第34話 子爵位の叙爵
<王城・謁見の間>
本日、子爵位を頂くことになり、王の前で拝礼中、これから筆頭大臣が目録を読み上げてるところ。
「ギルフォード卿、貴殿は以下の功績をあげて……」
功績として、海賊退治、各国貴族子女の救済、そして商会による優秀な武器の提供が述べられた。海賊は聞いていたけど、武器って、そこまで評価されていたのか……
「……以上の功績を称えて、以下の授与をする。一、子爵位への陞爵、ニ、ギルフォード商会を王家御用達商会として指定、三、ギース領の領地授与、以上である」
王家御用達商会の指定は素直にうれしいな。ギース領は支店のある港町があるところか。王からお褒めの言葉も頂き、手続きのため、執務室へ移る。しかし今回は貴族の参加がやけに多いな。ちまたでは海賊を退治した英雄の噂が広がっていて、興味本位で顔を見に来たのだろう。
執務室に入ると、前回同様、メリッサ王女とザイス筆頭大臣がいた。
するとメリッサ王女が歩み寄り
「ギルフォード子爵の海賊退治の噂が広がっておりますよ」
「恐縮です」
「どのように退治なさったのですか?」
「はい、護衛二人と船旅に出たところ、たまたま海賊船に出くわしてしまい、必死に剣で応戦しました」
「まあ、剣がお得意なのですね」
「……私より護衛のお陰です」
後方に立つテネシアとイレーネに視線を送ると、王女も二人を柔らかな表情で見た。
「それと、海賊が船に乗ろうとしたところ、不意をついて落としました。運が良かったのでしょう。はは」
「……噂ではギルフォード子爵が不思議な技を使ったとか」
「……(情報が流れてるなぁ、それなら、しかたない)あっ、はい、あまり公にしたくないのですが、私は少し魔法を使えまして……」
「まあ!どんな魔法なのかしら、詳しく知りたいわ!」
魔法という言葉に王女が食いついてきた。どうしようか……
「ゴホン」
ザイス筆頭大臣がわざとらしく咳払いをする。ナイスタイミングだ。
「メリッサ王女様、お気持ちは分かりますが、お手続きがございます」
「まあ、やだ、私ったら、後で聞かせて下さいまし」
子爵位への陞爵は前回同様、証明する金属製のアイテムを頂いた。王家御用達商会については商会の方に看板が持ち込まれるみたいだ。ギースは王国の東端にある領地で、海に面する港湾都市で漁業、海運で経済もうまく回ってるらしい。商会の支店もあるし、良さそうだ。何より海と船はいい。でも、こんないい場所を頂いて本当にいいのだろうか?
「実はギルフォード子爵、ギースには暗部もあります。海運で栄えてるのはいいのですが、今までの領主が怠慢で悪い者がかなり出入りしているとの報告が上がっています」
「悪い者ですか」
「ええ、まだ全容はつかめていませんが、非合法組織が暗躍しているようです」
「まさか、この前の海賊による襲撃も!」
「現時点でははっきり言えませんが、港の誰かが海賊とつながってる可能性も否定できないかと」
「それと裏道に入ると治安が悪いです」
そう言えばこの前も絡んだ輩がいたな……
「そういうわけで、海賊を退治したギルフォード子爵へのギース住民の期待が高くなっていたのです」
「……なるほど分かりました。港町の浄化が任務ということですね」
「その通りです」
「……一つお伺いしたいのですが」
「どうぞ」
「悪党がいた場合、子爵の権限で罰してかまわないでしょうか?」
「平民ならかまいません。貴族の場合は王都で裁きますので、こちらへお引渡し下さい」
「ということは貴族でなければ、海賊、暴漢、非合法組織は私の判断で罰してかまわないということですね」
「その通りです」
これはやりやすい。いろいろできるなぁ。面白そうだ。
「この港町に冒険者ギルドはありますか」
「ございます」
「ギルドも海賊退治の仕事を受けてますかね」
「港町だから賞金首の依頼を出してるかもしれません」
よしよし、ギースに行ったら冒険者ギルドに顔を出すか。
「それと王家御用達商会に指定されましたので、今後、武器等は直接王家に納めて頂きます。他国への武器の販売は禁止となりますので十分ご注意下さい」
他国への武器販売は禁止か……メラルに言わないとな。
「現在、他国から出店の要望が来ておりますが、武器以外なら大丈夫ですか?」
「武器以外なら大丈夫です。それと我が国は奴隷売買を禁止してますので、注意して下さい」
「わかりました。奴隷はもとより扱っておりません」
奴隷は亜人達のいた国であったな。外国との取引は注意しなくては。
手続きは順調に終わり、ザイス筆頭大臣が去った後、メリッサ王女に海賊退治のことをいろいろ聞かれたが、相手を無力化する魔法ということで、ぼかした。テレビや漫画もないし、こちらの世界の人はこういう武勇伝が好きなんだろうな。
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