第24話 船で旅行しよう
港町の新店舗に行ってから、すっかり海に魅了されたようだ。
「山もいいけど、海もいいよな……」
「主、最近それが多いな」
「確かに海はいいですけどね」
船旅をするなら、まとまった休みが必要だな。幸い商売は安定してるし、店長たちはよくやってるし、自分の主たる仕事は商品の生産だけだ。以前より相当、スキルも向上したし、まとめて大量に作り置きしておけば、休めるんじゃないか?
よし決めた! 今日は大量に生産しよう。素材も大量にあるから、どんどん使ってしまおう。それと店長達に倉庫の拡張をお願いしておこう。
それから馬車馬のように生産しまくった。
「【加工】【加工】【加工】【加工】【加工】!」
「【複写】【複写】【複写】【複写】【複写】!」
この間、【複写】スキルがレベルアップした。
【複写】レベル2(物以外も複写可能)→【複写】レベル3(大量複写可能)
これにより予想以上に短時間で完了してしまった。大量複写は一回で最大千個に複写可能だ。これもチート過ぎるスキルだ。混乱を招かないよう、乱用は控えた方が良さそうだな。
その後、商会本店で打ち合わせし、一年先の仕事まで完了した。後は製品の保管をよろしく頼んだ。連絡手段としては【転移】で本店に飛び、三日に一回程度、メラルから報告を受けることとした。そのためメラルにだけは転移魔法のことを知らせた。もっと驚かれると思ったが意外にも納得していたな。以前から「会長は規格外ですから」と感じていたとのこと。まあ、この世界、一応、魔法という概念は一般に浸透してるからな。
合わせて男爵邸の執事バイアスにも、しばらく旅行にいく旨と用件は商会のメラルあてにするよう指示した。
<港町・船着き場>
「さて、今日から船旅だ!」
「いよいよだな」
「楽しみですね」
商会の一年分の仕事をすませ、いよいよ船旅だ。あらかじめ言っておくが今回の旅行に明確な行先はない。自分にとって元々この世界すべてが初めての経験なので、どんな経験でも貴重なのだ。唯一、山の館周辺に住み着いたユニコーンが少し気がかりだが、もともと野生の存在だし、好きに生きるだろう。それとお世話になったメリッサ王女とイムルさんには手紙を書いておいた。さあ、出発だ!
「おお、船が動いた!」
「結構、揺れますね!」
テネシア、イレーネも船旅は初めてとあって少し興奮気味だ。この船は乗客以外にも大量の貨物を積んでいたので、貿易船でもあるんだろう。
――――
――――――
数日、船旅が続くと、海の景色にも飽きてきた。テネシア、イレーネも暇なのか、甲板で剣の稽古をしだした。自分もやることなく海を眺めていたら、海鳥が近づいてきた。
「【収納】!」
海鳥が消えた。
今度は「【取出し】!」
海鳥が思わぬ場所で現れて、驚いている。
「ははは、アレを試しにやってみるか」
今度は海に向かって「【収納】!」
海の水を大量に取り込んだが、見た目はまったく変わらない。
「【収納】【収納】【収納】【収納】【収納】!」
連発しても同じ。
「ふふ、当たり前か」
結構、いろんな物を収納してるから、そのうち出さないとな……
◇ ◇ ◇
しばらくすると船内が慌ただしくなってきた。
「どうしたんだろう?」
近くの船員に聞くととんでもない答えが返ってきた。
「か、海賊だ!!」
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