第31話 島の内政
亜人達を島に受け入れてから、一か月ほど経過し、住民名簿の作成、居住場所の手配がおおむね完了した。受け入れがスムーズにいったのはインカムを始め先に移住した住民が熱心に説明してくれたからだ。それと以前の環境が酷過ぎたため、島の生活が天国のように感じられたからだろう。
食料については、当面は商会からの物資で調達するが、畑も海もあるから、住民同士で分担して農業、漁業をするよう推奨した。それと獣人達は狩猟が得意のため、森に入っての狩猟を認めたが、森の奥の境界線だけは絶対に入らないよう伝えた。近いうちに進入禁止の壁でも作ろう。
住民が一気に増えたので、毎日、代表者が集まって会議をしている。コミュニケーションは大切だからね。
<島の館・会議室>
出席者はアレス、テネシア、イレーネ、ミア、インカム、ビンテスの六人だ。この内、後から加わったビンテスは元戦闘奴隷で、狼獣人の男性だ。救出に恩義を感じ、島に貢献したいということで、会議メンバーに加わった。島の警備、防衛に力を貸してくれそうだ。
「この島の代表者はアレス様でいいですよね」
開口一番、インカムが告げ、皆、当然だという顔をしている。これについては多くを述べまい。乗りかかった船というより、すでに船にしっかり乗っている状態なので了承するしかない。
「自分でかまわないが、念のため、採決を採ってくれ」
全員の手がサッとあがる。島の代表は自分で決定だ。次に。
「みんなの役割分担をしようか」
これもみんな賛成。そして役割の具体的な話し合いになるが、島の人口が三千人を超えたので、内政と防衛の整備が欠かせなくなっており、内政をインカム、防衛をビンテスに任せることにした。インカムは情報通で各種族に話ができるし、ビンテスは実際の戦闘で亜人を取りまとめた経験が豊富だ。
「ミア様には島のみんなの健康を守って頂きたい」
インカムとビンテスからミアを押す声が聞かれた。ミアは人間だが亜人救出の際、フル稼働で回復魔法を使い続けた。命を救われた人も多く、「島の聖女」と言われるまでになっていた。実際、ミアの「エリアヒール」「ハイヒール」の威力は凄まじく、救出後に亡くなったものはいない。「聖女」と言われても過分な評価ではないだろう。
「それではミアを島の健康分野の責任者にしよう」
僕がそう告げると、ミアは責任の重さ、負担の集中で少し躊躇したが、薬草の採取、薬草畑の開墾、回復薬の製造に住民も全面的に協力する旨を伝えると快諾してくれた。特に回復薬の製造は回復魔法の代替になるので、絶対に必要だ。
「……テネシア様、イレーネ様はいかがなさいますか?」
インカムから遠慮がちに声がかかる。この二人は僕の側近兼護衛だし、これからも同じだろう。
「私は主の近くを離れない」
「私も同じです。アレス様に付いていきます」
予想通りの返事だ。まあ、今まで通り側近兼護衛でいいんだけど、今後、何か負担にならない役割を持たせてもいいかな。
「テネシアとイレーネは今まで通り、僕の側近兼護衛を頼む」
「分かった」「了解しました」
現在、この島はほとんどが亜人であり、亜人達と役割分担して仲良く暮らすことが重要だろう。みんな傷ついてきてるので、親身になって寄り添うよう努めたい。
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