力一杯押し込まないと回らないんだよなこれ。

 そんでもって、全体重をかけて押し込むから、開くたびに倒れ込みそうになる。


 中に入り、歩いていると段々と心配になってくる。やっぱり現実なんだよな? これ。

 だって、ここの景色どう考えても現実離れしすぎだもん。


 照明もないのに明るいのは、まだそういう魔法があるとかで説明できるけど、本棚の上の方とか、高すぎて何にも見えないし、そもそもどうやって建てたのかも全然わかんねぇし。


 ってか、麗奈さんどこだ? 同じような景色がずっと続くから、だんだん自分がどこにいるのかも分からなくなってきたんだけど?


 前に来た時は、入ってすぐ目の前に場違いなティーテーブルと、突っ伏してる麗奈さんがいたんだけど、今回はそういうわけじゃない。模様替えでもしたのかな。


「ん? なんだこれ」


 『第三次領土統合戦争:記録』古ぼけた本の背表紙には、消え掛かった文字でそう書かれていた。なんで気になったのかはわからないけど、いやに目に引くそれを手にとって開いてみる。


 これ関係の記述って結構多いよな。まぁ、それだけ重大事件だったんだろうけどさ。


 ペラペラと目を通していくと、過去最悪と言われるだけあって、勇者も含めて多大な犠牲者を出したこと、最終的にはじいちゃんと勇者の手によってなんとか終結したことなど、すでに知っている情報に加え、世に知られていないだろう、極秘っぽいことまで書いてあった。


『終戦後、主犯格であるアーサー・エクスカリバーにより、とある双子が保護、避難させられたとされているが、真偽及び双子の安否は不明』


 最後のページで一際異彩を放っていたのが、この一文だ。

 色々と引っかかるところが多い。真偽不明なら、なんでこんな記述を載せたんだ?


 そもそも、終戦後だったら、戦争には直接関係ないだろうし。


「それにアーサーって、北王の初代国王だよな」


 英雄王と言われ、その威光と圧倒的な実力で北方王国を建国した、御伽話にもよく出てくる超有名人だ。


 そんな人が戦争の主犯格ってのがまず信じられない。しかも、北王が建国されたのなんて200年以上前の話だから、生きてるわけないんだよなぁ。


 けど、ここの記述以外はほとんどギルマスから聞いた通りのことが書いてあったし、一概に嘘と吐き捨てられないし……後で麗奈さんに聞いてみるか。


「あっ、やっと見つけた」

 

 本を片手にぶらぶらと歩き始めて数分、やっと開けた場所に出たかと思うと、そこでは麗奈さんが以前と全く変わらない姿勢でティーテーブルに突っ伏していた。

 起こすのも悪いし、座って起きるのを待つか。


 数時間後――


「いや、長ぇよ流石に! 呼び出したの麗奈さんだろ!」


 ちなみに、これだけ大声をあげていても全く持って起きる気配がないどころか、かれこれ3時間以上ピクリとも動かない。


 起きる頃には日が暮れそうだなぁ……はぁ、なんか焦げ臭いし。


「ん? 焦げ臭い?」


 どこからだ!? どこから焦げ臭い匂いがする? 周りの素材全部木材だから、火事とかマジで洒落にならないんだけど!?


 立ち上がって周りを見渡してみても、火種どころか、煙のひとつ見えてこない。とりあえずは一安心――いやいや、火元がわからないとか余計に怖いっての!

 とりあえず麗奈さんを起こすか? 


「むにゃむにゃ、違うよぉ。イヌネコはアリじゃなくて魚だよぉ」


 だめだ。あんな幸せそうな顔されたら、起こせねぇよ。何言ってるかは全くもって解読できないけど。


「となると、臭いの原因を探すしかないか」


 いいか? 落ち着け。落ち着くんだ俺。とりあえず、この本棚から探して――


「それこそ日が暮れるわ!」


 あぁもう! パニックでテンションおかしくなってる!

 誰だよ、ちゃんと火の管理してなかった奴! 目の前でイビキかいてるこの人だな!


「こら。うろちょろするな。麗奈様が起きてしまうだろう」


 どうしたら良いかわからず、右往左往していた俺の頭に、不意に軽い衝撃が加わる。


「――ッ!」


 しかし、そんなものは問題にならない。振り返った先に()()のは、それ以上に衝撃的なものだったからだ。


「王花……?」


「だから。その名で呼ぶなと言っただろう。自分には、ヒルデガルドという、()()()()()()()()()素晴らしい名前があるのだから」


 死んだと思っていたその男は、三角巾にピンクのエプロンという、雰囲気ぶち壊しな格好で、さっき俺の頭をこづいたお盆を片手に微笑んでいた。


………………………………………………………………

To be continued

どもども!1週間ぶりの雅敏一世でございます!!


さて、今回『奴』が再登場しましたねぇ!この先一体どうなるのか!麗奈はいつになったら起きるのか!

次回へ、続く……


ってなわけで、次回『神古竜“メギド”』(予定)

お楽しみに〜♪

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