あーこさんと
翌日。
シュカさんたちはとりあえず収支プラス100万を目指すことにしたらしい。超VIPにいくにはまずVIPにならないと話にならないというのもある。
ただシュカさん、しろんちゅさんは性格的にギャンブルは向いてないと思っているから厳しい道のりだろう。
私はとりあえずあーこさんとゲームをすることにしていた。
「配信をしているのを見かけまして……。今日はよろしくです」
「よ、よろしく」
あーこさんの装備はなんとフルアーマー。
顔まで鎧ですっぽり隠れている。声を出さないと女性だとわからないくらいにはごつい。インフルエンサーって顔を売りにしているから顔が隠れるフルフェイス型の装備はあまり好ましくないのではないだろうか……。
「じゃ、じゃあいきましょー! この町でギャンブルでもするんですか!?」
「ギャンブルもいいんですけど……。周辺のモンスターのことを知りたいですね」
「お供します!」
「……私の義姉なんですからそんなかしこまらないでも」
「私人見知りするタチでして、初対面に近いとどうもやりづらくて……」
「ですね。一度顔を合わせただけですしまだ知り合い程度ですもんね。これから仲良くなっていきましょう。仲は両行のほうがお互いにとっていいでしょうし」
「そう、だね!」
まぁ、私はもとよりそこまで気にするタチではないからいいが……。
打ち解けるには時間が少しかかりそうではあるな。
「じゃ、いきましょう」
「うん!」
ガンボーシティを抜け郊外。
ガンボーシティの周りには、モンスターもリッチなものが多い。ゴールドラビッツなどの金色の魔物をよく見かける。
金が集まる街には金の魔物も引き寄せられるのだろうか。
「そっちいきました!」
「了解です。看破、急襲」
あくまのスロットという壊れたスロットマシンに魂が宿った魔物の弱点を看破し、急所にナイフを突き刺した。
あくまのスロットはそのまま倒れて消えていく。物すらも魔物になるのか。今まで出会ってきたのは動物系ばかりだからこういう魔物はだいぶ新鮮ではある。
「あ、このスロット7の目で倒れましたね!」
「なんかあるんです?」
「このスロット、倒れた際の目で報酬が変わるんですよ! 7で一列揃ったので……!」
スロットは黄金の宝箱をドロップしたのだった。
なるほど、ここでもギャンブル……。
私は宝箱を開けてみる。
中に入っていたのは不思議な金属だった。鑑定してみると、プラチナ金と呼ばれる希少鉱物らしい。それがインゴットになって積まれている。
これはなかなかいいんじゃないだろうか。これを後でタイタンに渡して武器を新調してもらおう。
「この魔物には上位種もいるらしく、最上位種はオリハルコンっていうものを落とすらしいです」
「オリハルコン……。神が与えた最も硬い金属と呼ばれるものですか。伝説ですね。それはぜひとも欲しいなぁ……。ここら一体に出るんですかね?」
「え、どうだろ……。目撃情報がないんだよね……。図鑑では出るらしいという話ではあるけど……。もしかしたら超低確率かも?」
「そうですか。うーーーーん……。超低確率なそいつにはなかなか出会えなさそうですね。というか、出会っても倒せなさそうですし」
「そうですね……」
超低確率の魔物に出会って倒した際に7の目というのはだいぶギャンブルだ。
おとなしく出現する確率が高いところに行って戦ったほうがいい気がする。そちらのほうがだいぶ効率的だ。
その時だった。
先ほどのあくまのスロットが金色だったのに対し、奥からウキウキで歩いてきたスロットは黒い体色をしていた。
「あ、あれです最上位種の極あくまのスロット……」
「やりましょう」
「は、はい!」
出会えるんかい。




