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第72話 思わぬ来訪者

<ギースの領主邸>


「ちょうど来てます」


リミアと一緒に執務室に入ると、以前、盗賊から助けた四人だった。


「あっ! あなたは!」

「私が領主のギルフォード公爵です」

「ええ!」

「……あの時も言いましたが、名前を言わないとお伺いできませんよ……」

「……こ、これは大変失礼しました。すぐに主人を連れてます」


しばらくして四人の護衛があの時の女性を連れてきた。


女性は僕の前で一礼してから


「私はハロル王国、第三王女のキリシアです。隠密でここまで来ました。ぜひ公爵様にお願いがあって参りました。

「王女様でしたか! それではこちらの応接間へどうぞ」


キリシア王女と対面で座る。向こうは護衛四人、こちらはリミアが後ろに立っている。


「実は私の国で最近、蜂の魔物キラービーが領内に侵入しております。公爵様が退治されたとギルド経由で情報を頂きました。ぜひとも我が国をお助け願います!」


 ハロル王国はロナンダル王国の西隣にある国で、北東部でウラバダ王国に接しているから、そちらから侵入したんだろう。ハロル王国にはうちの支店もあるし、仲良くしとくか。


「事情は分かりました。キラービーの発生場所を教えて頂けますか?」


地図を出すと。


「この付近です」


と王女が指で示す。


「街中にはまだ入ってないですか?」

「……国を出た時はまだ国境付近で数も少なかったのですが、もう入ってるかも知れません……民が心配です」


王女が俯き涙ぐむ。後方の護衛達も頭を下げながら訴える。


「ぜひ我が国をお助け下さい!」

「お願いします!」

「公爵様、何卒!」

「よろしくお願いします!」


……ここまで頼まれたら、動かざるをえない。しかし緊急で動かないとな……


「分かりました。すぐ行きましょう。領主邸の前で出発準備をお願いします」

「分かりました!!」


王女達が出発の準備をする間に、テネシアとイレーネを呼んだ。


「今度は隣のハロル王国でキラービーが発生した。思いっきり魔法が撃てるぞ!」

「おお!」

「ワクワクしますね」


そして王女様と護衛が馬車でやってきたので、人目につかない場所に移動してと。


「長距離を馬車で移動したら、キラービーによる被害が拡大してしまいます。今から特別な力で直接、ハロル王国に移動します」


一同ポカンとする中、「【千里眼】を作動させて、【転移】!」


<ハロル王国・北側辺境>


到着したら、すでにキラービーがあたりいっぱいにいる。


「王女様、これからキラービーを倒していきますので、後方におさがり下さい」

「テネシア、イレーネやれ!!」


 テネシアの火炎放射でどんどんキラービーが燃えていく。イレーネも強烈な風でキラービーを叩き落としていく。これだけの数だ。今回は僕も最初から動かないとな。


「空中にいる全部のキラービーを【収納】!」


 視界のキラービーが全部消滅。今度は右、左とまわりながらやったら、いなくなってしまった……すると……


「ちょっと、あるじ、飛ばし過ぎ!」

「これからという時に!」


すると、王女が叫ぶ!


「キラービーが王都にむかってます!!」


「よし、王城前に【転移】!」


今度はいきなり王城前に移動したが、王女様と護衛達は驚愕しっぱなし。そこへ。


「王女様! 戻ったのですね!」

「辺境でキラービーを倒しましたが、残りがこちらへ向かっています」

「こちらの方は?」

「ギルフォード公爵です。助けに来てくださいました」


王女様が関係者に事情を説明していると、キラービーが町に迫ってきた。凄い数だ。


「それではこれから退治しますが、下では建物に被害が出てしまいますので、空中から攻撃させていただきます」


「テネシア、イレーネ、【飛行】して、空中から攻撃しよう。建物に被害がでないよう頼む」


すでにキラービーが町に入りだした。急ぐぞ。


 三人が空中に飛行して魔法を放っていくと、キラービーがどんどん消えていく。建物に近いキラービーは風魔法、建物の上空は火魔法、人に接近したら、【収納】、三人の連携が取れている。今回は街中に入りこんだから、大規模魔法が使えず小まめに駆逐したから、手間がかかった。


 あっキラービーが人を襲う! 「キラービーを【収納】」! そして、気が付いたらキラービーの姿は消えていた。


 その晩、ハロル王国の王城で盛大な宴が催された。王様からは国の英雄ともてはやされて、翌日も引き留められてしまった。迎撃タイミングがドンピシャだったとしかいいようがないが、緊急とは言え、町の上空を飛行して魔法を連発して魔物を討伐したのはあまりに目立ち過ぎた。王様と王女様から三日も引き留められて、どうにか帰国できた。その間にギルド長も来て、いろいろ状況を確認してた。出発する時に町中の人たちから「英雄」「救世主」「救国の天使」「伝説のパーティー消滅の風火」だのいろいろ言われて恥ずかしかった。


 その後、またもや王都のギルドマスターに呼ばれ、ついに冒険者SSランクに昇格となってしまった。これは累計でSランク事案を複数こなし、しかも国際的事案だったからだとか。ハロル王の強い推薦も大きかっただろう。


 ちなみに婚約者のメリッサ王女には今回の件は包み隠さず、正直に報告した。ここまで来ると隠しようがないし、正直が一番楽だからね。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 公爵とはいえ独断で他国まで行って武働きするのはどうなの? 島の運営もそうだけど王に報告した描写もないし独断専行する権限を与えられた描写もない。 王政の国を舞台にするならそういったところ…
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