第860話 ガッピ砦攻防戦の決着
860
西暦二〇X二年、一二月一五日。
額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太とその仲間達は、異世界クマ国で百万人を殺傷したテロリスト団体〝完全正義帝国〟が包囲する、レジスタンスの拠点、ガッピ砦を救援し、早朝から太陽が西の地平線に近づく時刻まで激戦を繰り広げた。
「ここはお願い! 俺と紗雨ちゃんは敗走する六辻剛浚を追撃する!」
「「うおおおおっ」」
その結果、長老衆の一人で前線指揮官である〝式鬼使い〟、征天将軍ジョウキョを倒して無力化し、秘密兵器である新たな屍体人形、〝聖職者級人形〟を撃破――。更には包囲軍の総指揮官である〝鬼君主〟、六辻剛浚をも退散させた。
「出雲達が〝聖職者級人形〟を倒してくれたことで、屍体人形や使い魔で改造された〝蝿兵士〟の動きが鈍っている。今ならいける。戦闘機能選択、モード〝一目鬼〟」
漆黒のフルプレートアーマーで武装した黒騎士は、義手に仕込んだ銃の弾丸を打ち尽くした後、近接戦闘仕様にチェンジ。
「GAA!?」
低空を走るホバー走行で、残存する屍体人形部隊の中核となった、戦車を模したキメラ、〝騎士級人形〟の砲撃を巧みにかわしながら接近して、大ぶりのナイフで獅子を模した首をおとし……。
「「剛浚のクソヤロウ、また仲間を見捨てて逃げるとはふてえヤロウだ」」
「「み、見捨てられた俺たちへの慈悲はないのか?」」
レジスタンスの陸戦部隊を導き、ガッピ砦を包囲していたテロリスト達をヒスイ河へ追いやってゆく。
「僕に言えたことじゃあありませんが、あんな味方を背中から撃つことしか脳のない馬鹿を、要職につけたアンタ達の自業自得でやんす!」
「「ろくでなしには報いを!」」
「「上があんなバカを信じたばかりにいいい」」
またキツネに似た顔の式鬼使い、離岸亜大が、嘴の長い鳥型の式鬼、〝嘴刺鳥〟で密に連携をとりながら四隻の船団を指揮して攻撃、水辺から戦闘ボートで逃げようと試みた敵をことごとく沈めた。
「「ちくしょおおおっ」」
「「こんな、こんな末路だとおおおお」」
かくして、〝完全正義帝国〟がコウナン地方北部の重要拠点、キソの里で保有していた戦力は、レジスタンス陸戦隊と船団の挟撃によって討ち取られ、あるいは捕縛されて消滅した。
「これにて作戦終了。道楽の旦那、命があっただけでも幸運でやんす。今後は少し休むでやんす」
「おや、戦闘終了を宣言するには気が早くありまんか。ですが、休むのも悪くないかもしれせん。しばらく、ゆっくり畑でも耕しますかね」
剛浚との戦いで負傷した白髪の老執事、晴峰道楽は、亜大と黒騎士に担がれて治療スペースで運び込まれるも、空元気とばかりに力こぶを作ってみせる。
「畑を耕す……。この楽観的な物言い、三日坊主とは言わないが、三カ月もしないうちに撤回しそうだな」
「私をなんだと思っているのですか!?」
されど黒騎士は、道楽の予定が甘すぎることを見抜いていた。
彼は異世界クマ国の産業に詳しいオウモと二人三脚で組織を運営していたことから、地球と違って機械が使えないという苦労が骨身にしみていたのだ。
「まあ、予定外の事態に苦しむのは、晴峰さんだけではないだろうがな。離岸さんの言った通り、作戦は終了だ。あとは我が友、出雲桃太と、小生意気なサメ娘、建速紗雨が幕を引いてくれるだろう」
あとがき
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