第67話 アグラ領の盗賊討伐
西側の領境付近の街道沿いで不審な男の集団を発見した。もっと近づいて見るか。すると見るからにガラの悪そうな三十人ほどの男達がいて、何やら話し込んでいるな。地面に着地し、【隠蔽】スキルそのままで聞き耳を立てる。【念話】スキルも開始。
「もうすぐ荷馬車が通るぞ、隠れてろ」
「今度はどんな荷物だろな」
「楽しみだぜ」
会話内容から盗賊と判明。さてどうするか。このまま捕まえてもいいが、少し様子を見る。すると荷馬車が近づいてきた。荷馬車は護衛四人が前後左右を固めていた。
(護衛の数が少ないなぁ……)
(あれじゃやられるな)
(普通は護衛が四人もいればいい方なんでしょうが……)
【隠蔽】【念話】スキルのお陰で冷静に状況を観察できるのは有難い。普通は実行部隊に目が行きがちだが、後方に隠れて指示を出している人物を見つけた。
(あれがボスだな、二人とも盗賊が馬車を襲ったら、スキルを解いて殲滅しろ。僕はボスを捕獲する)
(分かった。主)
(分かりました)
盗賊が馬車に向かって動きだした。護衛が四方を守るが多勢に無勢だろう。しかしテネシア、イレーネがその盗賊の後方にぴったりいる。
「ここで止まれ! 金目の物を出せ!」
盗賊が 馬車を包囲し、金品を要求する。護衛も剣を出し、お互いに睨み合う。その瞬間。
「野郎ども! やっちまえ!」
ついに応戦が始まる。しかし、次の瞬間。
「うわあ!」
「ぎゃー!」
「なっ!えっ!」
凄まじい速さで盗賊達を倒していく。今回も峰打ちだが、二人とも楽しそうだ。それを見たボスが逃げようとしたので、サクッと【収納】した。一分もしないうちに片付いた。さて僕も出ていくか。
「助太刀、感謝します」
護衛の一人が深々と頭を下げて礼を言った。それに合わせて他の三人も礼をした。すると馬車から、上品な服装の女性が降りてきた。
「危ないところ、助勢感謝します。お名前を伺ってもよろしいですか?」
「……」
僕達三人で顔を見合わせ、少し様子を見る。三人とも身軽な軽装(冒険者風)で、外見からは身分が分からないからな。すると護衛の一人が。
「助けてくれたのは感謝するが、主人が聞いてるので、名前を教えてくださらんか」
と言う。しかたない。
「名前を言うのはかまいませんが、先ずはそちらから名乗るのが筋だと思いますが?」
すると他の護衛が
「こちらは身分の高い方である。今回はお忍びで来ているので名前はご遠慮願おう」
と言う。少し面倒だな。
「分かりました。それなら私も名乗るのは遠慮します」
少し不穏な雰囲気になったが、テネシアの
「あ~主、用件が済んだから、次行こう」の一言で去らせてもらった。
少し後味が悪かったな。次からはサッサと処理するか。引き続き街道沿いを見ていく。
その後は不審人物を見つけたら、文字通り、本当に問答無用で倒していった。そしてボスだけは捕縛するパターン。数日かけて、ほぼ全滅したんじゃないかな。
よし、ボスを尋問しよう。ここで【創造】スキルで作った【精神支配】(マインドコントロール)を使う。以前からこのスキルが気になっていたんだ。悪党は平気で嘘をつくからね。もちろん一般の人には絶対に使わない。精神支配を非道のように言う場合があるけど、残酷な拷問をするよりはるかにマシだし、スマートだと思う。
捕まえたボスの一人を【収納】から出し、【精神支配】(マインドコントロール)を使った。
「すべての質問に正直に答えろ」
「お前は盗賊のボスか?」
「そうだ」
「アジトの場所はどこだ? この地図で指をさせ」
「ここだ」
「今から案内しろ」
「分かった」
こうして盗賊のアジトを全滅させた。お宝が相当あったが、これから領地運営に物入りなので、有効に活用させてもらおう。さて、次は魔物討伐だ。
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