第820話 完全正義帝国指揮官、征天将軍ジョウキョの登場
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「ええい、何をやっている。相手は、四人、たった四人だぞ」
額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太とその仲間達の奮戦により、ガッピ砦に籠るレジスタンスを殺戮しようと集まったテロリスト団体、〝完全正義帝国〟の迎撃部隊は、大混乱に陥った。
「ひ、ひいいいい」
「なんで、勝ち確定の戦じゃなかったのかよ」
「宴会していれば勝てるって話なのに、違うじゃないか」
テロリスト達はそろってじゃらじゃらと豪勢な武装で着飾り、屍体を元に作られた動く人形という大兵力を率いているにも関わらず、第一波、第二波の攻撃が退けられた途端、士気がぐだぐだになっていた。
「我流・長巻」
その隙を逃すまいと、桃太は腕に巻きつけた衝撃刃をふるって、天使を模した空飛ぶ人形の群れを森へ叩きおとし……。
「ミズクモイトの術で縛っちゃうんだサメエ」
銀色のサメから、着ぐるみをかぶった銀髪碧眼の少女の姿へと戻った建速紗雨が、濡れた河原から水の糸を噴出させて屍体人形をぐるぐる巻きにして……。
「三人のコンビネーションというのも悪くない!」
黒騎士が大ぶりのナイフを閃かせてトドメをさし、周辺の敵戦力を一掃する。
「これだけの大軍勢を集めてどうしてこうなった?」
「お前のせいだ」
「いいや、お前のせいだ」
そして、自分勝手なテロリスト達が、もはや恒例ともいえる内輪揉めで隙をさらしたところを……。
「チャンス到来、狙い撃ちでやんす」
「ぎゃあああ」
キツネ顔の式鬼使い、離岸亜大が使役する、槍のように鋭いくちばしをもつ式鬼・錐嘴鳥が、指揮官達の鎧の隙間を鋭い嘴で次々に刺し貫いて、動けなくさせた。
「テロリスト団体〝完全正義帝国〟の兵力は膨大です。といえ、建速さんが先ほど言っていたように、その大半は蛇の糸で操られる、死体を加工した人形に過ぎないでやんす。つまり、操り手さえ戦闘不能にすれば、屍体人形ごと無力化できるんでやすよよ!」
亜大は先ほどまで逃げ回っていたにもかかわらず、紗雨の言葉をまるまる引用して、えらそうに格好をつけていた。
「いやあ、出雲さんに建速さん、それに黒騎士のアシスト、おおいに助かりやした。しかし、最後にゴールを決めたのは僕なんで、そこは心得てもらいたいですね」
そんな元結婚詐欺師はしゃぎぶりに、桃太達が言葉を失ったのも無理はあるまい。
亜大が囮役を引き受けてくれたからこその戦果だということは、三人ともわかっていた。だから彼がわさわざ悪目立ちする理由はないはずなのに、どうやら縁の下の力持ちを担うことを、肥大化した自尊心が許さないのだろう。
「「「面倒くさい人だなあ(サメエ)」」」
桃太達の戦闘は、ここまでは順調だった。
「ガガガ。その程度の式鬼で調子にのるとは、レジスタンスも底が知れたな」
「あれ、あいつ効いていないでやんす?」
しかしながら、桃太達がかくも暴れれば〝完全正義帝国〟もだまってはいない。残り少ないといえ、ちゃんと指揮を取れる将帥が動き出したのだろう。
複数の装甲板を蛇糸でよりあわせ、あたかもミノムシのように奇怪な鎧を着る中年の男は、高笑いしながら進み出て、亜大が操る鳥型の式鬼、錐嘴鳥を掴んでぐしゃりと潰した。
「ふん、名前ばかり有名なクソガキどもが調子に乗っているようだが、所詮は寡兵よ! ポッと出の六辻剛浚なんぞに手柄首を奪われるのも勿体ない。キソの里を統べる副監督官にして、長老衆にも名を連ねるこの征天将軍ジョウキョが、地霊将軍ダンキンの仇を討ってみせよう!」
あとがき
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