第54話 ウラバダ国王の暴走
「この眼鏡、凄いです!」
避難民の入島審査を加速させるため、イレーネにも鑑定スキルが付与されるめがねを与えた。これで審査員は、アレス、ミア、リミア、イレーネの四人となった。本当はテネシアにも来てもらいたいが、避難民が一時待機してる兵舎の対応を外すことはできない。
鑑定スキルに慣れてきて、問題なければ最短で一人あたり一分で終わるようになった。待ち時間に質問事項を全て記入してもらい、「この内容で間違いありませんか? 【鑑定】!」で終わる。しかし字が書けなければ、急いでも二十分ぐらいかかってしまう。それでも通常と比べれば驚異的なスピードだ。本当に鑑定スキル様様だ。このペースで行くと二千人ぐらいはいけそうだな。島の入居受入れ準備はインカム内政官に一任してるし、運搬船は【転写】により、元の五隻から十隻に増やした。そのうち五隻が島と往復ピストンフル稼働中だ。
「えっ! 公開処刑ですか!!」
イレーネが大声をだす。先ほど審査を終えた入国希望者によると、ウラバダ王国で不穏な動きがあり、国外逃亡を図った亜人を一か所に集めていて、見せしめで公開処刑するのだという。普通はこんな話が出るのがおかしいが、亜人へ恐怖をあおるため、衛兵達が意図的に流言してるとのこと。先日、行政大臣が亜人対応の責任を取って処刑され、この話に現実味が帯びたらしい。
「不味いなぁ……」
――――
――――――
島に戻り、内政官のインカムに公開処刑の件を相談する。
「今までと感じが違いますねぇ……」
インカムが神妙な顔つきになる。
「これまで亜人をどんなに迫害し、傷つけても、殺すことまでしませんでした。それは貴重な労働力を失うからです」
「王が冷静さを失ってると?」
「何かタガが外れたのかもしれません……」
「……なんとか救ってあげたいな」
「どうされますか?」
「向こうの国に行って、施設ごと転移できればいいんだけどな」
「いくつか場所の心当たりはあります」
「数日中に避難民に施設の場所の心当たりを聞いておいてくれ」
「分かりました」
「悪いけど、その時はまた一緒に来てほしい」
「分かりました」
――――
――――――
<ギースの領主邸・執務室>
夜、一人で救出策を思案中。
「施設の場所さえ、分かれば簡単なんだけどな。新設された場所だと厄介だ」
「もし場所が不明なら、あちこち探さないといけないな」
「そうなると衛兵に見つかってしまうな」
「どうしたら見つからないで探せるか……」
「そうだ! 透明になればいいんだよ」
「透明になって隠蔽するから、隠蔽でいいかな」
「透明だと視覚だけだから、その他の情報が隠れない。臭い、足音、息、気配とか」
「よし、隠蔽に決めた」
「全ての情報を回りから隠蔽するスキル、隠蔽を【創造】!」
これで自分は【隠蔽】スキルを手に入れた。あとは同行するインカム用にグッズを【創造】してと、手軽な指輪にするか。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。




