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短編版【けもみみ番外編】卒業の朝〜政略結婚するつもりで別れを告げた宰相子息ユリウスは黒豹エドワードの策略に嵌る〜  作者: 降魔 鬼灯


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2/2

エドワード

 朝日が優しく差し込む窓辺に佇むユリウス。淡い銀の髪が光を反射してどこかへ消えてしまいそうで


 名を呼ぶ。機嫌を損ねたようでプイってあちらを向いた姿が愛らしい。

 何度も恋に堕ちる。近寄りがたい高潔なユリウスもいいけど、日常にふっとでる愛らしいユリウスにもメロメロだ。


 手を伸ばして捕らえた。


 腕の中、確かなぬくもりに安堵する。



 ユリウスは俺の全てだ。


 初めてあったあの日に心を奪われた。ユリウスは気まぐれにブラッシングをしてくれただけだけど。俺はそれが嬉しくて以来誰にも触れさせた事はない。


 ユリウスの前に行く時、わざと毛並みを乱しているのをユリウスは気づいてもいないんだけど……。


 留学中に同室のユリウスが可愛くて堪らなくて俺は情けない事に発情期になってしまった。


 期せずしてユリウスと深い仲になってしまった事に後悔はない。しかし、ユリウスには俺の気持ちは伝わっていない。


 

ユリウスが帰国を期にユリウスが俺との関係を清算するつもりなのはわかっている。


 だから、帰国前の今日プロポーズするつもりだ。

出来るだけロマンチックに、ユリウスの心に深く深く刺さり杭のように残るような。


 玉砕覚悟のこの作戦は、あとの作戦の重要な布石となる。ユリウスごめんね。もう手放してあげられないんだ。


 ユリウスが家族を捨てられないなら、俺が全てを棄てるよ。俺の身も心も全てを捧げるからユリウスを頂戴。

 


 腕の中のぬくもりを優しく抱き締める。俺の気持ちが伝わるように。身体が俺を忘れられないように。そして……。


 我を忘れてキスを強請るユリウスが可愛い。

 

 ユリウスは知らないんだろうな。豹獣人はハーレムを形成するが、身体だけの関係にすぎない。キスなんてもってのほかなんてこと。


 そして、キスやブラッシングするくらい愛する存在を見つけたらハーレムなんて作らず。ただ一人に執着して愛す事を。


 


 本来、護衛としてクロードを護れば事足りた俺がアカデミーを無理矢理卒業した理由。

 それは、ユリウスの父宰相閣下の出した政略結婚の条件だったから。

 あとは、ユリウスが俺との結婚に同意しカレッジリングを嵌めること……。


 楽しみだ。


 それにしても、宰相閣下も人が悪い。


 文官筆頭の宰相閣下と武官筆頭の父の仲は険悪だ。

 なのに、出逢った時からライバルの息子を家に招いてチェスだの兵法だの権謀術数だの叩き込むから。

 なんてお人好しなんだろうと思っていたけど……。



 叩き込んだ権謀術数を使って息子を奪わせて。武官トップクラスの能力を持った俺にアカデミー卒業の栄誉まで持たせて。


 次期王太子妃の実家サンダーウッド家の執り成しで武官と文官の仲を取り持つ意味での政略結婚。


 サンダーウッドとの太いパイプを手に入れ、文官武官の友好を手に入れ。


 最後は武官トップの騎士団長のご自慢の嫡男の俺を愛息子の嫁として手に入れるんだからな。

 

 何もせず、根こそぎ自分のものにするんだから、やり方がえげつない。


 作戦は、数百手先まで見据えろか。所詮、タヌキ親父の掌の上で上手く転がされたのか。


 上手く転がったご褒美にユリウスが手に入るのなら、安いもの。



 おやっさん勉強になりました。



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