第33話 ウラバダ王国の混乱
「いったい、どうなっているのだ!!」
ここはロナンダル王国の北側隣にあるウラバダ王国。ここ最近、異常事態が立て続けに発生したのだが、今日も国王の怒声が鳴りやまない。それを受ける行政大臣も苦虫をかみ潰したような顔をしている。
「なんで、隔離病棟が消えた! なんで、刑務所が消えた! なんで、鉱山の奴隷施設が消えた! なんで、戦闘奴隷の施設が消えるんだ――!!」
「……原因はまったく不明です。何しろ施設ごと消えておりますので、証拠も一切ありません……」
「いったい、どういうことだ!!」
「……何か大きな力が働いたとしか言えませんが、すべての施設に共通点がありました」
「なんだ!」
「それは亜人を隔離していたということです」
「何者かが亜人どもをさらったと言うのか?」
「……何とも言えませんが、結果的にはそう見えます」
「とにかく、亜人どもの管理をもっと徹底しろ! 分かったな!」
「……かしこまりました」
――――
――――――
「はぁ――……」
行政大臣ハネルは執務室へ戻ると深いため息を吐いた。ここには元々、亜人の国があったが、現在の野心的な王ゴランが武力で侵略した。侵略後は徹底した亜人差別、亜人排斥をしてきたが、それにより亜人の流出が続き、最近になって流出を止めるため、隔離するようしてきたのだ。
「今回の事態で隔離した亜人の大部分がいなくなってしまった……」
この国は亜人の労働力と兵力に依存してきた。労働予備分の囚人までいなくなったので、相当な痛手だ。またドワーフの高度な職人技が途絶え、エルフの知識面のサポートも消えた。
「大きく国力が低下するのは避けられないな……」
ウラバダ王国は軍事だけで成り上がった国である。その屋台骨が揺らいでいる。武器を作るには原料の鉄鉱石が必要だが、鉱山奴隷がいなくなり、採掘が停止。剣を作るには職人が必要だが、ドワーフもいなくなった。おまけに一番危険な前線で戦うはずだった戦闘奴隷すらいない。武力国家で武器がなくなったら終わりである。
「至急、武器の調達先を確保しなければ!」
行政大臣ハネルは武器の調達先を探すことを急いだ。本来はもっと根本的な政策の見直しが必要なはすだろうが、日常的にゴラン王に怒鳴られ続け、先の細かい判断ができなくなっていた。
「とにかく目の前のことだけやろう。どうせ考えても、あの王はいつも感情的で、きちんと聞くことはないだろうし……」
行政大臣ハネルの憂鬱な日はずっと続いている。
「この苦しい状況がいつか終わる日は来るのだろうか……」
生気の無い目でそう呟くのだった。
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