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第817話 ガッピ砦救援戦、はじまる

817


「〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟が集めた屍体人形は、一〇〇〇体や二〇〇〇体どころじゃないな。少なく見積もっても、三〇〇〇体か。こんなに多いと、打ち破るのに苦労しそうだなあ」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたは、救援に来たガッピ砦が、テロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟が、天使を模した屍体人形やキメラ型の戦車人形を用いて、救援目的であるガッピ砦を十重二十重に包囲されているのを見て肩を落とした。


「桃太おにーさん。砦を装備している指揮官達の装備もなんだか金ピカで豪華サメエ……」

「救命胴衣や基本武装すらおざなりだったパトロール部隊とは段違いだ……」

「ぶんどった予算を、こちらに流したのでしょうね……」


 桃太はひとまず様子を見ようと、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめ。漆黒のフルプレートアーマーを着込んだ黒騎士くろきし。レジスタンス救援部隊のリーダーであるキツネ顔の式鬼使い、離岸亜大りがんあだいの三人を連れて船をおりた。


(なんか、虫の羽音がするぞ)


 桃太達は先行偵察すべく森の中を通って慎重に近づいたのだが、ガッピ砦を取り巻く森や川面を無数のはえが飛んでおり、ブンブンとやたらうるさい。


「紗雨ちゃん、ここらへんは蝿が多いのかな?」

「蝿は夏場の害虫サメエ。冬にいるなんて、珍しいサメエエ」


 桃太と紗雨がそんな会話を交わしていると……。


「しまった。索敵用の仕込みか!」

「蝿は包囲部隊の総大将、六辻剛浚ろくつじごうしゅんの使い魔でやんす。くそっ、あの野郎。以前はこんなにたくさん操る力はなかったはずなのに!」


 隣で敵陣をうかがっていた黒騎士が声をあげ、亜大も式鬼の連絡を聞いて顔を青くした。

 どうやら剛浚も備えていたらしく、桃太達の接近を察知されてしまったようだ。


「トー……出雲。〝兵士級人形ソルダート〟が来るぞ!」

「桃太おにーさん。爆弾を持っているサメエ」


 空飛ぶ天使を模した屍体人形達は、遮蔽物のない平らな川面を高速で、獲物を狙う鳥のように低空でやってきて、火薬壺を投げおとしたではないか。


「くそ、山火事を恐れないのか。我流・手裏剣!」

「隠している船が見つけられちゃあ、手札が減っちまう、式鬼で援護しますよ。〝錐嘴鳥すいしちょう〟よ、行けっ!」


 桃太が石つぶてに衝撃波をこめて投げつけて、〝兵士級人形ソルダート〟が投げ落とす爆弾をそらし。

 その隙を縫うように槍のような嘴が特徴的な鳥型の式鬼が飛翔、紙の翼から鋭利な針を射出して人形をハリネズミのように変えて射落とし……。


「サメーッ。黒騎士さんに水術のすごさを見せてやるんだサメエ」

「うん、私を不倶戴天ふぐたいてんの敵と理解しながら、必要とあれば組むのをいとわない。その判断の速さ……さすがはクマ国代表、カムロの養女だ」


 紗雨が水柱で爆弾を起爆させないよう防御しつつ、黒騎士が右の義腕に仕込んだ銃で狙撃するコンビネーションで、屍体人形を無力化すべく手足を撃ち落とす。


「は、どんなもんだい!」

あとがき

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>私を不倶戴天の敵と理解 亜大「そうやって二人で争ってるといいでやんす。その内に出雲さんと手を組むでやんす」
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