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第94話 二人の伯爵

<テネシア目線>


 ついに自分みたいのが伯爵にまで、なっちゃったよ。ただあるじと一緒について行って、魔物や盗賊、海賊、悪党たちを好きに成敗して回っただけなんだけどね。主は正義感が強いので、凄く共感するし、一緒にいても楽しいんだ。辛いとか、きついとか思ったことは一度もない。


 それに主はいつもイレーネと自分に気をかけてくれて、素材を回収するとたくさんのお金をくれた。もうすでに一生遊んでいけるぐらいの財産も手にしたけど、実はお金にはそんなに興味はない。それより主と一緒にいて、主の役に立つことが一番大切だ。


 王城の伯爵邸に行くと、「伯爵様、お待ちしておりました」なんて言われてさ。なんか背中がむずかゆくなってきたよ。最初は王都の屋敷も断わったんだけど、主から「少しずつでいいから、貴族の流儀にも慣れてほしい」と言われ、しかたなく引き受けたんだ。主は東部の大領主で、辺境で自由にやってきたけど、今や王城の中心メンバーの一員で、そうなると側近の自分たちも王族や貴族との付き合いが出てくる。そこまで考えて、王城に館を与えたんだな。館と言っても、王都にしては敷地もかなり広く、自分には勿体ない話だ。


 伯爵になって俸給も増額された。俸給は王からの支給だけど、大したことはしていない。たまに王城の衛兵隊や近衛兵を見て回るだけ。いくと「伯爵様」「元帥側近様」「英雄様」なんて言われるよ。まいっちゃうね。


 俸給と言えば、あるじからもたくさん貰っている。伯爵になって俸給も増え、これ以上は貯まる一方だよ。そのうち、なんか使い道でも考えるかな。そう言えば、バナン王国の鉱山ダンジョンに主からもらった剣を持っていったら、イレーネと二人でリベンジ踏破できた。なぜかラスボスのミスリルゴーレムが二体出てきたけど、主からもらった異次元品質の剣で八つ裂きだった。その後、壁が崩れ、お宝をゲットしたんだけど、最奥で水晶玉が二つ出てきて、イレーネと一つずつ手にした。これは持つだけで体が熱くなるな。凄いわ。主に聞いたら普段は収納カバンに入れといた方が無難と言うんで、異次元品質の剣と一緒に収納中だ。鉱山の町のギルドではあたしたちのパーティー『消滅の風火』がダンジョン初制覇したことが掲示されてた。回収した素材の大部分は島のドワーフ職人さんに渡したよ。一部だけギルドで換金したけど、それだけで十分な額だった。実はダンジョン制覇で一番苦労したのが、マテリアルスライム。こいつだけはまったく剣が効かなかった。ここはまだダンジョン前半で、人が多い場所だったから魔法封印してたけど、やむなく通行人規制して獄炎魔法で焼き尽くした。主には内緒にしてくれよな。それとあるじを引き立ててくれたのは王女様だから、好感を持っている。結婚後は顔を合わす機会も増えるだろうから、仲良くしたいね。


<イレーネ目線>


 アレス様、テネシアさんと一緒に歩いてきたら、いつの間にか伯爵になってしまいました。自分には本当に勿体ない話で、断っていたのですけど、今後、アレス様の進む道を共に歩き続けるためには、王都や貴族に慣れていくのも必要なんでしょうね。


 頂いた王都の土地と館は広くて立派でしたが、アレス様、テネシアさんの近所だったのが良かったです。メリッサ王女様がいろいろ配慮してくれたんでしょう。王女様は目に見えないところで、アレス様に協力して下さっているようです。内助の功と言ったところでしょう。


 テネシアさんもぼやいてましたが、王様からの俸給、アレス様からの俸給、素材の売却でお金が貯まる一方なんです。アレス様からは「故郷の身内を呼んだらいいんじゃないか?」と言われてますけど、う~ん、どうしようかな。エルフの里から独立してここまで来たけど、里ははるか遠方の森にあるし、こことは生活が全然違いますからね……


 里のエルフにも魔法を使える者はいましたが、アレス様ほど、人知を超えた大魔法使いはいないでしょう。私は風と水、テネシアさんは火と土の魔法が得意ですが、なんとアレス様は魔法スキルを創造する力まで、手に入れられました。しかもその力をアイテムにより他人に与えることまで可能なのです。私とテネシアさんが、アレス様から頂いたアイテムの魔法スキルは【念話】【転移】【飛行】【隠蔽】【身体硬化】【結界】【収納】と増えてきました。トラブルを避けるため【転移】【収納】はレベル1にして制限をかけてるとのことでしたが、当然だと思います。その他に、アレス様から頂いた『異次元品質のミスリル剣』、ダンジョン最奥で回収した『魔力増大の水晶玉』もあるので、鬼に金棒どころの話ではありません。


 アレス様とメリッサ王女様の結婚まで、あと半年となりましたけど、引き続きアレス様の近くで従いたいと思います。メリッサ王女様ともうまくやっていきたいですね。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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