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第836話 桃太と紗雨、征天将軍ジョウキョと交戦再開

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「晴峰さんが〝鬼執事バトラー〟の役名を宣言したことで更に速度があがった!?」

「カムロジイチャンが、大昔は侍女や執事も強かったって言っていて、てっきりホラだと思ったけれど本当だったサメエ」


 額に十字傷を刻まれた少年桃太いずもとうたと、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめは、共闘するレジスタンスの指揮官たる白髪の老執事、晴峰道楽はるねどうらくの無双ぶりを見て、感嘆の声をあげる。


「ガガガガっ。執事も大概に場違いだが、変な格好したクマ国の姫よ、お前が言うのか!」


 だが、それを否定する者がいた。

 異世界クマ国で百万人を殺傷したテロリスト団体、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指導者たる長老衆のひとり、征天将軍ジョウキョだ。

 彼は身につけたミノムシのごとき奇怪な鎧を震わせ、内部で三つの歯車が噛み合う、ひとかかえもある円筒を武器としてかつぎあげると、青と黄に彩られた子犬ほどもある大きさの蛾を従えて桃太達に襲いかかった。


「ジョウキョ、訂正しろ」

「そうサメ。誰が変な格好サメエ。そんなデコボコした鎧と違って、とってもぷりちーサメエ」


 桃太と紗雨が迎撃しつつ、憤激したのは言うまでもない。


「投降するなら今だぞ。赤い麻痺の毒鱗粉をばら撒く式鬼ドクロ蛾の親玉は倒した」

「青い眠りの毒鱗粉も、黄色い幻惑の毒鱗粉も対処済みサメエ。降参したら、この場で命までは取らないサメエ」


 それでも降伏勧告してしまうのが、二人の甘いところだ。

 事実、二人が赤い親玉を倒したことで蛇糸が切れて、大量の屍体人形がコントロールを失い、無力化されていた。


「ガガガっ。訂正も投降も不要だ! 式鬼の一体や二体が失われたからといって、なんだというのだ? 我が最愛の鬼神具〝火取り虫のランタン〟がある限り、私は無敵だ!」


 しかしながら、ジョウキョは一顧だにせず、巨大な円筒を力任せに振り回して森の木々を粉砕しながら、桃太が振るう衝撃刃や紗雨が腕に巻きつけた水のドリルと切り結ぶ。

 その上、人間サイズはあろう新たなドクロ蛾の親玉を符から召喚――。

 沈黙していた屍体人形を再びコントロールすると共に、緑の鱗粉をぶちまけて応じた。


「我が式鬼、ドクロ蛾の鱗粉が赤青黄の三色だけだと思うなよ。こちらには、切り札たる緑の鱗粉がある。その力は私と屍体人形の強化だ。貴様達はカムロと交渉するため、捕虜にして持ち帰ろうと思ったがもういい。ここで死ねえ」

「なっ、強化だって。そりゃ、そんな大きい円筒を軽々と振り回せるわけだ」

「毒を強化薬にかえるだなんて、品種改良にもほどがあるサメエエ」


 征天将軍ジョウキョは毒鱗粉で味方を脅し、時に処刑する悪癖が災いし、部下達には嫌われていた。

 されど彼の変幻自在の式鬼さばきを見るに、桃太達が苦戦した地霊将軍ダンキンに並ぶという風評も――、あながち間違いではなかったのかも知れない。


「「まだだ、二本足の獣には負けん」」

「「毒で殺されるなら、戦った方がマシだ」」

「「BATATA!」」


 新たなドクロ蛾の親玉が投入されたことで、崩壊しつつあった〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の士気が復活。


「「くっ、なんとか出雲様達と合流したいが……」」

「「敵の包囲が厚いっ」」


 レジスタンスは、苛烈な戦闘で消耗を強いられている。


「くっ、敵の数が多いな。ここは俺が食い止めるから、紗雨ちゃんはヒスイ河を使って横合いから殴ってくれ」

「桃太おにーさん、わかったサメエ!」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>毒を強化薬にかえるだなんて、品種改良にもほどがあるサメエエ ドーピング駄目、絶対
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