第51話 魔法アイテム
【創造】スキルを手に入れてから、本当に必要な物について思案していたが、遠方の人とすぐ連絡が取りたいことに気づいた。あちこちに拠点があるから当然だが、【転移】でカバーできていたため、少し盲点だった。気づいたきっかけは森の温泉に行った時だ。そう言えば、森の奥地の主はテレパシー(念話)を使うなぁと。
「テレパシーだから、耳の近く、耳飾りがいいかな」
「穴をあけたくないからイヤーカフス」
「小さい金製にしょう」
よし、やるか。
「金製のイヤーカフス、十個、所持してる者同士で、テレパシーで会話できる、会話する際は最初に相手を特定する、必要な場合、自分の姿もしくは視覚情報も送れる」
「【創造】!」
金製の十個のイヤーカフスが現れた。よし!
その後、前回同様、島の領主邸にテネシア、イレーネ、ミアを呼んで、取扱いを説明の上、渡した。この念話グッズは後でリミアにも渡そう。必要に応じ、映像も送れるようにした。さて、一番渡さないといけない人へ。
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――――――
<王都・商会本館・会長室>
メラル統括本部長と談話中
「メラル君のお陰で島のお店がうまくいってるよ」
「ありがとうございます」
「ライサ支店長はよくやってくれてるね。いい人選だ」
「お褒め頂き、ありがとうございます」
「ところで、今日は君に渡したいものがあるんだ」
「何でしょうか?」
金製のイヤーカフスを見せる。
「これはイヤーカフスでしょうか?」
「ただのイヤーカフスではない。魔法アイテムなんだ」
「どんなものでしょう?」
「これを耳にはめると遠方の人とテレパシーで話せるんだ。試しにつけてみて」
「はい、これでいいでしょうか」
「少し離れて。テレパシーを送るね」
「!! 頭に直接、会長の声が聞こえました!」
「こういうこともできるよ」
「! 頭に、私の姿が!」
「それは僕の視覚情報、こんどはどう」
「今度は会長の姿が映ってます」
「心の声だけでなく、必要な場合、視覚情報か自分の姿も送れるんだ」
「……これは凄いです」
「これがあれば、距離があっても、瞬時に連絡が取れる」
「これがあれば会長へすぐ連絡が取れますね」
「何かあったら、いつでも連絡を頂戴」
「……万一、これを販売したら凄いことになるでしょうね……」
「この世界には一般的にありえない物だからな……他言無用で頼む」
「了解しました」
この後、メラルと念話の練習をしてから、王都の伯爵邸で一晩明かした。
翌朝、朝食を取り、島に帰ろうとしたところ。
(会長、今、大丈夫でしょうか?)
なんとメラルから念話が来た。
(大丈夫だ、どうした?)
(実はウラバダ王国の関係者が武器を売れと、押しかけてます)
(……護衛はいるのか?)
(それが二十人ぐらいで押しかけてきて、多勢に無勢です)
(場所は?)
(本店正面で店員ともみ合っています)
(……すぐ行く)
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――――――
「何で商品を売ってくれないんだ!」
「いつまでも大人しくないぞ!」
「店を荒らしてもいいのか!」
会長室に転移して急いで本店前に来たが、明らかに素行の悪そうな連中だな。
しかもこんな大人数で。嫌がらせか。さて、懲らしめてやるか。
「皆様、落ち着いて下さい。私が店の代表になります。どうされたのでしょうか?」
「あんたが代表か? この店は商品を売らないが、どうなってるんだ?」
「それは失礼しました。何がご希望でしょうか?」
「武器だ」
「それなら、丁度、良い商品が来ております。ご迷惑したお詫びに倉庫にある一級品をご案内します。こちらにどうぞ……」
商会本店の倉庫の中へ行く。ここなら大丈夫だろう。
「全員を【収納】!!」
はい、終わり。その後、メラルら店員達に労いの言葉をかけたが、まさか、王都の本店に朝一に多人数で押しかけるとは想定外だったとのこと。それだけウラバダ王国は余裕がないってことだな。今回は王都で王家御用達商会の襲撃だし、王城に報告しとくか。
<王城・執務室>
事前約束は無かったけど、緊急報告と言ったら、ザイス筆頭大臣が面会してくれる。やはり王家御用達商会、伯爵の称号は伊達じゃないね。
「商会が外国勢力に襲撃されたとか?」
「はい、ウラバダ王国の関係者が多人数で、武器を売れと押しかけてきました」
「人数は?」
「二十人です」
「それは看過できないですな。賊はどうされましたか?」
「全員、生け捕りにしてますが、外国勢力ですし、厳しく尋問されるのが宜しいかと」
「どこにいるのかな?」
「商会の倉庫です」
「今すぐ衛兵を送ろう」
「……すみません。重要物資の倉庫のため、私しか入れないのです」
「……それなら、どうしたら」
「私が今から商会に戻り、引き渡しの準備をしますから、衛兵は商会本店前でお願いします」
「分かりました」
<商会・本店倉庫>
このまま出したら、暴れそうだな。相手が眠っていてくれれば……
そうだ! 眠らせるスキルを【創造】しよう。
「相手を眠らせるスキル「スリープ」を【創造】!」
よし、やるか。「【取出し】!」「【スリープ】!」
本店の前に衛兵が三十人も来てる。さて渡すか。
「ご苦労様、賊はこちらです」
「……全員、気を失ってますね」
「はは、少々体術の心得がありまして……」
賊が全員、運ばれていく。何とかうまく誤魔化せた。良かった。しかし【創造】はスキルまで創造できてしまうんだな。
何度か【創造】を試して分かったこと。それは本当に必要なものしか創造できない。物の場合は大きさに制限があるようだ。スキルも創造できる。ただし、創造は具体的に想像できるものでないとダメ。それと生き物もダメ。たぶん自分の中で制限がかかっているのだろう。このスキルは集中力や強いイメージが必要で、後からどっと疲労が出る。連発は無理。
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