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第89話 元帥就任

 僕たち三人で数千のゾンビを全滅させ、さらに国境に防壁まで作ったことがロナンダル王国中で大きな話題となった。


「さすが救国の英雄だ!」

「これで二度ですよ!」

「たった一日で国境全部に防壁ができたらしい」

「信じられない……」

「いや、見た人がたくさんいる!」


 実際に目撃した兵士達からも上層部に報告され、三人に恩賞を与えようという雰囲気が大いに盛り上がったらしい。


 王城に呼び出されると、いつものガロル王、ザイス筆頭大臣、メリッサ姫が待っていた。


「ギルフォード卿、そなたには二度も国を助けてもらった。改めて礼をせねばなるまい」

「当然のことをしたまでです」

「三人で数千のゾンビを消し去り、その上、再発防止のため、国境全域に防壁をつくるなど、誰もできることではない。わしも防壁を見たが大いなる国防強化じゃ」

「お褒め頂きまして、恐縮でございます」


「それでじゃ、国防に尽くしたことに対するお礼にそなたへ元帥の称号を授与したい」

「元帥ですか?」

「うむ、元帥は国の防衛で最高の称号じゃ」

「しかし、過分過ぎはしませんでしょうか……」

「いや、今回の件は兵士達からも絶大の評価を得ている」

「しかし……」

「まあ、いい……少し、込み入った話をしようかの」


ここで小休止が入り、別室の応接間に席を移した。


「実は私は娘が二人いて、第一王女は他国に嫁ぎ、現在は第二王女のメリッサだけなんじゃ」

「それで第二王女の行く末を案じていたが、貴公のように素晴らしい御仁に巡り合え、望外の幸運と感じている。王女と結婚後はぜひ王族として、ゆくゆくはわしの後を継いでほしいのじゃ」

「そ、それは将来、王になるということでしょうか?」


「今まで、領地運営の手腕、商会の発展、そして冒険者として卓越した能力を十分確認してきた。そなたには十分にその資質がある」

「……」

「だが、わしや大臣、実際にそなたの活躍ぶりを見てきたものは分かるのだが、王都近郊の一部にはまだそれが十分に分かっていないものがおる」

「……」


「それで、ギルフォード卿に王都近郊の領地で、実績を作ってもらい、彼らを黙らせてもらいたいのじゃ」

「具体的にどのようにすれば宜しいのでしょうか?」

「王都のすぐ隣にベイスラ領があるが、そこはスラム街が多く、治安も悪い。何度か領主が代わってるが、誰がやっても改善が見られない。過去の領主は賄賂で牛耳られたり、逆らって変死したりと、散々なのじゃ。もしその領地を貴公が改善できれば、誰も貴公の特進に反対するものはいなくなるじゃろう」


「わかりました……但し、一つ条件がございます」

「なんなりと申すが良い」

「おそらく相当な荒療治になると思いますので、私の思うままでやっていいということであれば……」


「そなたの実力を信じておるのだ。好きにやってかまわん」

「それならば、お受けいた致します」

「さすがはギルフォード卿じゃ。それと元帥と言っても象徴的意味合いが大きい。軍のトップではあるが、実務は今迄通りの組織で運営していくので、まったく心配いらん。一種の箔付けみたいなものよ。但し、定期的に王城での重役会議に出席してもらうので、その際はすぐ来てくれ」

「かしこまりました」

「ザイス筆頭大臣あれを」

「はは」


目録を見せられた。


一、元帥の称号の授与

二、ベイスラ領の授与


 今のところ、島、ギース領、アグラ領と領地運営が軌道に乗ってきてるし、新たな領地、ベイスラ領か……やってみようか。好きにできるようだし、面白そうだ。


「引き受けてもらえるか?」

「お引き受け致します」


 傍から見て、自分の顔は真剣だったろうが、内心はワクワク、さあ、新領地、やるぞ!


 ちなみに今回の件で、テネシアとイレーネに伯爵の叙爵が決まった。これまで二人とも僕の下で直接働くことを希望し、領地授与は辞退してきたが、今回は大幅な俸給増額が決まった。王都の館は以前に二人とも授与されているが、王都に行く機会も増えるし、さらに貴族の嗜みを覚えてもらおう。自分も人のこと言えないけどね。僕の王都の領主邸も王都に来た時の寝泊まり用になってるし。


 でも将来的にはテネシア、イレーネに領地を持たせてやりたいと強く思っている。自分でやって分かったが、大きな力は広く役立てるべきだと確信してるからだ。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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