第838話 レジスタンスの反撃と、ジョウキョの誤算
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「家元って誰が認定――まあいい。屍体人形を操る赤青黄緑、四体のドクロ蛾の親玉のうち三体を倒した」
「そいつらが操っていた屍体人形も動けなくなる。これで形勢逆転だ。船団も呼び戻すでやんす!」
漆黒のフルプレートアーマーで武装した黒騎士と、レジスタンスの船団を率いるキツネ顔の式鬼使い、離岸亜大は、異世界クマ国で百万人を殺傷したテロリスト団体〝完全正義帝国〟の前線指揮官、征天将軍ジョウキョが操る式鬼……人間大のドクロ蛾をすべて撃破することに成功――。
「「し、しまった。式鬼が動かしていた屍体人形の動きが止まる」」
「「こ、これでは戦えない」」
二人は敵戦力を半減させた上で、一度は避難させた友軍船団を呼び戻した。
「「亜大さんから、作戦開始の連絡が届いたぞ!」」
「「出雲さんや紗雨姫に頼ってばかりはいられない!」」
「「俺たちだって、できるところを見せてやる!」」
「「GAA? GAA!?」」
桃太達と同行していた船のレジスタンスが準備万端とばかりに戦場へと進水し、矢や術の雨を天使を摸した空飛ぶ屍体人形へ見舞う。
「「援軍、待っていたぞ」」
「「よくここまで無事に来てくれた」」
「「さあ、挟み撃ちといこうじゃないか」」
同志の活躍を見て、ガッピ砦を脱出してテロリスト達と交戦していたレジスタンス陸戦部隊もおおいに奮起して押し返し始めた。
「道楽の旦那の部下にしちゃ、やるでやんす。黒騎士さんは、陸戦部隊の指揮をお願いしやす。船団は僕が導きす」
「わかった、満勒の代理で指揮の経験もある。そちらはまかせろ」
「「うわああ、ジョウキョは何をやっている。誰か責任を、指揮をとれええ」」
ここで亜大と黒騎士が友軍に合流したことで、〝完全正義帝国〟の大軍は、山と川、内側と外側から挟撃を受ける形となり、ズタズタに切り裂かれた。
「ガガガガっ、ピンチではないか。だが、出雲桃太。こいつさえ倒せば、まだ取り戻しはきくはず。サメの娘と同様に黄泉路を行くがいい」
追い詰められた征天将軍ジョウキョだが、内部で歯車が回るひとかかえもある円筒のランタンで、相方を失って意気消沈する桃太を押しつぶそうとする。
「あー、ジョウキョさん。うしろ、うしろ」
が、桃太が腕に巻きつけた衝撃波の剣で受け止めつつ、敵指揮官の背後を指すと、不審そうに目をひそめた。
「つまらん命乞いはよせ。後ろがどうしたというのだ?」
ジョウキョがつい目線をやると、そこには先ほど命を落としたはずの、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼の少女、建速紗雨がふんすと小さな胸をはる姿があった。
「クマ国代表の娘、お前はさっき殺したはずじゃ。いや、そうか、そういうことか」
ジョウキョも冷静になれば、自分がなにやらはめられたのだと勘づいたらしい。ミノムシのごとき鎧をゆらゆらと蠢かせながら真っ青な顔をひきつらせた。
「サメッサメッ。やられたふりして川に隠れていたんだサメエ。呪いとか毒の無力化はお任せなんだサメエ。そして、同じ術の構成なら強化だって解くのは簡単サメエ」
紗雨はそんかジョウキョに対し、水のドリルで殴りかかりながら種明かしをする。彼女が無事だった理由はただひとつ。別に致命傷でもなんでもなく、そのフリをしたというだけのこと。
紗雨の撃墜されるパフォーマンスといい、桃太の卒倒モーションといい、大根役者もいいところだったが、ジョウキョの高すぎる自己肯定感と、戦功への焦りが見落としに繋がった。
「そ、それでは私と相性最悪ではないか!?」
ジョウキョは後退して仕切り直そうとするも、既に遅い。
「征天将軍ジョウキョ。あんたも強かったが、地霊将軍ダンキンほどに冷静じゃなかったな。黒騎士と離岸さんが、引っ掻き回してくれたおかげで、今ならやれる。これだけ密集した敵がいるなら、使うのこいつだ。螺子回転刃を受けるがいい!」
あとがき
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