第57話 商会販路拡大 ※隣国位置概略付き
「やっぱりな……」
ためしに金貨を【創造】しようとしたが、ダメだった。する前から分かっていたが、罪悪感が大きい。このスキルはチートだが、本人が心の底から嘘偽りぬきに必要と感じているものでないと発動しないからだ。
「でも、これで良かったかもしれないな……」
そう言えば、ずっと前にお金を【複写】した時は品質が良くなくて、忘れていたが、今ならレベルも上がって、うまくできるかもしれない。
「【複写】!」
「え…………」
なんと本物と変わらない状態の金貨が出てきた。しかし……
でてきた金貨はすぐ【収納】して、元の素材に戻した。罪悪感が凄い。
これは禁忌だな。
さて、島の人口が五千人に膨れ上がり、これからもますます増えていくだろうが、この島の経済は自分のポケットマネーで補填している。まだ資金に余剰はあるが、使ってばかりだと将来、いずれ底をつきてしまう。
「よし! 本業を広げていくとしよう」
――
――――
島の店舗に来た。いつもいい品ぞろいだよな。
「あっ、会長、お疲れ様です」
「やあ、ライサ店長、いつもいい品がそろっているね。これだけたくさんの種類を集めるのはさぞかし大変だっただろう」
「確かに大変ですが、やりがいがあります」
「この島は物々交換が主流だから、君の商品を集める能力が十分生かし切れなくて申し訳ない」
「勿体ないお言葉です」
「どうだろう、君にもっと活躍する場を与えたいと思うんだ」
――
――――
<ギルフォード商会・本館・会長室>
これから、メラル店舗統括本部長、バーモ副部長、ライサ支店長と会議をする。
「現在、国内で本店を中心に東西南北に四か所の支店、島の支店を開設しているが、販路を本格的に拡大することとした。これまでメラル君に支店拡大の準備をしてもらってると思うが……」
「はい。こちらの地図をご覧ください。印をつけてる箇所が支店開設予定の場所となります」
「国内に十箇所か、もう土地は押さえたのか?」
「土地だけは押さえました」
「うん、よろしい」
「僕の方ですべての店と商品を準備する」
「本当ですか! 会長! それは助かります」
「メラル君は各支店の店長はじめスタッフ集めを急いでくれ」
「了解しました」
「それから、ここにいるライサ君は商品選びの才がある。島の支店長だけでは勿体ない。彼女には全店舗の商品開発担当も任せたい」
「それとライサ君にはここに来るまでに話したが、今後、販路拡大に伴って、特別なスキルが大いに役立つはずだ。皆にスキルで作ったアイテムを与えよう」
テーブルに転移の指輪、念話のイヤーカフスを置く。
「この指輪があれば遠方にすぐ行けるし、このイヤーカフスがあれば遠方の人とのテレパシー通話が可能だ。イヤーカフスの方はすでにメラル君に活用してもらってる」
「姉から念話グッズのことは聞いてましたが、転移のグッズまであったのですね」
「バーモ君、これがあれば、大幅に店回りが楽になるよ」
「ありがとうございます」
「さきほど、ライサ君にも話したが、これらのアイテムの存在は隠匿しておいてくれ」
「かしこまりました」
「国内の支店計画は以上だな。メラル君、海外の方はどうなっている?」
「二カ国で土地を押さえました」
「さすが、仕事が早いな」
「会長が子女を救出した貴族の協力がありましたので、スムーズに運びました」
「地図をくれるかな」
「こちらになります」
「ええと、どこの国かな?」
「隣国のバナン王国とハロル王国です。ウラバダ王国は政情が不安定のため候補から外しました」
「当然だし、賢明な判断だ。あそこの国は国王が暴走しており、亜人差別がますます激しくなっている。一切関わらない方がいい」
「了解しました」
会議の後、早速、【転移】スキルを使って、四人で国内、国外の出店予定地を見て回った。メラルが選んだだけあって申し分ない土地ばかりだ。この後、他の三人と別れ、出店予定地に店舗を【複写】スキルで作って回った。島の店舗を商品ごと【複写】したので、商品の手配も済んでしまった。
この【複写】スキルもチートだが、オリジナルの素材情報を取り入れ、収納内の素材を原料に、好きな場所で、実体として取り出せる。コピー機で言えば紙情報をスキャンし、収納している現物の紙とインクを使い、後からコピーを排出するのとまったく同じ原理だ。このスキルの凄いところは、それを人間がやってしまうこと。
これでギルフォード商会は王都本店、東西南北四大店舗、その他十箇所、国外二箇所となった。店舗統括、人材手配はメラル、その補佐にバーモ、商品開発はライサにまかせよう。
※隣国位置概略※
【北】
ウラバダ王国
【西】 ハロル王国 ロナンダル王国 (海) ギルフォード島 【東】
バナン王国
【南】
※補足※
ロナンダル王国は大陸の一カ国です。
ロナンダル王国の東端にギース領があります。
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