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第194話 ヒアリング調査

 僕の富国強兵策である鉱山開発は順調に滑り出し、王軍準備は密かに進行中だ。直属の部下である大臣達、近衛兵、衛兵の隊長らも【鑑定】で見て、現時点・・・では問題なかった。


「王城の中枢メンバーは現時点・・・では大丈夫だな」


中央の憂いがなくなったので、今度は地方、郊外に目を配ることにしよう。


「この姿のまま、出歩くわけにもいかないだろうし……姿を変えてみるか」


昔、どこかの街角であった他人を思い浮かべて。


「【変身】!」


よし、成功した。これで、外を自由に出歩ける。


 ちなみに変身した姿はごく一般の成人男性。今回はあちこちを視察し、町の声を聞くのが、目的なので、目立たない方がいい。


~~王都~~


王都は相変わらず、賑わっているな。人の往来も多く。治安もいい。


さて会話を聞こう。(僕は最初に話題を振るだけ)


「新しい王様をどう思う?」

「新しい王様になってから、王都がいっそう発展してきたな」

「鉱山開発に成功したらしいぞ」

「へえ、本当かい?」

「シバ領という辺境らしいが、今じゃ人も増えたようだ」

「さすが、ギルフォード王はやり手だな」

「あの方は英雄だからな」


通行人も明るい表情だ。ここは大丈夫だな。


~~ある王領~~


ここは僕の領地だけど、どんな様子かな。


「王領になって、どうですか?」

「王領になってから、生活が楽になったわ」

「前の貴族の時は徴税が高かったからね」

「ギルフォード王はもと平民だから、平民の気持ちがわかるのよ」

「本当にあの方が王様になって良かった」


ここも大丈夫だな。


~~ある王領~~


ここもある王領


「新しい王様はどうですか?」

「新しい王様になってから、町が綺麗になりましたね」

「道路や建物が整備されて、いいですね」

「スラムもなくなったし、王領になって良かったよ」

「他の貴族の領地はどうなんだろうね?」

「さあ?あまりいい話を聞かないけどね」


ここも大丈夫だろうけど、他の貴族領か……そちらも調べる必要がありそうだな。


 その後、数日かけ、【転移】しながら、百か所ぐらいで、変身した姿で聞き取り調査した。場所は広場、飲食店、酒場等、人が集まりそうなところだ。王都、王領では、おおむね、皆の表情は明るく、現在の王政へ賛同の声が多かった。良かった。良かった。こういうのは直接のヒアリングが間違いないからね。テレビも電話もないこの世界では、口コミの影響は想像以上に大きいと実感している。だいたい城で偉そうにふんぞり返って、一般民衆の声を無視するようなら、その治世は長く続かないだろう。さて、今日はここで帰るか。


――――

――――――


 連日、空いた時間で、町の聞き込み調査をしていたら、王城に思わぬ来客があった。


「ギゼット子爵が謁見を求めています」


 ギゼット子爵……そう言えば、大公城にいた時、隣の領地ということで、たまに挨拶に来てたな。最初は少し警戒したけど、その後も、何か、頼み事をするでもなく、節目節目で挨拶に訪れるし、今では良い印象を持っている。


「よし、謁見しよう」


謁見の間に行くと、ギゼット子爵が拝礼していた。


「おお、これはギゼット子爵、今日は何用だろうか?」

「陛下、少し地域情勢の報告と思いまして……」


地域情勢?何だろう。領地のことだろうか?まあいいや。


「わかった。応接で話そう」


応接の間でソファに腰掛けると、ギゼット子爵が、顔を近寄せて来る。


「陛下、実は、内密のご報告がございます」(小声)

「どのようなことかな?」

「はい、実は私の領地にある貴族から連絡があり、お話を聞いたところ、陛下の治世を悪く言うものでしたので、お引き取り願ったのですが、その後もしつこく言い寄って来ましたので、困っていました」(小声)

「私の治世を悪く言う?」

「はい、陛下に領地を奪われたとか」(小声)

「その貴族は誰かな?」

「ギゼル領のベイス子爵です」(超小声)

「……まったく知らんなぁ」

「なんでも、以前、ギース領の領主だったらしいです」(小声)


 ああ!放漫経営で領内の運営を悪化させて、引き継ぎもまったくしないで、逃げた貴族か。完全に逆恨みだな。


「以前のギース領はその貴族のせいで、酷い有様だった。完全に逆恨みだな」

「私もそう思います。なので相手にしませんでした」


そうか……僕が順調に領地運営していた陰で、そういうことがあったんだな……


「情報提供、感謝する。ギゼット子爵、また何かあったら教えて欲しい」


 さてさて、どうしよう?以前の僕だったら、このまま捕まえて、成敗するところだけど、こういう輩は勝手に動くだろうから、もう少し泳がせておこうか。ただ動きは細かく把握しておきたいし……


そうだ、前から考えていた。アレをやるか。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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