第168話 北の辺境伯3
北の辺境伯領を自分の領地として組み込んで、数日後、領内の一部の勢力が抗議活動してるという情報が入ってきた。早速、【飛行】【隠蔽】スキルで見に行ってこよう。
人通りの多い街中で、一人の男が大声でまくしたてる。
「今度の領主は悪魔だ!人間ではない!」
「王家を乗っ取り、この領地も乗っ取った!」
「奴は危険だ!みんなで倒そう!」
う~ん、なんだ、これ?聞いてる人は少ないけど、このままってわけにもいかないな。こういう時は周りを見渡すのがセオリーだ。仲間がいるだろう。すると……
「そうだ!あいつは簒奪者だ!反乱を起こすべし!」
「今から乗り込もう!」
こんなので同調する奴がいるのかよ?と思ってたら、同調するのが出てきた。これサクラだよね。しかし、興味本位で足を止める人が出てきたな……悪影響が出る前にやるか。
「この場にいる人、全員【停止】!」
その瞬間、周りの人間が全て停止した。それで、サクッと怪しい連中を【収納】してから
「【停止解除】!」
みんな動きだした。これでとりあえずいいな。あとは捕まえた連中に【精神支配】スキルをかけて情報を出させるとしよう。
「お前の仲間を全員言え。アジトはどこだ?ボスは誰だ?」
その結果、前領主と物資横流しで協力していた悪徳商人が黒幕だと判明。
「さっさと潰しに行くか」
商人のアジトは町の中心部にある大きな商館だった。汚いことしてきただけあって、建物は立派だし、さぞかし貯め込んでるんだろう。【隠蔽】スキルで建物内に入っていく。中も豪華そうな調度品が多いな。さて、奥に行くか。あのでっぷりと太った奴、あれが悪徳商人か?少し様子を見るか。横にお調子者の太鼓持ちみたいなのがいるな。
「領主が代わったせいで、横流し物資が入らなくなった!くそっ!なんとかせねば!」
「それなら領民を扇動して、領主を追い出せばいいんですよ」
「そんなことができるのか?」
「はい、新しい領主といっても、所詮は一人、大勢が反対すれば評判を下げて追い出せます」
「ほほう、お前は賢いのう」
「すでに動いてます」
「分かってると思うが、くれぐれも出所は隠蔽しろよ」
「当然です。領主なんて我らの駒と同じですよ」
「ふはは、世の中、金よ、金!この領地ではわしが絶対の権力者よ!」
この後も聞くに堪えない話を延々と聞いたが、途中でエンドレスの自慢話になったので、二人とも【収納】した。この商店は没収決定。商会のメラルに念話して来てもらおう。
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商会のメラルに来てもらう。
「会長、ここは?」
「ここは新しい僕の領地でサイラス領だ。この店は今日からギルフォード商会に看板変えすることに決定したから、改装の準備を頼むよ」
「……しかし、大きくて立派なお店ですね」
「前の商人が悪徳で稼いだようだ。今後は店主、従業員総入替えで、引き継いでくれ」
「わ、分かりました」
「軍資金もたくさんあるから大丈夫だ」
ザクッ、ドン!
目の前にたくさんの金貨袋を出す。
「……分かりました。支店を開設する手間が省けました」
「まだ悪徳商人の仲間が嫌がらせに来るかもしれないから、テネシアの弟に言って、竜人護衛を増やしてもらおう。僕も何かあったらすぐ飛んでくる」
その後、悪徳商人、従業員、用心棒、仲間を次々に捕らえ、【鑑定】スキルで見定めて、酷いのはシバ領の鉱山送り、そこまで酷くないのはギース領の防衛隊施設送りにした。
しかし、悪党は本当にいい栄養源になるよな。君達の資産は領地運営のため、有効活用させてもらうよ。
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<シバ領の鉱山>
悪徳商人とその太鼓持ちを【取出し】した。
「なっ、ここはどこだ!」
「ひっ、ここは!」
「お前たちを、北の辺境領主と共謀して、隣領から物資を横流しした件で処罰する」
「だっ誰だ。お前は!」
「私は北の辺境伯に就任した新しい領主だ」
「へっ?新しい領主様?」
「よって、処分を言い渡す。お前の資産は全て没収。今後はこの鉱山で労働してもらう」
「ちょ、ちょっと待って下さい!証拠はあるんですか?いくら領主様でも、これは横暴ですよ!」
「証拠か……いいだろう。おい太鼓持ち!こっちを見ろ」
「えっ私ですか?」
「【精神支配】!この商人の悪行をすべて言え!」
「はい、この男は常日頃から詐欺やゆすりで荒稼ぎをしています。多くの人が酷い目に合ってます。特に隣領からの物資横流しでは大儲けしていました」
「おい、お前、な、なんてことを!」
商人の前に横流しに関わった物的資料を突きだす。
「既に横流しの主犯である前領主も処分した。言い逃れできないぞ」
「くくく、くそおおお!!」
すると商人がいきなり立ち上がり
「ふざけんな!俺は認めんぞ。元の場所に戻せ!」
と詰め寄ってきた。愚かだな……
「商人の足元の土、十メートル分、【収納】!」
その瞬間、商人の足元に大穴ができ、落下していった。
ドスン!バキッ!
「ひぇええ、痛いぃ。骨が折れたぁ!た、た、助けてくれ!」
「罪を認めるか?」
「み、み、認める!」
その後、穴からあげて、ヒールをかけてやった。最初から正直に言えば、痛い思いをしなくて済んだのに……
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