思い立ったが吉日
二日ほど北海道の自宅に宿泊し、東京の我が家へ帰る。
東京行の飛行機に乗り込み、羽田空港に到着、そこからタクシーを使って自宅へ戻ると。
「あれ、皆さんお揃いでどうしたんですか?」
家の前にシュカさんたちが何度もピンポンを鳴らしていた。
喜谷さんも一緒であり、どこかに電話しようとしていたらしい。私はスマホを見てみると不在着信が何件も来ていた。
帰省中はスマホを一切触らなかったし見てなかったから気づかなかったな。
「あ、あれ? 夢見? なんで?」
「今帰ってきたばかりですが」
「……どこかにいってたのか?」
「北海道に」
そういうと、4人は安心したのか一気に緊張感が溶けていた。
「イベント午後からログインしないし心配してたんだよ!?」
「前みたいに倒れたんじゃないかって思ってきたんだが」
「ふふ、俺様は信じて居たぞ貴様を」
「私も連絡を受けてきてみたが……。北海道へ行っていたのか。取材旅行か?」
「あー、いえ。母が倒れたと電話が入りまして。さすがに母が倒れたとなっちゃイベント参加している暇はないですからね」
「なるほどな。それならばよかった」
喜谷さんは原稿取りに行ってくると言ってしまった。
私は鍵を開けて、中へ三人を招く。
「今度から連絡してよね~」
「急を要していたもので。次からは連絡しますね」
「いい。それより順位だが……。イベント1位はアジュラというプレイヤー、2位はざわーくらうど、3位はなんと……この俺様!」
「……かなり大躍進ですね?」
「ふはははは! 俺様にかかりゃこんな稚戯!」
「…………こいつ、獲物を横取りしまくってただけだぞ」
なるほど、ハイエナ……。
だがハイエナ行為で3位にまで上り詰めるのはすごいな。
「ステルススキル様様だったね。ずっるい」
「これも立派な戦術である。見えない敵はまず攻撃できんからな」
「……あー」
私も見えない敵と戦ったが、私は割と気配で物を見て居るので戦えていたんだよな。この芸当は漫画家としての感覚も少しは……。
来るという事実だけ伝えられても気配で誰か来たことはなんとなく察知できていた。原稿で忙しいときも……。感覚が鋭いとは昔から言われていたし。
「ユメミは505位だ。途中退場とはいえいい順位ではないか?」
「ですね。まぁ、500位というのは低い気もしますが……。後半はがっぽりポイントが手に入ったんですね」
「まぁな」
くそぅ。私が最後まで参加できていたら優勝も目じゃなかったわけか……。
それにしてもアジュラさん、ざわーくらうどさんは結構な実力者らしい。フレンド交換しておくべきだったかもしれない。
「まぁ、イベントはいいよ! 次の配信の打ち合わせ!」
「あぁ、やるんですか?」
「やるよ! もちろん! 次はね、ガンボーシティへいくよ!」
「ガンボーシティ?」
「ゲーム内の大きな都市のひとつらしい。そこではギャンブルができるとか」
「ギャンブル、ですか」
「そう! この国でやるのは違法だけど、ゲームだから違法と華南も関係ないからね! パチンコ、スロットとかあるのかな?」
「パチンコはさすがになさそうですけどね」
ギャンブル、か。
私としてはギャンブルは知識だけしかないんだよな。都市おいは学校がモチーフで、主人公たちが高校生だったからギャンブルに手を出さなくてもよかったが、次の作品の構想はがっつりファンタジーなのでギャンブルを出してみてもいいかもしれないな。
「よし、次はガンボーシティに決まり! じゃ、今日の夜からやるから!」
「あ、今日なんですね」
「思い立ったら即行動だからな、昔から」
「猪突猛進ガール……。ふふ、可愛らしくていいじゃあないか……」




