第195話 二つの友情、二つの道
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「正気に戻れ、オウモ。今の地球は、アメリカが音頭を取っているが、不快に思っている国はいくらでもある。八岐大蛇とその眷属が侵略と汚染を続けるせいで、中南米とアフリカ大陸は火薬庫、ヨーロッパ諸国も流入する難民を抱えていて、どの国もいつ政権が転覆するかもわからん。お前は異世界間戦争を引き起こしたいのか?」
「逆だヨ、カムロ。そんなだから現場が見えていないと言っているんだ」
カムロの制止に対し、オウモは正面から反論にかかった。
「お前の言ったとおり、地球の半分は鬼、八岐大蛇の眷属に支配されているんだゾ。放っておけば、地球という星、世界がまるごと支配下に陥るだろうネ。そうなれば、確実に異世界間戦争の勃発だ。そうなる前に抵抗勢力に武器を提供してやって、いったい何が悪いと言うんだい?」
「日本の〝S・E・I 〟を見ろ。お前が流出させた武器は鬼ではなく、地球の同胞やクマ国に向けられているのが現実だ」
「なあに、吾輩達、〝前進同盟〟が、亡国の民に国を与え、先導者となれば動きもかわるサ」
カムロにとって、オウモの見通しはあまりにも楽観的で、危うく見えた。
「オウモ、お前は騙されているんだ。真実、故国へ帰りたい者もいるが、それだけではない。〝前進同盟〟に参加した地球の難民には、西側諸国への復讐や八つ当たり目的で参加している連中だって山ほどいるんだ」
「カムロ、そんなことは最初から知ってるよ。難民の中から、敢えて〝跳ね返りの過激派〟を引き受けてやったのだから、お前には感謝して欲しいくらいだヨ。仮に戦争になったとしても土俵になるのは地球だろう? クマ国にとっては対岸の火事だ」
「そんな戯けた理屈を、地球の国々が飲むものか」
「飲ませて見せるとも!」
カムロとオウモ、八岐大蛇討伐という目的は同じでも、――選ぶ道は致命的に違っていた。
「カムロ。たとえ生命の女神に認められずとも、吾輩はお前に代わって必ず大願を成し遂げる。どうせ〝通神〟越しに居場所を探っているんだろうが、これ以上の引き延ばしには付き合えないネ。吾輩は今から逃げる」
そうしてオウモは通神をきり、ホバーベースを発進させた。
他の参加者には聞こえずとも、隣に居た呉陸喜にはカムロとの会話が丸聞こえだった。
「すまんネ。陸喜クン、吾輩を軽蔑したかい?」
「まさか。言い方は随分と露悪的だが、故郷、故国を思う気持ち、望郷の念をどうして止められるものか。侵略者である八岐大蛇を倒さなければならないのは地球も同じ。手を貸してくれるというなら、喜んで共に戦うとも」
黒い騎士の役割を自ら任じた呉陸喜は、トンチキな格好の女を突き動かしている原動力もまた、自分と同じ〝友情〟であると勘づいていた。
「ならば共犯者よ。我が手をとりたまえ、共によからぬことを続けよう!」
「いいとも。私は、いつか私達の道がトータやリウと再び交わると信じている。陰の道で鬼退治に励むとしよう!」
陸喜はオウモが差し出した手を右の義手で掴み、がっちりと握りしめた。
あとがき
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第三部は六月二日、金曜日より再開いたします。
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