第6話 加工スキル
エルフの娘、イレーネが来て、さすがに三人には狭いと判断し、増築することにした。どうせなら各人個室があった方がいいだろう。収納の中を確認したら、相当な量の木材があったので、どんどん【取出し】して、組み立てていった。その最中、新スキルを獲得したとのイメージが浮かんだ。新しいスキルは【加工】で、神様が言っていた物づくりに適したスキルだ。
いったん、手作業での組み立てをやめ、頭に出来上がった家をイメージする。
頭に図面が浮かび上がり、希望の間取りが表示された。
「【加工】!」
収納内の木材が取り出され、一瞬のうちに家ができあがる。
「うわっ、凄い!」
「こんなことが!」
テネシアとイレーネの驚く姿が小気味いい。その後、室内を見てもらい、扉や家具を追加で【加工】していったので、なんとか期待に沿えたことだろう。テネシアと二人の時はテネシアの男っぽさも手伝って、同室暮らしでもさほど気にならなかったが、女性的なイレーネにはさすがに同室暮らしは不味いと感じた。それで元の部屋を3人の共通部屋にして、三室増築したから、四倍ぐらいに拡大した。それと石壁も組み直し補強した。これなら大抵の魔物は石壁の中に入ることすらできないだろう。
しかし、【加工】スキルは便利だ。収納内にある物か、目の前の物を材料にして、どんな物でも思い通りに作れてしまう。テネシアとイレーネの武器に加工を施したところ、新品のような状態になり、大変喜ばれた。変形も直るし、錆や腐食も取ってしまう。ただ目の前に材料がないと、収納内の材料次第のところがあるので、今後は収納内の充実に努めたい。木材、石材は相当あるので、今後は金属を狙っていきたい。
どこかに鉄鉱石はないだろうか……
~その日の晩~
「加工スキル獲得で物づくりに目覚めたよ」
「主は家でも塀でも家具でも何でも作ってしまうな。凄すぎる!」
「アレス様のスキルは本当に素晴らしいです!」
二人からも呼び方も定着したな。
スキルのせいだろうが、二人が僕を持ち上げることが多くなった。
称賛されると、俄然やる気が出てくるね。
「それでさ、今度は加工スキルで金属製の武器を作ってみたいと思って」
「おお、武器か! それはいいな」
「私も武器が充実したら嬉しいです」
二人とも武器への関心が強い。
「それには材料が必要で、鉄鉱石とか鉱脈の場所が分かると助かるんだけど……」
「それなら、山の奥側に黒っぽい硬い岩場があったので、
一度調べるといいでしょう」
「山の奥側というと、ゴブリンが出たあたり?」
「そこよりもっと奥のほうです」
へぇ、それは貴重な情報だ。
「よし、一度行ってみるか。魔物が出るかもしれないから二人に護衛をお願い
したい」
「分かった、主」「分かりました。アレス様」
翌朝、三人でゴブリンと戦った場所まで転移する。できればスルーしたかったが、転移のためしかたない。そこから先はイレーネに方向を聞きながら、転移で先に進んだ。何度か転移を繰り返すと黒っぽい斜面を見つけた。どうやらあれらしい。近づくと鉄っぽい臭いがする。
「どうやら、アタリらしい」
「鉄鉱石だわ」
「凄い大きさだ」
とにかく大量に持っていこう
「【収納】【収納】【収納】【収納】【収納】!」
手当たり次第に鉄鉱石を収納する。色の感じから他の金属も含んでるだろうが、収納のレベルがあがり、分別分解できるようになっている。収納さえすれば、鉄でも銅でも金でも分別保管されるのだ。
三十分以上経過したが、まだまだ入る。いったいどれだけ入るのだろうか。
もう山の形が変わるぐらい入れている。キリがないな。
「よし、ここで終わりにしよう」
二人が呆然とした表情で僕に言う。
「……主の収納スキルは限界が無いんじゃないか」
「……言葉が出ません」
鉄鉱石をしこたま収納した後、転移により一瞬で自宅に帰った。金属加工が楽しみだ。それと今はここで、引き籠って生活してるけど、そろそろ外の世界も見てみたいよな。
その日の晩、三人で食事をする。
三人の食事……、一人より断然いい。
「主と居ると、楽しいな」
「そ、そう? ははは」
「ええ、本当ですよ。アレス様」
二人の表情が優しい。こんな日が続けばいいな。
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