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第865話 桃太達の支援、その影響

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「確かにレジスタンスは弱い。アタシ達だけじゃキソの里解放なんて、無理だったがね。六辻剛浚ろくつじごうしゅん、お前がポカをしたのと、何よりもそこにいる出雲桃太いずもとうた君と建速紗雨たけはやさあめちゃんのおかげさね」


 薄灰色の髪を短めのボブカットに整えたレジスタンスのリーダー、一葉朱蘭いちはしゅらんが三日月型の酒瓶に入った古酒クースをかっくらいながら、巨大な金棒を振り回すのに対し――。

 異世界クマ国で百万人を殺傷したテロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指揮官に落ち果てた冒険者、六辻剛浚ろくつじごうしゅんもまた口角泡をたててくってかかり、蝿の使い魔を束ねた触腕で殴り合った。


「わしのポカじゃとっ。いいかげんなことを言うな」

「キハハハハハ。剛浚よ、あのエセ執事……晴峰道楽はるみねどうらくの挑発にまんまとのって大軍を動かしたのが、お前のポカじゃなくてなんだというのだい。〝三の技、ソウコクキュウ〟」


 朱蘭は剛浚の触腕に自らの金棒をからみつかせて引き寄せ、問答無用とばかりに左手で剛浚の脇腹をぶん殴る。


「ぐはっ」

「キハっ。まだまだいくよっ」


 朱蘭は三日月型の水筒、抱瓶だちびんから酒気を振り撒くと同時に、〝鬼の力〟で周囲を爆破炎上させるが――。


「おのれ、おのれえ」

「「GAAAAA!?」」


 剛浚もさるもの、とっさに使い魔の蝿を潜り込ませた屍体人形、〝蠅兵士フライソルジャー〟を身代わりに呼び寄せて回避。


「チッ。やるじゃないかっ。桃太君と紗雨ちゃんに負け続けたダメ指揮官の割に、戦士としては上等なのが困る」

「エセ執事の晴峰道楽といい、わしを馬鹿にするなっ」


 剛浚は火の粉を浴びながらもカウンターで朱蘭に手刀を叩き込み、鎧の一部をえぐりとりながら戦闘を続行する。


「えーと、俺と紗雨ちゃんは何かやりましたっけ? 我流・直刀ちょくとう!」

「離岸さんやレジスタンスの皆と合流したのは、最近のことサメエ? 蝿兵士は邪魔だからあっちへいくサメ!」


 その一方で朱蘭に名指しされた、額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、サメの着ぐるみを被った銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめは、剛浚が使役する屍体人形を衝撃波をまきつけた足で蹴り飛ばし、あるいは水柱をあげながら投げて交戦しつつも、なんのことかわからずに首を傾げた。

 二人がレジスタンスとの共闘を決めたのは、ジュシュン村で縁のある黒騎士と出会ってからだ。


「キハハっ。桃太君と紗雨ちゃんは、ワタシ達と組む前から〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の補給線を片端からぶっ壊してくれたろう? あれのおかげで、反撃に成功したのさ」


 朱蘭は剛浚と殴り合う戦闘中にもかかわらず、器用に抱瓶だちびんから古酒クースをちびりちびりと飲みながら、桃太達に微笑みかけた。


「六辻剛浚を含めて、テロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の阿呆どもは、物資運搬の苦労と重要性をわかっていなかったからね。

 そこにいる屍体人形は確かに飯も食わなきゃ水も飲まない。トイレも不要で、武器も必要ない理想の兵士に見えるが……。それを運用する指揮官には必要だってことを見落とした。

 だから装備に欠けるレジスタンスでも、真っ向勝負が挑めるようになったってわけさ」


――――――――――

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