第63話 王女様が島に来た
ついに王女様が島に来訪される日が来た!と言っても島なので、実際のお出迎えは玄関港であるギースだ。
「いよいよ王女様がいらっしゃいますね」
ミアに代わり新しくギース領代官になったリミアが緊張した面持ちで言う。王女様御一行はここまで衛兵を引き連れ、馬車でお出ましだ。あっ、見えてきたな。王女様ともなると、護衛や御付きの人で、五十人もの数になるのか……馬車が領主邸前で止まった。
「ようこそいらっしゃいました。お待ちしておりました」
「お出迎えご苦労様です」
王女様が微笑みながら応答してきた。
「狭い所ですが、どうぞ中へ」
中へご案内すると執事バイアスが使用人総出でお辞儀をする。さすがベテラン。様になってるな。その後、王女様を応接間に通して、ソファでゆっくり休んで頂いた。
「遠いところまで、わざわざありがとうございます」
「いえ、道中、楽しめましたわ」
「長い道中、お疲れでしょう。今晩はこちらでお泊り下さい」
こうして王女様がギース領主邸で一泊することとなった。夕飯時はギースの名産品を振る舞い、多少は和らいだかな。お互いに二人きりの時は、ギルフォードからアレスに、王女から姫に呼び方を変えることになった。
翌日、朝食の後、出発の準備をし、姫様御一行と港へ向かう。
「わ~立派な船ですね!」
姫様の感嘆の声。やった。これはどこかの国の立派そうな船を【複写】したものだが、【加工】で修正も加えた。大きな豪華船でしょう。
「どうぞお乗り下さい」
大きな船で五十人全員を荷馬車ごと乗せた。当然、貸し切り状態だ。船の内装も豪華仕様でソファにゆったりとくつろいで頂いた。
「アレス様、こんな船は王国でも見た事ないですよ」
「姫様のために特別にしつらえました」
「感謝します。まさか、これほどの船に乗れるとは!」
船の中で昼食をとり、お茶を飲みながら、海を見つめていると、姫様から
「やはり海はいいですね。アレス様は海が好きですか?」
「はい、大好きです。僕は海も山も好きですね」
「アレス様は山も行かれるのですか?」
「以前、山に住んでいたことがあります」
「山もいいですよね」
「島には海も山もあります」
「それは楽しみです」
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「もうすぐ島が見えてきますよ」
「本当ですね。あら! 島に大きな建物が見えますね」
「はい、あれが、屋敷になります」
「……かなり大きそうですね」
「……」
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「姫様、もうすぐ島です」
「あら!歓迎の人があんなにいっぱい!」
「こちらの島はウラバダ王国から避難した亜人達がほとんどなんです」
「……大丈夫ですよ。私は悪い見方はしませんので」
「そうおっしゃって頂けると有難いです。最近は人間の移住も増えてきてますが、まだまだこれからです」
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船が港に到着し、王女様御一行が馬車に乗り換えられた。私も同席する。
「では屋敷へ向かいましょう」
「まあ! 道が綺麗!」
「姫様のために準備してきました」
「こんなに歓迎してもらえるなんて!」
沿道の住民が手を振って歓迎する中、馬車は緩やかにあがり、小高い丘の上の城を目指していく。
「近くで見ると大きいですわね」
「ありがとうございます」
「しかし、島にこんな大きなお城があるなんて……」
「……こちらも急いで準備しました」
「……ふふ、まあ、面白い」
馬車が城に到着し、そのまま中に入る。城の正面入り口で防衛隊が出迎えている。今日のために近衛兵のような服装を準備したのだ。
「兵隊さんもしっかりしてますね」
「島の防衛隊になります」
城の中では執事ビスタが使用人を引き連れお辞儀する。こうして王女を城までお迎えすることができた。ここまで長かった。
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