第47話 種族地域会議
先日、島でお店を開き、貨幣経済を導入して、住民から問い合わせが増えてきており、丁度いい機会だから、種族と地域の代表者に集まってもらい会議をすることとなった。いつも六人の代表だけで会議をしていたが、もっと他の人の意見を聞きたかったのだ。
種族は主に、人、エルフ、ドワーフ、獣人、竜人、鬼人だが、それぞれの代表はアレス(人)、イレーネ(エルフ)、インカム(ドワーフ)、ビンテス(獣人)、テネシア(竜人)、レッド(鬼人)だが、象徴的な意味合いが大きく、相談役・ご意見番と言ったところだろう。
内政上、実際に機能するのは地域代表だ。地域は住民が居住するエリアをブロックごとに分け、そこから一名となっている。海の港側、海の砂浜側、行政中心地、平野部、周辺部、山の近く、山に少し入った地区、等様々だ。実際は種族と地域の代表が重なることもあるが、重ならない場合やレア種族も含まれるので、取りこぼしの無い地域代表の方が実際の現場では活躍しているのだ。
補足すると、重役六人のうち、地域代表も兼任しているのはインカム、ビンテスだ。テネシア、イレーネ、レッドは種族代表に難色を示していたが、象徴的存在というので、名目上の肩書で引き受けた。レッドは防衛隊から僕が預かって以降、性格改善したのが評価された。
人口比率で見ると、獣人が一番多く、その後に、エルフ、ドワーフ、竜人、鬼人、人と続く。最大人口の獣人は、さらに、猫獣人、犬獣人、狼獣人、狐獣人、兎獣人、等と多彩だ。その中でもレアなのは蛇人だろうか。厳密に言うと獣人区分は微妙だが、レアなため獣人枠に入れてる。彼らは下半身が蛇で、野生色が強く、森の近くで居住している。
レアと言えば、この島では人が一番少なく、僕、ミア、リミア、ライサの四人しかいない。しかも四人ともギースと島の二拠点生活者だ。本音で言えばもっと人間に増えてほしい。
「先日、金貨を頂きましたが、使わないといけないのですか?」
猫獣人の女性から質問が来た。これが一番多い問い合わせだ。議長を務めている自分が答える。
「無理に使わなくて結構だ。その場合は大切に貯金して下さい。必要な時に役に立ちます」
「現在、自給自足で足りてます。必要な時って何ですか?」
今度は犬獣人の男性から質問が来た。
「基本的な衣食住は島内で不自由ないと思うが、お店では島で入手できない物を集めているので、それらが欲しくなった時だね。それと将来、島から出る場合かな」
「お店で買わない人、島から出ない人はお金を使う機会がなさそうですね」
今度はエルフの女性から質問だ。
「いい質問だ。現在、島の経済は物々交換が基本だよね。海、山、畑で取った肉、野菜等の余剰分を交換しているし、狩りや畑仕事をしない方は衣服、雑貨、小物を作って食べ物と交換している。物と物でもいいんだけど、食べ物は腐るし、重い。貨幣が浸透すれば楽に買い物できるようになるだろう」
「お金の優位性について詳しくお願いします」
今度はドワーフの男性から質問だ。
ってインカム内政官かい! 君にも説明しただろ。
「食べ物は腐るが、お金は腐らない。いつでも好きな時に使える。それと、物はかさばり、重いが、お金は小さく軽いから、持ち運びに便利。それとお店の珍しい物が買える」
「将来は物々交換から貨幣経済に完全に移行するんですか?」
今度はビンテスだ。君ら調子に乗ってる?
「いや、基本、今の物々交換で馴染んでるし、無理に移行するつもりはない。ただ完全に物々交換だけだと、生活が限定されてしまうし、多少、貨幣経済を入れれば、選択肢が増えて、生活に広がりが出るだろう。まあ、将来的には物々交換八割、貨幣経済二割ぐらいでイメージしてる。皆さんが貨幣は便利だと思えば取引は増えるだろうし、そうでなければ減るだろう」
とまあ、こんな感じで、住民と話し合ったが、率直な意見が聞けて良かった。折角みんな揃っているから、例の件を話すか。
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