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第171話 外遊 ※各国位置概略付き

 悪徳貴族、闇商人を徹底的に排除したことにより、王国内の政情が安定してきた。「そろそろどこかへ外遊したいなぁ」と考えていた頃。ミアと話していたら、「元居た国には珍しい薬草がありまして、取りに行く機会を窺っていました」と言われ、元居た国の名前を聞いたら、チルザーレ王国と教えてくれた。以前はとても聞ける雰囲気ではなかったが、それだけ気持ちが切り替わったということだろう。チルザーレ王国と言えば、以前、国を救ったこともあり、それ以来、王家との関係は良好だ。


 それにチルザーレ王国は、テネシア、イレーネの故郷の里もあるらしい。一度、彼女達に帰郷させるのもいいだろう。それと、息子ライナスは五才、娘ミローネは二才になったので、外の環境を見せてやりたい。


 そうと決まれば、準備は早い。今回は僕、メリッサ、ライナス、ミローネの家族四人に、テネシア、イレーネ、ミアの側近を伴い、その他、使用人、護衛を付けるが、メヌールら公国の要人護衛隊も多めに参加させよう。


 王城前で馬車が揃い、テネシア率いる衛兵隊、イレーネ率いる近衛兵隊の選抜隊が周囲を固める。それに公国から招集したメヌール率いる要人護衛隊が前後の馬車に乗り、いつでも降りて戦闘できる体制だ。ここまで守備を固めれば大丈夫だろう。


「王都内の守りは衛兵隊、近衛兵隊、それぞれの副官に任せた。さあ、出発だ!」


 ルートはエルスラ共和国を縦断して、チルザーレ王国に陸路で向かう。王国内では僕の領地であるベアル領、サイラス領を通っていく。


ベアル領を通ると


「わあ、凄い畑ですね!父上」


と息子ライナスが声を上げた。


 僕達の馬車には家族四人が乗っているが、僕の隣にライナス。前に妻メリッサと娘ミローネが座っている。小さい子供がいるので、メイドを一人同伴させている。


「ここは父上の領地なのですか?」

「そうだよ、ライナス。ここは国内で最も豊かな領地で、最大の穀倉地帯でもあるんだ」

「こんな広い領地なんて、凄いです」

「いずれはお前が引き継ぐことになるんだよ」


こんな感じでライナスと話していると、ミローネが外の様子に興味を示した。


「あなた、この子も外に興味があるみたいですよ」

「そうか、こんなに広い光景は初めてだろうしな」


子供達が外の世界に興味を持ってくれて、連れてきた甲斐がある。


 外を見るとテネシア、イレーネが兵を指揮し、警戒を怠らない。後ろの馬車には、ミアが乗っているが、三人とも久々の故郷を楽しみにしてることだろう。今回はまったく急ぐ必要はないので、ゆっくりしていってほしい。


 途中、北の辺境サイラス領を通り、夕暮れ前に国境を越え、エルスラ共和国に入った。ロナンダル王国は東西に長いが、南北はそこまで離れていない。それと今回のルートは全部平地なので、馬車が速く移動できるのだ。


 エルスラ共和国に入ると、街道に集まる市民から歓迎の声があがった。実は以前からエルスラ共和国の中央議会から、「総督閣下のご家族をぜひご招待したい!」との意向が出されていて、今回はそれに応えた形でもある。


「父上、ここはエルスラ共和国なのですよね?」

「そうだよ」

「外国でも父上は有名なのですか?」

「昔、この国を助けたことがあってね。それで有名になったんだよ」

「そうなんですか!父上は立派なんですね」


街道の歓声にライナスが興奮すると、メリッサも


「そうよ、父上は大変、立派な方なんですよ」


 と言い、気分を良くした模様だ。それを見た僕も照れと嬉しさでいっぱいになった。


 馬車が中央エリア、サンダ領の僕の屋敷についた頃にはすっかり暗くなっていた。その日は夕飯を食べて、そのまま就寝した。


 次の日はサンダ領、中央エリアを見て回ることとした。ここはエルスラ共和国で一番栄えているところなので、立派な建物も多い。数年前まで大混乱があったことなど、完全に影を潜めている。


街中を少し歩くと、途端に


「総督様!」

「お妃様、よくお越しくださいました!」

「ご家族連れでよくいらっしゃいました!」


と市民の歓声が響く。


 その後、中央議会で議長、議員達と懇談し、改めて歓迎を表明されるとともに、こちらからも感謝を伝えた。ここは居心地が良かったので、数日間滞在する。領主邸は元王族が使用していただけあって豪華なつくりであり、同行した者達も感嘆の声を上げていた。


 エルスラ共和国で熱烈な歓迎を受けた後、少し後ろ髪を引かれる思いで、チルザーレ王国に向かう。実はエルスラ共和国の中心部(旧王都)からチルザーレ王国の王都は直線距離だとかなり近い。昼過ぎには王都に到着した。到着すると国王、自ら出迎えられ、すぐ歓迎の宴が始まった。


 歓迎の宴には、僕は家族の他に側近のテネシア、イレーネ、ミアも参加したが、少しミアがそわそわしていた。そう言えば、昔、この国の貴族に酷い目に合わされたんだっけ。


そう思った矢先、一人の意地の悪そうな表情の貴族がミアに近づく。


「なんでお前がここにいる!」


ああ、こいつか……ミアがこちらを見たので、目で合図した。


「どこから紛れこんだんだ。おい!衛兵!こいつをつまみ出せ!」


ここまでだな。僕が出よう。


「こちらの女性に何かご用かな?」


僕が割って入ると貴族が驚いたが、動じない。


「これは大公様……」

「失礼、今は副王となっています」

「副王?」

「ロナンダル王国で王の次の位です」

「……そうですか」

「こちらは我が国の伯爵で、私と同行してますが、何かご用でしょうか?」

「ええっ!いや、な、なんでもないです」


そのまま去ろうとする男の襟首をつかむ。【身体強化】してるから逃がさない。


「な!何をするんですか!」

「先ほど、貴方は私の同行者に無礼な口をきいた。詫びてもらおうか」

「ぼ、僕を誰だと思っている!」


そのまま首根っこをつかんで、国王の前に連れていく。


「国王、折角の歓迎の場ですが、この者が私の同行者に無礼を言ってきました」

「なんだと!」


国王が怒りの表情で貴族の男を睨みつける。


「私の側近のミアは、元はこちらの国におりましたが、この男の陰謀で国を追放されたのです。できれば名誉回復と陰謀に関わった者の処分をお願いしたいです」


そして僕が促し、ミアが過去の陰謀の件を王の前で明かした。


すると、傍目でも分かるぐらい、王の顔がどんどん紅潮していった。


「そんなことがあったのか……すまん、余の監督不行き届きじゃ。この件はしっかり対処しよう」


 その後、ミアの名誉が回復され、この国で自由に薬草を採取する権利まで認められた。王政は決断から実行まで早いのがいい。特にこの国はそうみたいだな。


 チルザーレ王国の王都で数日過ごした後、同国で森林が多い西側に移動する。こちらがミアのお目当ての薬草採取地なのだが、もっと奥に進むと亜人が多く暮らすエリアになり、その中に竜人の里、エルフの里があるようだ。


 薬草採取地につくとミアはスタッフ達と思い思いに作業を始めた。自然いっぱいで空気の綺麗な場所だな。ここでランチを取ろう。この辺りは人も少ないため、護衛達も休ませて、テネシア、イレーネには里に行くよう伝えた。二人とも里を出たきりで一度も戻ってないようで、多少気まずいのもあるかもしれないが、一度きちんと戻っておけば次回からはいつでも戻れるだろう。


 帰りもエルスラ共和国を通るが、王都のある賑やか場所でなく、西側の自然の多い地区を通る。泊まる場所も豪華な場所を避け、一般の宿泊施設を選んだ。子供達に自然にふれてもらい、一般庶民の感覚も学んでほしいというのも大きかった。移動中、鹿やタヌキを見つけると、子供達が喜んでいた。


途中、テネシア、イレーネから念話が入り、一泊したいとのことだったので、好きなだけゆっくりしなさいと伝えた。二人に羽を伸ばしてもらうことも今回の旅の目的だ。その後、二日ほど長閑な旅が続く。


 しかし、エルスラ共和国をゆっくり移動しながら、ある民家で泊まった後、それは起きた。



※各国位置概略※


              【北】


           チルザーレ王国

                

      ヒルロア王国 エルスラ共和国

       

【西】     ハロル王国 ロナンダル王国    ギルフォード公国 【東】

                

             バナン王国


              【南】


※補足※

大陸は六カ国、島は一カ国(公国)

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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