第86話 ゾンビ大量発生
今日はアグラの領内を空から巡回してる。テネシアとイレーネはバナン王国のダンジョンが気に入ったようで、二人で楽しげに出かけた。彼女達に荷物持ちがいないと大変と思い、【収納】機能付きのカバンをあげた。オーバースキルは不味いので、物だけ、倒した魔物だけ、そのまま保存という制限をかけた。たまには二人だけの戦闘もいい訓練になるだろう。危なくなったら、すぐ転移するよう言っといた。収納カバンには予備の剣と回復薬を入れていた。二人とも頑張れよ。
最近は広い郊外の農地を見て回っていたが、たまには北方の国境付近も行くか。あそこは深く険しい森があって、越境してくる輩はまずいないと思うが、念のため。
森を越え、そろそろ国境付近に迫ったところ、何やら大勢の人がこちらに歩いてきてる。んん、何だ、あれは? 近づくと、頬はコケ、血色が皆悪く、生気がない。これは……
「【鑑定】! ゾンビだ!」
どんどん国境を越えて入ってくる。不味いぞ、これ! 今日は二人もいないしな。
とりあえずこれ以上、入らせたくないな。よし、壁を作ろう。
ゾンビと絡みたくないので、上空から
「【収納】【収納】【収納】【収納】【収納】!」
「【加工】【加工】【加工】【加工】【加工】!」
「【複写】【複写】【複写】【複写】【複写】!」
次々と石壁が出来上がる。島でさんざん壁を作ってきたのでお手の物だ。壁ができると、ゾンビは壁にぶつかって進めない。あまり知能は高くなさそう。しかし……
ゾンビの数が多く、まだ壁のない場所から入ってくる。なんてことだ。よし、ペースを上げるぞ!
「【収納】【収納】【収納】【収納】【収納】!」
「【加工】【加工】【加工】【加工】【加工】!」
「【複写】【複写】【複写】【複写】【複写】!」
国境手前近くでどんどん壁を広げていく、ゾンビと壁の競争だ。結局、領内の国境ラインすべてに壁を構築してゾンビ侵入は収まった。しかし……
「壁を作る前に侵入したゾンビが森(こちらの領地)に向かっているなぁ……」
この森に人は住んでないし、崖で足場も悪いから、侵攻は遅れるだろうが、やはり自分の領内にこんな得体の知れない者は入れたくない。よし、やるか。さっきよりは数もへったし。
「【収納】【収納】【収納【収納】【収納】!」
次々とゾンビが減っていく。だいぶ減ったな。と思ったら。何人かが森の中に入っていった。
「森に入られると面倒だな。一人ずつ消していくか」
ゾンビの動きは予想外だが、なぜか領内の同じ方向に向かってる。ひょっとして操られてる? 何とか減らしていったと思ったら、視界に大きな蛇が見えた。
「あれは、いつか見た洞穴の大蛇だ!」
どうやら洞穴に何人かのゾンビが入ってしまい、怒った大蛇が出てきたようだ。大蛇に【動物会話】スキルで話かける。
(助けましょうか?)
(大丈夫だ)
そう言うと大蛇はゾンビを次々と丸呑みしていった。まわりを見るとゾンビはすっかり消えていた。もう一度、壁の向こうにいくか。
壁の向こう側ではまだまだゾンビがいたが、壁に阻まれぶつかるばかり、これなら大丈夫だろう。と思った時、国境向こうから
「余計なことをするな!」
という声が響き渡った。
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