第13話・(バレエエッセイ第53話)・振付師がいません
バレエ動画なら視聴者が気にいれば繰り返し好きなだけ見れる。後にも残るではないか。舞台にも動画にもそれぞれの利点があるが、経済的な面では動画に軍配があがる。
でもこれもわたし一人では無理な話。
まず振付者とバレリーナ達は必要不可欠。
それと撮影者、動画編集者。これも人がいる。なんでも一人ではできぬと思って探したらびったりのところがあった。早速コンタクトを取る。Dさん。若いがソフトな物腰でわたしの想いを汲み取ってくれた。初めて聞く用語もあって、びっくりする。エフェクトってご存知ですか? 効果という意味だが、動画編集では必ず使うらしい。いろいろなエフェクト見本があってびっくり。
いや、細かいところは任せますよ。というわけで撮影用のスタジオもすぐ決まった。このあたりはあっさりと決まる。あとは……一番必要な振付師とバレエダンサー、これが超難関。決まらない。
最初に依頼したB先生にも改めて公演やめてバレエ動画に出てくださいと再依頼するも、あっさりと断られる。A先生にどなたか、◎◎先生はどうかなども聞いたが「そんな誰もしたことがなく、わたしにも(A先生ご自身)わからないことを仲介はできない」 ときっぱりと断られる。
動けば動くほど肝心のバレリーナに嫌われる仕組みになってしまった。
もう幕は上がる前から下りた。そしてその幕は二度と上がることはない。広い客席は誰もいない。バレリーナもいない……わたしは無駄に想像力があるので、ネガティブな連想ばかり続く。
その幻影を頭から一生懸命振り払う。でもやるだけのことはやった。
公演主催をし、バレエ団を経営する先生が断る案件を、バレリーナが喜んで踊るとは思えない。加えて直に言われていないが、わたしが無名なことも大きい。人脈も金脈もないのに、バレエ公演やら動画やら……あきれているだろうな……踊れないのにバレエ好き。でもやりたい。回り道になるが、まずはバレエ文学の知名度をあげよう。わたしにできるのは創作しかない。だったらバレエ関連の本を創ろう。
このエッセイはここで終わる。
結論としてバレエの舞台もしくは動画は令和4年の時点では凍結です。ちょっと悲観的にもなっている。わたしはこのまま消えるかもしれない。この軌跡を書くことでさらに嗤われるだけかもしれぬが、恥ずかしいとはおもわない。
バレエには興味がないがホラーコメディでなら見たいと言う人がいるから。それも一人や二人ではない。この世にはバレエに接しない人の方が圧倒的に多い。その中の数人がコレ面白いと思い、バレエに興味を持てればそれでいい。
バレエが好きと公言していても、好きなダンサーはこれといってない。おっかけの人と話したこともあるが、どうも違和感がある。なぜだろうと考えていたら、わたしは特定のダンサーが好きなのではなく、バレエそのものの存在を愛していることに気づいた。
人間の肉体を幼少時から鍛えることで、あの美しい表現ができる。手が2本、足も2本、指もそれぞれあって合計20本。それを駆使して踊る。素晴らしいではないか。長い年月をかけて基礎が練られ、今もなお進化しつつある。
問題は閉鎖的で金持ちしかできないと思われていること。優雅な趣味ですね? と未だに褒めているのか皮肉なのかわからないけれども言われる。たまにオープンレッスンに行くだけなのに、お金かかるでしょ~と言われるし、このへん、バレエ業界はなんとかしないといけないと思う。
話がそれました。とにかく公演も動画も凍結です。このシリーズもいったん終了します。
バレエ本関連の話。知名度をあげるべく、活動はするが、あの世にいつでも行ける準備もしないといけない。忙しいです。あれだけバレエの舞台を創るといっていたのに結局何もしないままで終わるけれどもこれもわたしの軌跡です。今回もとても良い勉強をさせていただけた。
皆様、本当にありがとうございます。




