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若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。  作者: 長岡更紗
第二章 男装王子の秘密の結婚 〜王子として育てられた娘と護衛騎士の、恋の行方〜

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080●フロー編●71.目星

 ツェツィーリアたちが王都を離れていった。

 やることは盛りだくさんで、悲しんでいる暇はない。

 ツェツィーリアとリーゼロッテは外傷が酷くすぐに密葬という形にし、下手人はすでにラルスが粛清した……という設定だ。

 今回の騒動で出た死傷者は、フローリアンが思っていた以上に多かった。クーデターに加担した者の処分にも頭を悩ませるところだ。


「なんにせよ、ラルスとシャインが無事でよかったよ……多くの者が亡くなって、こんなことを言っちゃダメなんだろうけどさ……」


 執務室に三人だけになると、思わず本音が漏れてしまう。一人でも欠けてしまっていたら、もう平静ではいられなかっただろう。


「ほんとですね! シャイン殿なんて、『陛下のご尊顔を拝するのは、これが最後になるかもしれません』なんて言うんですから」


 ラルスがシャインの顔と声真似をしていて、フローリアンは思わず吹き出す。


「はは、似てる! そっくり!」

「もうあんな冗談いうのなしですよー、シャイン殿!」

「私は冗談など申しませんが」


 シャインに真顔で言われていて、ラルスは困ったように眉を下げた。


「わかってますよ。でも王が不安になるので、もうあんなことは言わないでください」


 その言葉に、シャインは少し間を空けてから、こくりとラルスに頷いている。


「そうですね。今の陛下に言うべき言葉ではありませんでした。配慮が足りず、申し訳ございません」


 いつものようにきれいに頭を下げられ、フローリアンはゆっくりと首を横に振る。〝今の陛下〟ということは、先王であるディートフリートに対する接し方をしてしまったということだろう。

 シャインは長くディートフリートに仕えていたし、緊急時にそこまで気遣えなくても仕方がない。


「無事だったからいいよ。でももう、無茶はしないでくれ。シャインになにかあったら、僕だけじゃなくて兄さまも悲しむんだから。ね?」


 そういうと、シャインは困ったように微笑んでいる。そんな顔を見ると、彼は本当はまだ、ディートフリートに仕えたい気持ちがあるのかもしれない……とフローリアンはそんなことを思ってしまった。


「ところで、今回のクーデターの首謀者は誰かわかったのか?」

「いいえ、まだでございます」


 クーデターの首謀者などすぐにわかると思っていたが、かなり巧妙に人を操っていたようで、これという人物が出てこない。聴取すればするほど、首謀者がすげ変わるおかしな事態になってしまっている。

 有能なシャインが手をこまねいている状態では、フローリアンとしても落ち着かない。


「気持ち悪いね……今上がっている名前に、本当の首謀者がいるのかどうかもあやしくなってくるよ」

「はい。このするすると抜け穴から逃げられるような感覚は……以前にも覚えがあります」

「以前?」


 フローリアンが首を傾げると、シャインは首肯した。


「陛下は、ウッツ・コルベをご存知でしょう」

「もちろん。国庫金を使って投獄された、元貴族の男だよね?」

「はい。私やディートフリート様は、ウッツこそがユリアーナ様のお父上、ホルスト殿を殺害して横領の罪を着せ、失脚させた張本人ではないかと思っていました。そして自身の娘を王家に嫁がせようとしていたのではないかと見ていたのです」


 その話なら、以前にも聞いている。フローリアンは娘の名前はなんだったかと、記憶を掘り起こした。


「えーと確か、ゲルダ・コルベ」


 シャインがすっと首肯した。

 それは二十年以上も昔の、フローリアンが生まれる前の話だ。

 ディートフリートたちはホルストが殺害されたと思い、ずっと犯人を追っていた。その懸命さはフローリアンも知っている。

 結局、犯人が見つかることはなかったのだが。


「そのウッツを追っていた時のような気持ち悪さが、今回もあるのです。犯人に辿り着けそうで、闇の中に吸い込まれてしまいそうな、この感覚が……」


 いつも冷静で穏やかなシャインから、わずかな怒りを感じた。

 それだけシャインにとって、ウッツ・コルベの件は悔しい出来事だったのだろう。


「シャイン殿、今回は絶対首謀者を暴き出しましょう!!」


 そんなシャインに、ラルスは拳を作りながら訴えている。

 フローリアンも同じ気持ちだ。誰が首謀者かわからないまま、国を運営していくのは不安がある。


「うん、それだけ影響力のある者を野放しにしていては、また似たような事態を引き起こす可能性がある。絶対に捕まえるよ!」


 フローリアンがそう強く宣言すると。


「「はっ!!」」


 二人の騎士は、ピシリと敬礼を見せたのだった。

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ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
サビーナ

▼ 代表作 ▼


異世界恋愛 日間3位作品


若破棄
イラスト/志茂塚 ゆりさん

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
この国の王が結婚した、その時には……
侯爵令嬢のユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
政略ではあったが、二人はお互いを愛しみあって成長する。
しかし、ユリアーナの父親が謎の死を遂げ、横領の罪を着せられてしまった。
犯罪者の娘にされたユリアーナ。
王族に犯罪者の身内を迎え入れるわけにはいかず、ディートフリートは婚約破棄せねばならなくなったのだった。

王都を追放されたユリアーナは、『待っていてほしい』というディートフリートの言葉を胸に、国境沿いで働き続けるのだった。

キーワード: 身分差 婚約破棄 ラブラブ 全方位ハッピーエンド 純愛 一途 切ない 王子 長岡4月放出検索タグ ワケアリ不惑女の新恋 長岡更紗おすすめ作品


日間総合短編1位作品
▼ざまぁされた王子は反省します!▼

ポンコツ王子
イラスト/遥彼方さん
ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
真実の愛だなんて、よく軽々しく言えたもんだ
エレシアに「真実の愛を見つけた」と、婚約破棄を言い渡した第一王子のクラッティ。
しかし父王の怒りを買ったクラッティは、紛争の前線へと平騎士として送り出され、愛したはずの女性にも逃げられてしまう。
戦場で元婚約者のエレシアに似た女性と知り合い、今までの自分の行いを後悔していくクラッティだが……
果たして彼は、本当の真実の愛を見つけることができるのか。
キーワード: R15 王子 聖女 騎士 ざまぁ/ざまあ 愛/友情/成長 婚約破棄 男主人公 真実の愛 ざまぁされた側 シリアス/反省 笑いあり涙あり ポンコツ王子 長岡お気に入り作品
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▼運命に抗え!▼

巻き戻り聖女
イラスト/堺むてっぽうさん
ロゴ/貴様 二太郎さん
巻き戻り聖女 〜命を削るタイムリープは誰がため〜
私だけ生き残っても、あなたたちがいないのならば……!
聖女ルナリーが結界を張る旅から戻ると、王都は魔女の瘴気が蔓延していた。

国を魔女から取り戻そうと奮闘するも、その途中で護衛騎士の二人が死んでしまう。
ルナリーは聖女の力を使って命を削り、時間を巻き戻すのだ。
二人の護衛騎士の命を助けるために、何度も、何度も。

「もう、時間を巻き戻さないでください」
「俺たちが死ぬたび、ルナリーの寿命が減っちまう……!」

気持ちを言葉をありがたく思いつつも、ルナリーは大切な二人のために時間を巻き戻し続け、どんどん命は削られていく。
その中でルナリーは、一人の騎士への恋心に気がついて──

最後に訪れるのは最高の幸せか、それとも……?!
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
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▼行方知れずになりたい王子との、イチャラブ物語!▼

行方知れず王子
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弟をどうにか助けたいと思ったイライジャ。

「俺は行方不明になろうと思う!」
「イライジャ様ッ?!!」

側仕えのクラリスを巻き込んで、王都から姿を消してしまったのだった!
キーワード: R15 身分差 双子 吉凶 因習 王子 駆け落ち(偽装) ハッピーエンド 両片思い じれじれ いちゃいちゃ ラブラブ いちゃらぶ
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異世界恋愛 日間4位作品
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第五王子
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そんな方はこちらから願い下げです!
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それなのに、副騎士団長であるベネディクトさんからの縁談が舞い込んできたの。
王命でいやいやお見合いされているのかと思っていたら、ベネディクトさんたっての願いだったって、それ本当ですか?
どうして私のところに? うちは驚くほどの貧乏領地ですよ!

これは、そんな私がベネディクトさんに溺愛されて、幸せになるまでのお話。
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
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▼決して貴方を見捨てない!! ▼

たとえ
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大事な人との、約束だから……!
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当主の息子セヴェリは、誰にでも分け隔てなく優しいサビーナの主人であると同時に、どこか屈折した闇を抱えている男だった。
そんなセヴェリを放っておけないサビーナは、誠心誠意、彼に尽くす事を誓う。

志を同じくする者との、甘く切ない恋心を抱えて。

そしてサビーナは、全てを切り捨ててセヴェリを救うのだ。
己の使命のために。
あの人との約束を違えぬために。

「たとえ貴方が地に落ちようと、私は決して貴方を見捨てたりはいたしません!!」

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誰より自由で、幸せにするために。

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キーワード: R15 身分差 NTR要素あり 微エロ表現あり 貴族 騎士 切ない 甘酸っぱい 逃避行 すれ違い 長岡お気に入り作品
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▼あなたはまだ本当の切なさを知らない▼

神盾列伝
表紙/楠 結衣さん
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なぜキスをするのですか!
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 彼の視線は優しく、けれどどこか悲しそうに。

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キーワード: R15 残酷な描写あり 魔法 日常 年の差 悲恋 騎士 じれじれ もだもだ 両思い 戦争 継承争い 熟女 生きる指針 メリーバッドエンド


▼恋する気持ちは、戦時中であろうとも▼

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