追加ルール
谷を越え、フィールドを歩いていると再び勝手にウインドウが開かれる。
運営からのメッセージのようだった。私は足を止めてその場に腰掛ける。
『どもども〜! 追加ルールのお時間です!』
追加ルール……。
たしか説明で追加ルールがあるよ、それは後でと言っていたような。あまり聞いてなかったから覚えてないな。
『追加ルール……レイドバトルの導入です』
「レイドバトル?」
『レイドバトル制度の説明の前に、まずはランキングの確認! 今現在の1位はアジュラさん、69ポイント!』
アジュラさんの顔が画面に映し出された。
戸惑っているアジュラさん。
『第2位、ユメミ! 65ポイント!』
画面に私が映し出される。
これがモニターでありカメラの役割も果たしているのか。不思議なものだ。
『そして第3位、ざわーくらうど!』
金髪の少し顔が怖い女性が映し出される。
『上位3人がこの人たちです。この上位3位の方にのみ、レイドバトル制度は適用されます』
「ほう?」
『5人まで参加可能、複数人で協力して倒せたら、それぞれに1ポイントずつ加算されます!』
「私たちを5人がかりで倒せたら1ポイント……」
『でも、もし相手に仕掛けて敗北した場合、一人のプレイヤーにはレイドバトルに参加した人数分のポイントプラス2ポイントが加算されちゃうんだよね。最低4点、最高7点が加算されます』
「なるほど。こちら側も受けるメリットはある……」
一気に5人を相手するという苦行を達成した場合、こちら側に有利になる。
これでどうなるか、だな。私も受ける側の立場ではあるが、レイドバトルを仕掛けようとする人がいるのかな。
『あ、途中で順位の変動があった場合、繰り上がった人に適用され4位に落ちてしまった人には適用されなくなります』
第1位から第3位までに適用で、順位の変動があった場合は私でも適用されない、か。
『そして、第1位から3位の人はレイドバトルに参加できません。受ける側の立場だからね!』
「まぁそれは別に構いませんが」
『以上追加ルール終わり! まだまだ追加するルールはありますが、それはまた後で!』
ウインドウが閉じられる。
それと同時にメッセージが届く。差出人はシュカさん。一枚の写真が添付されており、タイタンさん、しろんちゅさん、スチルさん、ラーさん、シュカさんの5人が写っていた。
『裸足状』
と書かれている。
思いっきり誤字。まあ言いたいことは伝わっている。要するにその5人で私を倒そうということだ。
断る理由もないので私は良いですよと告げる。今現在どこにいるかを送っておき、数分待っていると5人は私の目の前に現れた。
「ふっふっふっ。ここで会ったが百年目ェ!」
「オラたち本当にやるんだか……?」
「弱気になってちゃダメだろ。お前は俺より強い。自信持て」
「むしろ普段は生産職であるタイタンに負けてはダメだろう」
「さぁ、時は来た。勝利の美酒を我が手に……」
5人は私を囲む。
逃げ場を封じたようだ。
《レイドバトル:ユメミ を開始します》
「泣いて謝っても許してあげませんからね」




