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マジカルゲンカ

 ゲームにログイン、私が向かった先は職業ギルド。

 武闘家になるために来たのだが。


「ねぇ、ユメミ? 武闘家になるのやめない?」

「なぜですか?」

「わ、私のアイデンティティだから……」

「どんな理由ですか……。次のイベント、私は武闘家で参加したいんです」

「そんなぁ〜……」


 そんなぁと言われても。

 ズルズルと私に縋りついてくるシュカさんを引きずり職業ギルドに入っていく。

 そして、武闘家のライセンスを取得した。


「これで私も武闘家ですね」

「なんで暗殺者として大成してたのに……」


 シュカさんががっくりしていた。

 私はフィールドに出てみることにする。拳が自分の武器であり、武闘家は体術がものを言うそうだ。

 パンチ、キック、投げ技……。敵によって使い分けると良さそうだ。


 考えていると目の前にちょうど良さそうな魔物がいた。

 私は魔物に駆け寄り、顔面を思い切り蹴り飛ばす。


「気持ちいい……」


 私は今度は思い切り顔面を殴る。

 何度も何度も殴る。アドレナリンがドバドバ出てきているような気がする。

 

「ふひひ……」

「こわっ……。笑顔でぶん殴ってる……」


 気がつくと魔物が倒れていた。

 暴力というのは素晴らしい。次の獲物は〜と探していると、他のプレイヤーと目が合う。

 そのプレイヤーは私を見て目をまんまるくした後、近づいてきたのだった。


「やぁやぁやぁユメミ先生。お久しぶりです」

「……?」

「新年会以来ですねぇ」


 馴れ馴れしく話しかけてくるが私はコイツのことを知らない。

 顔の特徴は出っ歯で金髪チャラ男という感じの風貌。


「どうも」

「次もまた一緒に連載できるといいですねぇ」

「はぁ」

「本誌で待っておりますよ」

「……失礼なんですが、どちら様で?」

「えっ……」


 ショックみたいな顔をしている。


「マジカルゲンカの……」

「…………あぁ!」


 マジカルゲンカ。作者は山下 山彦。

 ヤンキーが魔法少女の力だけを得て魔法で喧嘩するっていう話だったか。

 本誌に確かに連載してるとはいえ、打ち切りギリギリをいつまでも彷徨っていてマイナー人気だけで続いてるという感じの作品。

 私はあまり内容が好きじゃないのと、ジャッツ向けではないだろうという気持ちもある。


 ちなみに都市おいの次に連載が始まった作品なので歴は長い。


「今度のイベント、先生も参加するんですよねぇ? 勝負しませんか?」

「いいですけどイベント参加する余裕あるんですか?」

「……ある」

「…………あっ」


 山下先生は下を向く。

 

「本誌で待ってるって……もう待ってないじゃないですか」

「う、うるさいですよ。次はあなたより早く連載を勝ち取りますから」

「そうですか……」

「余裕そうな顔……。看板作家だったからって次は打ち切られないと限りませんからね!」

「まぁ、そうでしょうね。私も次の作品も頑張って描きますよ」

「くぅ……」


 山下先生は「覚えてろ!」と言って逃げ出していく。


「あれぇ? ユメミセンセーじゃないですかぁ!」

「マンダラさん、原稿は?」

「ふっふっふっ。今日の僕は一味違いますよ。もうすでに終わらせてマス」

「えっ」

「意外でしょう? 先週頑張って二話分終わらせました。伊藤曰く「明日は槍どころか砲弾の雨が降ってくるから気をつけるように」とのことデス」

「戦場かよ」

「ややっ! シュカ殿! ご復帰おめでとうございます」

「ありがとーござます」


 マンダラ先生が原稿をすでに終わらせてるなんて珍しい……。


「ところで今さっき山下先生と一緒でしたけどどんな話を?」

「なんか……勝手にライバル視されてました」

「何で勝手なやつ……。昔からそうなんですよアイツ!」

「知り合いですか?」

「まぁ、僕の大学の同期ですね。僕より先に連載を勝ち取ったことをいっっつも自慢してきてうぜーやつなんすわ!」


 見た目通りの人間ってことか……。

 

「あんな奴は忘れて遊びましょう!」

「ですね」

「え、一緒にいくの?」

「みんなで遊んだ方が楽しいですよ!」











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