第64話 王女様が島に来た2
準備で一番大変だったのが、建物、道路、港といったインフラではなく、城内の絵画等の美術品、装飾品だ。いくら生産スキル持ちでも、こればかりはどうしようもない。あちこち探しまわり、商会のメラル、執事のバイアスらに聞いて、なんとか体裁を整えた。
「中の装飾もこだわってますのね」
「いやはやお恥ずかしい限りで、全部、まわりに助けられただけなんです」
島では城の中でゆっくり過ごして頂いた。特に海が見える部屋は絶景で、楽しんで頂けたことだろう。
しばらくして島の外を回ってみたいと要望されたので、真っ先に崖の監視施設に来てもらった。ここは四方絶景で、島一番の観光スポットだ。ここの最上階でランチを召し上がって頂いた。その後は海辺の砂浜も散策して頂いた。
その後、温泉、領主邸、城の館、商店など、一通り、島の施設をご覧頂いたが、特に温泉には驚かれていた。その日は貸し切りにしたが、もし姫様が島に来るなら、専用の温泉を作らないとな。
こんな感じで島の全体をご覧頂いたが、楽しい時間は経過するのが早く、とうとう最終日になり、腹を割って話すことにした。
「今日で島も最後になります」
「なごり惜しいです」
「婚約の件もありますので、今日はお互いに率直に話し合いましょう」
「そうですね。私もそう思ってました」
「私は特別な力を持っています。それで今まで、やってこれました」
「……そんな気がします」
「この力は人の常識を超えるものです。場合によって恐れられるかもしれません」
「私はアレス様を凄いとは思いますが、怖いとは思いません」
「もし婚約となると、この力を目の前で見ることになります」
「それなら、今見みせてもらえますか。見る覚悟はとっくの昔にできてますし、むしろその力を確認したいのです」
「……分かりました。私は一瞬で遠くにいくスキルがあります。今から一緒に行けますか?」
「……分かりました。どこに行くのですか」
「もしよければ、王都の私の商会でいかがでしょう」
「わかりました。行きましょう」
「では手をつないで下さい【転移】!」
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「姫様、こちらは王都の商会です」
「……」
「初めはどなたでも驚かれます。外に出ましょう」
姫様に頭から外套を羽織ってもらい、外に出ると王都の街並みが広がっている。
「本当に王都まで来たんですね……」
「驚かれましたか?」
「確かに驚きましたけど、アレス様なら、不思議と納得できる部分もあります」
一度、商会本館の会長室に戻る。
「ありのままの私を知って頂きたくて、スキルを使わせて頂きました。私は商人であり、領主でもあり、それと冒険者でもあります」
「メインは何ですか?」
「一番は領民を守る領主です。その次が商人、冒険者は素材集めが主な目的です」
「姫様はずっと王宮だったのですか?」
「そうです。ですが、外の世界を知りたいという気持ちは大きいです。好奇心が強いんですね」
「それは私も同じです」
「今回はお会いできて本当に良かったです」
「私もです。姫様」
姫様の素顔が知れて良かった。その後、王城からの呼び出しを受け、姫様との婚約、公爵位の叙爵、領地の加増が決定した。また、あわせて島の帰属も公式に認められた。
それとSランク冒険者として僕と一緒に活躍したテネシア、イレーネも男爵位の叙爵が決まった。二人とも王都に館も授与されたが、僕の公爵邸の近くの場所だった。きっと姫様が配慮されたんだろうな。
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